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に じ み

先月まで銀座で開催されていた『仲條正義名作展』。



展覧会感想

仲條さんの作品は、昔っぽい良さもあるし、新鮮な感じ?もするからすごい。今でもそう感じるのに、作品が生まれた当時はどんな印象を人に与えたのだろう。図形のバランス、色の組み合わせ。シンプルなようにみえて、簡単には再現できない。

作品全体をみて、作風の変化やつくり方の変化がみてとれたのも観てておもしろかったな。

あと、なんといっても私の中の良かったなポイントは、会場に散らばっていた仲條さんの名言。韻を踏んだ言葉選びだったり、ギョッとする言葉、勇気をもらえる言葉。色々あったけれど、そこから仲條正義という人物の人柄を想像できたことがすごく良かったと思う。(多分全部撮れた)


と、簡単な展覧会の感想はここまでとして。

本題。展覧会を観て、ふつうのレポートとはちょっとちがう『RESPECT PEPORT』というものをつくりました。よかったらご覧いただきたいです。
自分の勉強のためということが大きいですが、RESPECT PEPORT とはなんぞや?というのは、こちらでどうぞ。


RESPECT PEPORT #1 仲條正義名作展

レポート 表
レポート 裏
中身①② 表
中身①② 裏
中身③④⑤ 表
中身③④⑤ 裏

今回は展覧会のチラシでも扱われていた1973年に開催された個展『スタジオ』の作品をメインに。ハートと波型が印象的で、単純にかわいいと思ってしまったので、そのかたちをベースにレポートを考えた。裏側にはポケットがあって、ハート型カードが入っている。カードは、表が作品を紹介したり作品を表現しているもので、裏は文章になっている。内容は完全に私基準で、今回は全体の感想、ロゴ、『忘れちゃってEASY 思い出してCRAZY』出品作品、『仲條服部八丁目心中』展出品作品、名言について書いた。またタイトルの文字は、仲條さんの作品集をみて、参考につくった。

使用した紙
カラープラン-FS | 色:レッド 厚:217kg
色上質 | 色:赤、やまぶき 厚:特厚口
ビオトープGA-FS | 色:ホワイト 厚:200kg / 100kg
エアラス | 色:ナチュラルホワイト 厚:90kg


続いて制作について。

制作風景

アイデアスケッチ
展覧会に行ったあと、どんな作品があったのか?どんな展示空間だったのか?自分の中で印象に残ったことを思い返してみて、スケッチ。
展示に行っていない人が手に取ったとき、展示の雰囲気がわかるようなものを目指すときもあるけれど、今回は自分が好きな作品を残すこと、気になる作品をトレースするように作品の再現にもチャレンジしようと思った。

この時点でつくりたいものから、デザイン、構造を考えつつ、どんな材料を使うのかも考える。

データ化
パソコン上で作品をトレースしてみる。これだけで普段は考えないかたちがつくれるから勉強になる。シンプルにみえて、でも簡単にはつくれなくて。デザインを分解しているみたいでおもしろかった。

紙選び
チラシを見比べながら、なるべく本物の色に近いものを選ぼうとした。が、結局厚みがあり、ふつうのプリンタでは印刷ができなかったり、ピッタリな色の紙は好きな材質でなかったりして、選ぶのが難航。赤が薄かったり、クリーム色は黄色味が強すぎたり、紙選びにはあまり納得いっていないかも。

表現
今回1番挑戦したかったのが、『忘れちゃってEASY 思い出してCRAZY』のグラデーション。この“にじみ”を表現するために少しだけだが試行錯誤をした。表現の見本にしたのは、今回展示されていた作品ではなく、作品集で見つけた作品。

仲條正義作品集『 仲條 NAKAJO 』より

再現について。よくみると、グラデーションに紙のシワのようなものがあったため、アナログで表現していると推測。自分の中でのつくり方を推測し、表現を試みる。当初の予想は絵の具を使って、デカルコマニーみたいにするのかなと思っていた。だが、材料を買いに行ったときに、世界堂で「リキテックス リキッド」を見つけて近い表現ができそうだったため購入。表現するために色んな材料を知って、試すこと大事。紙にはにじみやすそうな半紙を選んで、いざ挑戦。

はじめはリキッドの出方を試しためし

リキッドを使うことがはじめてだったため、はじめはコントロールするのが難しかった。リキッドの量、水の量、順番。色々変えながら試してみた。100%寄せるということが、この取り組みの目的というわけではない(どうつくったのか想像し、つくってみることで自分では使わない材料を使ってみたり、手順を見つけることもひとつの目的)ので、自分が納得できる線ができたらOK。

水の量を変えてみたり、線の引き方を変えてみたり

スキャンしてデータ化して、印刷をしてみると…。やはりパソコン上でつくるグラデーションとはちがう。にじみ方で紙の材質を感じる。

写真だと彩度が高いようにみえるが実際はもう少し低めな印象

印刷
データをつくれたら印刷。当たり前だけど、パソコン画面でみる色と印刷で出る色は違う。鮮やかさとかもそうだけど、なんか近くでみるときれいにいかない。ふつうのプリンタの限界だろうか。でも黒は比較的きれいだった。きっと紙との相性もあるはず。

加工、完成
いよいよ加工。加工といっても今回は紙を手で切り貼りだけ。

切り出したパーツ

カッティングマシン欲しいとか思ったりするけれど、今回に関しては、多分仲條さんも作品をつくるとき手で描いたんじゃないかって思うから、同じように手でつくることに意味があるのではないかと思った。

『 仲條正義名作展 』チラシより
右側部分をよくみるとパソコンでは出しにくい?線になっている。
時代から判断しても手描きなのではないだろうか?

これにて完成。


制作後記

ざっと書くつもりだったけど、なんだかんだ長くなってしまった。けれど、残せてよかった。できたもの自体を発信することはまあ当たり前であるけれど、その過程を発信というかたちで残しておくことも大事だと感じる。未来の自分のためにも。これからも思ったことや感じたことを言葉にして残しておこう。

できたものはというと、やっぱり久しぶりに手を動かしたからなという感じ。でも楽しかったから1発目としてはよしとしよう。熱中して制作に打ち込めたのは良いことだよね。
あとは文章能力をつけたい。初めの印象が良くても読んでみたら微妙って悲しいから…。それはnoteに投稿することで少しでも身に付いたら良いなと思う。

作品の真似といえば真似なんだけど(真似と言えるほどの表現にも辿り着いていないが)、研究というか、これが私なりのデザインの勉強の仕方なのかも。また展覧会を観に行ったらつくりたいと思う。

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