見出し画像

ディグ・モードvol.30「エイチアールエイチ(HRH)」

エイチアールエイチ(HRH)は、ロンドンを拠点とするデザイナー、ハンナ(Hannah)がスタートしたアクセサリーを中心とするファッション レーベル。ファッション イーストの2021年秋冬ラインナップの一部としてデビューした。カラーバリエーション豊富なビッグサイズのナイロン製シュシュがブランドのシグネチャ。


友達へのプレゼントがブランドに発展

2023年春夏コレクション(Photography by Francesco Nazardo)

もともと、ハンナは友達へのプレゼントとしてシュシュを作っていた。みんなが彼女のシュシュを愛用していることが大きな喜びとなり、ファッション イーストの2021年秋冬ラインアップの一部として、アクティブ アクセサリーというタイトルのコレクションでエイチアールエイチはデビューした。

ロンドンのフェンチャーチ ストリートを拠点とするアトリエでは、ビッグサイズのナイロン製ヘア アクセサリーや、ミニ バッグなどが手作りで生み出されている。「私は自分自身やガールフレンドのために物を作るのが好きです」とデザイナーは『VOGUE』で語っている。

2023年春夏シーズンのパリ ファッションウィーク中に開設されたショールーム「Fashion [X] Showrooms」で展示されていた2023年春夏コレクションのスイムウェア(Photography by 𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨)

エイチアールエイチではアクセサリーのほかに、スイムウェアも展開している。1ピースまたは2ピース スタイルのスイムウェアは、クリスタルで飾られたカットアウトのディテールや、水滴をイメージしたパターンが特徴だ。

「スポーツ選手がプールを出て水が滴り落ちているイメージや、梁の上でバランスを取っている女性のイメージに夢中になっています」とハンナは英国版『VOGUE』で語っている。

スイムウェアの展開にあたって、バストの大きい女性に対応することはデザイナーにとって最重要だ。自身のバストサイズで水着を見つけるのに苦労した経験を持つ彼女は、今後ラインを拡大し、彼女にとって初となる黒色の水着を展開したいと考えている。

アスリートやスポーツが着想源

「Fashion [X] Showrooms」で展示されていた2023年春夏コレクションのアクセサリー(Photography by 𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨)

ハンナのデザイン アプローチは、バックグラウンドであるコスチューム デザインから来ている。ロンドンで生まれ育った彼女は、ロンドンのウィンブルドン カレッジ オブ アーツ(Wimbledon College of Arts)で衣装デザインを学んだ。その後、ダンサーのコスチュームに焦点を当てて、コスチューム業界で働きながらデザインの経験を積んできた。

装飾とパフォーマンスの関係に興味を持っている彼女は、ダンサーをはじめ動いている人たちと一緒に仕事することを好み、それがアスリートやスポーツへの関心と結びついている。

2023年春夏コレクション(Photography by Francesco Nazardo)

とくにダンスやフィギュア スケート、体操はハンナにとって重要なテーマであり、よくブランドのインスタグラム フィードに登場している。ハンナの日常や最新のクリエーションに混じって、彼女が視覚的にインスパイアされている、米国ロサンゼルス出身の陸上競技選手、フローレンス・グリフィス・ジョイナー(Florence Griffith Joyner、別名Flo-Jo)の写真がある。

Flo-Joは、1988年のソウルオリンピックで金メダル3冠を達成し、長く伸ばした爪に鮮やかなマニキュアを塗り、長い髪の毛をそのままにしたヘア スタイルでも話題を呼んだ。「いつも考えるのはFlo-Joのような人で、彼女のネイルやシュシュ、コスチュームがどれほど素晴らしかったことか。彼女は最高のアスリートでもありました」とデザイナーは『NYLON』で語っている。

作品を通して、ある種の感情を呼び起こしたい

ハンナ(Courtesy of Hannah Rebecca)

ハンナが何よりも望んでいるのは、彼女の作品が見る人にある種の感情を呼び起こすことだ。冬季オリンピックのようなものに感情的なつながりを持っている彼女にとって、スポーツには選手が髪を結う方法に至るまで装飾のすべてがあり、それが彼女を惹きつけてやまないのだ。デザイナーはその美学を自身のコレクションに注ぎ込もうとしている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

いつも読んでくださってありがとうございます☺︎いただいたサポートは、記事のクオリティ向上に活用させていただきます。応援よろしくお願いします❦