結婚したいという気持ちを救ってくれた先生のお話


早く結婚して、母親になりたかった。

一人っ子で育ったわたし。

両親そろって、仲が良くて、こどもがたくさんでにぎやかな家庭にずっと憧れていた。


いわゆる進学校に通っていた高校3年のとき、仲の良い先生に受験勉強はどんな調子か、将来何になりたいのかと聞かれて、

「わたし早く結婚したい。それでこどもが3人ほしい。」と答えた。

きっと志望校が決まったとか合格しそうとか、そういう答えを当然求めていたと思う。でも先生はこう言ってくれた。それならお金も必要だし、例えば高卒より東大行った方がきっと経済力のある人に出会える、だからとりあえず上を目指してがんばれ、と。


もちろんこの考えは全く正しいものではないと思う。

学歴と経済力に比例関係はないし、トップの大学を卒業した人がみな一流企業を目指したいと思うわけでもない。

それでも、自分なりに考えていた将来の目標に、偏差値の高い大学を目指すということをどうしても結びつけることができなかったわたしはほんとうに嬉しかった。


教師という立場で、わたしの答えを自然と受け止めてくれたことが。

わたしの描く未来を全く否定しなかったことが。


それなりに勉強してきたんだからさ、そのうちやりたい仕事が見つかった時のために、良い大学行きなよ。

って定番のセリフとか言われるんだろうなあって。




それから数年、素敵な出会いがあって、知識も増えて、

結婚や自分の未来に対する考えはずいぶんと変わってしまったのだけれど、


学生生活の中でずっと感じていた違和感がすこし救われた瞬間はきっとこれからも忘れない。


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