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ふらり旅#3-1(京都)

4月28日
急に目が覚めた。
カーテンの向こうで、登り始めた朝日が輝いているのが布団の中に居てもぼんやりと確認できた。
日中は夏のような日差しに初夏を感じるが、やはり朝方はまだ寒いようで、首に巻いたストールとカーデガンの隙間から、冷たい空気が肌に触れた。
前日に慌てて詰め込んだバッグを連れて、私は旅にでた。

地元の小さな駅からでもキャリーバッグをひいて電車に乗る人が目につく。
世はゴールデンウィークの初日だった。

太陽が熱烈な視線を送る中、京都にて2つのお寺をみて回った。

《宝菩提院願徳寺》
勝持寺のお隣にある宝菩提院願徳寺へ、
国宝如意輪観世音菩薩半跏像を見るために、門もといインターフォンを押した。

正直なところ、仏像があんなに凛として美しいものだったと今まで気づかなかった。
正面の精巧な作りもさることながら、後ろ姿が特に良い。
肩から、背筋そしてお尻のあたりまでの描写に、
なんとも言えない色気を感じ取った。
次回どこかで展示される機会があれば、
ぜひ足を運んで、できれば肉眼であの後ろ姿を見たい。

《勝持寺》
初夏を感じさせる日差しに、勝持寺の庭は新緑に染まっていた。
あんなに美しく、鮮やかな色に染まった庭を見れるのは一年の中でも短い期間であろう。
まるで、海の中から上を見上げたようだった。
青ではないけれど、緑の色の中に太陽の光がきらめく。
緑色の澄んだ海の底から、私は上を見上げた。
コポコポと、水の中で空気が動いたような音が聞こえた気がした。

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