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結果を出す女・北川莉央のすゝめ〜推しから提示された「アイドルとは何か」という問いに今答えてみる〜

2020年11月12日21時、モーニング娘。’20『純情エビデンス』のMVが公開され、数時間後、Twitterでトレンド入りを果たした。そこでは、あるメンバーがトレンドトピックになっていた。

「おんちゃん」

一瞬のコマ撮り映像の中で、その美しさとアイドルとしてのポテンシャルの高さを見せつけた。それをヲタクが「爆イケ」と騒ぎ散らかした結果のトレンド入りである。めでたい。「おんちゃん」とは、紛れもなく私の推し、15期メンバーの北川莉央さんだ。

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("But now. Next Door"は直訳すると「しかし今隣の家で」になる)

この『純情エビデンス』による「おんちゃん」の衝撃に乗っかりたいのが本記事である。推しの魅力を伝えたい…!という布教の大義名分を掲げながら。そして、推しの好きなところを言語化したい…!という個人的な欲求によってこの記事は書かれている。深夜の熱量でバッと仕上げたら6000字を超えてしまったので、拾い読みでも構わないから、ぜひお付き合いいただければ幸いだ。


『純情エビデンス』の衝撃とは

まずはこのMVが発表されたときの心理的状況について説明したい。


MVはフルバージョン公開に先駆け、ショートバージョンが一日前に公開されていた。『純情エビデンス』は、コロナ後初の新曲だ。今年1月に発売された『KOKORO&KARADA/LOVEペディア/人間関係No way way』以来、ほぼ一年経っている。新メンバー加入からおよそ1年半、こうした状況の中で卒業者が出ることもなく迎えた年の瀬に、どのような形でグループの進化を押し出してくるのか。ファンが首を長くして待っていたのもあり、MVにはかなりの期待と注目が寄せられていた。

そんな中、確実にヲタクの目を奪うショットがあった。サビ前、うねるように迫り来るカメラに向かって、ダイナミックな動きで見る者の視線を奪っていく。ぐるんと身体を大きく反らしたと思えば、髪をなびかせながら瞳を伏せた顔が覗く。見惚れているうちに、気づけば、視線が合っている。
それは一時停止しなければ顔がよく確認できないほどの、まさに一瞬の出来事であった。

その姿にはじめは、佐藤優樹さんと見紛ってしまった。佐藤さんといえば、ほんの僅かな瞬間に観客の目を釘付けにするパフォーマンススタイルで常に黄色い声援を掻っ攫っていく十年選手である。佐藤優樹的な「鋭利な美」を体現したのはいったい誰なのか、誰もが巻き戻さずにはいられなかった。

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(魔法少女の変身シーンかと思った。この時点では誰だかよくわからない。)

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(サビ前のショット。オタクはサビ前と落ちサビに弱いので、必ず確認する。)

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(北川莉央さん!!)

ショートバージョンでピンで抜かれていたのはこの一コマだけだったが、かなり話題になっていた。そして北川莉央さんにTLがざわついた翌日にフルバージョンが公開され、オタクたちは彼女が全編通してフューチャーされていることに気づく。

歌割はない。しかし、曲のキーとなる部分で確実に抜かれている。そして、北川さんはカメラマンの期待に応えるが如く、カメラの向こうの私達を射抜き返してくる。

彼女がこんなに早く凄まじいアイドル性を見せてくれるなんて、一年前は誰が想像できただろうか。もちろん、ポテンシャルは加入時から充分感じていたが、こんなに早く開花するとは…

この気持ちは、今まさに多くのヲタクと共有できるはずだ。

北川さんは昨年6月にオーディションから加入した新メンバーで、この『純情エビデンス/ギューされたいだけなのに』(12/16リリース)がデビューして二枚目のシングルになる。一年前の夏、体幹トレーニングで死にそうな顔をし、レッスンについて行くのに必死だった人とは到底思えないし、大縄跳びに一回入れただけでメンバー全員に大喜びされてしまうような運動音痴だとは想像もつかないキメっぷりを見せてくれた。

運営の事前プッシュなのか、北川さんをキーにしたいというコンセプトが撮影時に既に決まっていたのかは知る由もない。ただ、彼女は結果として『純情エビデンス』のビジュアルイメージを大きく担うことになった。ファンとしてその躍進ぶりは大変喜ばしい限りである。

しかし、「新人の躍進」として、もしくは推しの「推され」の証拠として、この大事件を捉えることが趣旨ではない。ここで間違いなく言えるのは、北川さん本人の撮れ高を提供しようという意志がこのMVにはっきりと、明確に表れ出ているということだ。きちんとグループとして世に出る作品の中でその早熟とも言えるプロ意識が示されたということが、ファンとして何より嬉しい。

アイドルという仕事に対する強い意志やプライド。ハロープロジェクトのアイドルとしてのアイデンティティとも言える。これが、加入当初からまっすぐに貫かれているのが北川さんのアイドルとしての強みであり、その強みは、私が北川さんに熱中する数ある理由のひとつである。

もっとも、北川さんはキャラクターに着目するだけでも本当に魅力的な女の子だ。お上品な佇まい・そこに表裏一体に存在するあっさりした性格・はしゃぎ上手から生じるノリの良さ・そこに加わるドジっ子属性…

しかし、どうしても惹かれてしまう何よりの理由は、これらのアイドル性から滲み出てやまない、一本筋の気高さだ。今まで北川さん本人の言葉から幾度となく感じてきた気高さと、アイドルという職業に対する強い意志が、『純情エビデンス』のMVで、やっとパフォーマンスとして目視できた気がしてならないのである。(もちろん、前年のツアーから、スキルの片鱗は見えていたが、ここで「やっと」と述べる理由については後ほど言及する。)

