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別府・朝活のススメ

別府に5年間住んだ私の平日休みのルーティン。

8時過ぎに起きたらしばらくゴロゴロ。9時になる頃には起き上がり、洗面器に着替えとタオル、ピンク色の市民入浴券を詰め込んで、カゴに入れたお風呂セットを持ったら寝癖のまま家を出る。

永石(なげし)温泉
洗面器を片手に歩くのが別府流

「永石温泉」に着くといつもの番台のおばちゃんが「おはよう、今日仕事休みかえ?」とお決まりの一言。少し喋って(あんたのお母さんは昔中型バイク乗りまわしちょったんで、あんたのばあちゃんは昔お洒落さんやったんで、など私が知らない昔の話を教えてくれる)、市民入浴券に丸印をつけてもらったら、脱衣所でさっと服を脱ぎ小さなプールのような浴槽へ。

永石温泉は朝の6時半から夜10時半まで開いている。別府市民は30回分の入浴券を買うことが多いけれど、一般の方は1回200円の現金を払って入浴する(わたしが住んでた頃は100円だった)。

このあたりに昔から住んでいる人たちは、家にお風呂を持たないことが多く、みんな徒歩3〜5分圏内にある温泉に入りに行く。何ヶ所かあるので、距離や時間帯、仲のいい人が通ってるとか、お湯の好み(軟らかいとか、とろみがあるとか)で行きつけを決める。
私が住んでいたのは元々祖父母の家なので、当然お風呂はついておらず、毎日温泉に入りに行っていた。別府市民にとって温泉は“娯楽”ではなく“生活”そのもの。市民温泉は時間によって大体メンバーが決まっている。例えるならばそれは通勤電車だ。私は朝一番と夜9時ごろの面子がよく知った顔。おはよう、さよならと、挨拶をして次々人が入れ替わっていく。

浴室の方は、水道の近くが人気なので場所取り合戦。温泉をあんまり水で埋めると嫌がる人もいるけれど、大体の人はぬる湯が好きなはず。自分が体を洗い終えると「終わったのでどうぞ」と水道を次の人に譲ってあげるのが別府流のエチケット。

そっと足をつけると余計に熱く感じるので、さっと肩まで浸かってしまうのがおすすめ。朝入れたてのきれいなお湯は朝の光にキラキラ揺れて幸せな気持ちになる。15分ほど浸かったらのぼせてくるので体をひきあげる。体を拭いたら、階段を登った先にある脱衣所に向かう。夏は扇風機の前ですこし涼む。

お風呂を出た後は、外の椅子に座ってゆっくり鶴見岳を眺めてもよし。外には囲碁か将棋の台もある。いまはもう誰も使ってないけどなぁ。
そうこうしてたら、そろそろ10時前になる。

8時半になると近所で人気の「友永パン」が開店する時間。肩にタオルをかけ、濡れた髪のまま、永石通りを下り左へ曲がると友永パンに着く。整理番号が書いた札を取って並ぶ。店内に入ると注文票と鉛筆を取って、味付けパンとメロンパン、あんぱん(こし)の欄に1と記す。
慌ただしく、それでいて笑顔で動き回る店員さんと、やさしくて美味しい香りに包まれた店内で会計を済ませたら、買いたてをそのまま食べながら家に戻る。

10時を回っていればそのまま、「とらや」によってカスタードの回転焼きを食べる。汚れを落とした軽やかな身体で、甘味をいただく朝。なんて幸せな朝。

ここまではいつものルーティン。ここからはその日の気分や予定で何をするかが変わる。


ひとまず雑記する。
洗濯物を干し、身なりを整えたら、今日はどこにいくかを考える。

永石通りの雑貨屋さん「Spica」に行くと、お気に入りの生活雑貨が見つかり、毎日を丁寧に暮らしたいと思えるし、

松原公園の向こうにある別府冷麺のお店「六盛」でお昼を食べるのもいい(冷麺のお店だけれど食べるのは決まって中華そば)。

流川通りを超えて「喫茶ムムム」でオムライスとクリームソーダを頂いた後、「select beppu」でアートに触れるのも捨てがたい。

秋葉通りの「Othello coffee」で女店長さんと話すのも楽しい。

ムムム
Othello coffee

美味しい紅茶を頂きたかったら、12時半の開店までは少し待つけれどビートルズの流れる「ティールームコージーコーナ」に行く。5席のカウンターのみの店内。マスターがお客さんに合わせて素敵なティーカップを選び、こだわりのお茶を入れてくださる。

手作りの焼き菓子も本当においしい

紅茶といえばコージーコーナだけれど、珈琲といえば外せないのは、「グリーンスポット」。

こちらは別府公園のあたりまで上がり、他のお店からは少し離れるので車で向かうことが多い。
車という選択肢になる為か、私の中でグリーンスポットは雨の日の朝か、仕事終わりの夜にひっそりと楽しむイメージ。

48時間抽出の水出しコーヒー

こちらもマスターとのお話が楽しい。でも最近はいらっしゃらないみたい、元気だといいのだけれど。

グリーンスポットは深煎りの珈琲豆が特徴。そして、いちばん人気は48時間じっくり抽出された水出し珈琲で作る琥珀の女王。
水出し珈琲の上に生クリームがかぶさって綺麗な二層になって出てくる。
「混ぜずにそのままお飲み下さい」と出してくださる。

私は、バター珈琲やテルミー珈琲が好き。マスター曰く、テルミーとは「好きって言って」という意味らしい。なんとまあ可愛らしい。
何度でも伝えるわ、私はそんなあなたが好きよ。

店員さんとのお話や、書き物をしていたらあっという間に時間が過ぎる。他にもおすすめのお店や、夜に1人でふらっと入れる居酒屋もあるのだけれど、書ききれそうにないので、それはまた今度の機会に。

お休みの朝、お気に入りの本とタオル1枚とを鞄に詰めて、湯煙の街・別府を満喫しに来てくださいね。

松原公園にて別府温泉まつり
正面が鶴見岳

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