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ディグ・モードvol.37「ユハン ワン(YUHAN WANG)」

ユハン ワン(YUHAN WANG)は、中国出身デザイナーのユハン・ワン(Yuhan Wang)が設立したロンドン拠点のウィメンズウェア ブランド。マルニ(MARNI)で働きながら、オフの時間に自分のブランドに取り組んでいたが、後者に専念することを決意。ロックダウンに負けず、ひとりでショー コレクションを完成させるなど、自信と信念を持って前進し続けている。


当初ブランドを立ち上げるつもりはなかった

2020年春夏コレクション(Photography by James Perolls)

ファッションは、ユハンが中国山東省威海の港町で幼少期を過ごした頃から常に興味を持っているテーマだ。姉と一緒に人形の着せ替えをしたり、ドラマで俳優が着ている歴史的な衣装に夢中になったりした。10代の頃はヴォーグ(VOGUE)を読んで服をスケッチした。

その後、彼女はロンドンに移り、セントラル セント マーチンズでウィメンズウェアを学んだ。修士課程を終了後、自分のブランドを立ち上げることは想定しておらず、有名なファッション会社で働くつもりだった。その計画通り、彼女はミラノに移り、マルニ(MARNI)のウィメンズウェア デザインチームに就職した。

「自分のビジネスを持ちたいと思ったことは一度もありませんでした。24時間365日働き、すべてを考えなければならないと感じたからです」と『W MAGAZINE』で語っている。

2020年春夏コレクション バックステージ(Photography Christina Fragkou)

ミラノで働くためのビザに関する書類をロンドンで待っていたとき、ロンドンを拠点とする非営利団体ファッション イースト(FASHION EAST)からロンドン ファッション ウィーク中にコレクションを発表するよう招待された。そのとき、コレクションをまとめるのにわずか3週間しかなかったが、ユハンはあまり考えずにただやり切った。 

発表後、ロサンゼルスのショップ、エイチ・ロレンゾ(H. Lorenzo)から注文を受け、ドーバーストリートマーケット(Dover Street Market)からも電話があった。彼女はマルニで働きつつ、オフの時間に自分のブランドに取り組み、ロンドンで毎シーズン発表を続けた。

当時について、「私は会社としてどのように運営し、生産するかについてうまく考えていませんでした」とユハンは『Perfect Magazine』のインタビューで語っている。二重生活を通して、一番やりたかったことは自分のブランドをすることだという結論に至った彼女は、マルニを離れて自分のレーベルに専念することを決めた。

ロックダウン中にコレクションを独力で作成

2020年春夏コレクション バックステージ(Photography Christina Fragkou)

2020年の初め、自身のブランドに専念するためにロンドンに戻ったデザイナーは、パンデミックという大きなハードルに直面した。最初に中国のサプライ チェーンが停止し、次にロックダウンで英国が封鎖された。幸いにもブランドがまだ小規模だったため、彼女はロックダウン中にショー コレクションを自分ひとりで作成することができた。

ユハンは過去にすべてを独力でおこなってきた経験があり、パターンの下書きやドレーピング、ステージングなど各ステップに精通している。彼女にとって、自宅で家庭用ミシンを使って仕事をすることは大きな問題ではなかった。

デザイナーに大事なのは自信と信念を持つこと

ユハン・ワン(Photography by Charlie Gates)

ユハンはデザインをするとき、自分の内面の考えや感情を探求することを楽しんでいる。まるで別人であるかのように、独り言を言うときもある。自分の考えや感情なしでは生きられないため、結局のところ、彼女にとって重要なのはそれらだけだ。デザイン プロセスでおこなわれるすべての選択は、彼女の個性を明らかにしている。

彼女がデザイナーとして大切にしていることは、自信と信念を持つことだ。「意思決定者は自分であり、表現しようとしていることを自分以上に理解できる人は世界中にいないことを自覚する必要があります」と『1 GRANARY』で語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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