「北川ヲタはちょっとしたことで大騒ぎする〜」などと揶揄されても構わない。これは、彼女の幼少期から抱き続けてきた「アイドルになる」という夢、そして現在掲げている「アイドルとして、テッペンとる」という夢が形になって見えてきた、その第一歩なのである。

今ここで大騒ぎしないでいつしろと言うのか。本稿では北川莉央さんのアイドルとしての意志の強さに迫ってみたい。

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(「友情は絵空事 だとしても大事かも そこをうまくすり抜ける」全人類に響く歌詞、そしてこの瞳である。)


結果を出す女

北川莉央さんは、「結果を出す女」である。「結果を出す女」はハロープロジェクトにはたくさんいるが、北川さんは中でも惜しみなくファンに努力の過程を見せてくれるタイプである。それはまた「有言実行する女」とも言い換えられる。

大半のハロヲタは努力の過程を見るのが何より好きだ。だからこそ、数多ひしめくアイドルグループの中でも、スキル重視のハロプロに魅力を見出す。

一方で、ハロプロにも努力を見せずにさらっとなんでも器用にこなすタイプの努力家がいる。このような無言実行タイプも、涼しい顔の向こう側にあるエピソードが他所から漏れ出る度に、好感度が増し増しになるので、また素敵である。

そんな無言実行の彼女たちが努力を見せたくないというその理由は、過程を見せ過ぎるのは「かっこ悪い」というのが大半だ。確かに、努力の過程を延々と語られると折角の結果にインパクトが出なかったり、「頑張りました」アピールが鼻につくときもあるかもしれない。

しかし、北川さんはその努力の過程の見せ方がなんとも絶妙なのだ。努力の過程を垣間見せるのも、アイドルとしてのパフォーマンスの一部であると自覚しているかのような「ちょうど良さ」である。例えるならば、仕事で欠かせない「報連相」をファン相手に行っているイメージだろうか。そんな感じのドライさがあるから、押し付けがましくならないし、言葉の芯に見え隠れするプロ意識に感嘆してきたファンも多いだろう。着々と有言実行していく姿は見ていて気持ちがいいし、自分との約束を守れる人は圧倒的に信頼できる。

北川さんがファンに自分の目標や夢を公言することで、私達は彼女と共に未来を思い描くことができる。そして、そのために何を頑張っているのか、どこを目指しているのか、その思考の断片が言語化されていることで、彼女が着実に未来に向かって歩んでいることを実感することができる。そうしてきちんと「結果」が仕事として世に出るのだから、これ以上嬉しいことはない。

また、彼女の目指すところには、きちんとファンの視点が内面化されていることを忘れてはならない。彼女は「期待に応える女」でもある。

写真集が決まれば、ラジオで「誕生日(3/16)以降ダイエットします!」と宣言して体型を調整する。中途半端なものを出したくないと言って努力した結果、完成した写真集に対する自己評価を聞かれて、「百点満点」だと返したのも記憶に新しい。ダンスが苦手だから表現を頑張るのだと宣言し、ツアー映像では加入半年とは思えないような、ハッとさせる表情を見せてくれた。「人前で話す」ことに際してどのように準備しているのかブログで話してくれた回があった。これは妄想も含まれているが、それはきっとトーク力が期待されていると見越した上でだと思うし、個別握手会(お話会)では「ファンの方の名前と顔を覚えるのは得意です」と言い切る。これ、結構自分にプレッシャーかけてないと言えなくないか?と思うことも、さらっと言ってしまう強さがあるから、おそらく本気である。実際、接触イベントの満足度は高く、北川さんのブースにいくと、彼女の頭の回転の速さに驚かされる。(数回しか行けていないものの、北川さんがおしゃべり上手なことはすぐにわかった。)ライブやイベントでは、頻繁に「ファンの方の顔は見えています」というような発言をしているイメージも強い。

また、忘れてはならないのが歌に対する信念である。北川さんは加入のお披露目番組で、既に「歌が得意」とアピールし、’14以降の娘。を支えてきた歌唱メン・小田さくらさんのパートが欲しいとあっさり言ってのけた。それからの彼女の努力はしっかりと見てきたつもりだ。北川さんの声は、透き通るような癖のない大人っぽい声で、一番イメージが近いのはリーダーの譜久村さんだ。モーニング娘。に欠かせないウェットな部分を引き継ぐのは北川さんだと確信できる、奇跡の歌声だと思う。そしてその宣言通り、オーディション映像時から歌唱の安定感を見せてくれている(声量や、動きながらの歌唱はまだまだ課題かもしれないけれど)。実際に歌唱力を評価され、歌コン選抜に選ばれたり、J−MELOでJUJUの「やさしさで溢れるように」をソロ歌唱している。

まだまだ伸び盛りな時期にこのポテンシャルだから、ただでさえ未来は明るいのに、自己プロデュースに事欠かないのが北川さんらしいなと思う。バースデーイベントでは『恋愛ハンター』を歌って(一人で歌う曲じゃない…!)音源に歌声を寄せて歴代メンバーへのリスペクトを見せたし、この間の15期イベントでは『愛して愛して後一分』を選曲していた。『愛して〜』はプラチナ時代の曲だが、鞘師里保さんのイメージが強烈に残る曲でもあり、’16ツアーで佐藤優樹さんが変革を魅せた曲でもある(北川さんは佐藤さんを意識していたらしい)。最近では、ソロフェス!で野中美希さんが歌っていた。『愛して〜』は間違いなく、次世代への襷的なナンバーとして機能していると言えるだろう。

こうした、まるで歴代の娘。の中核を担ってきたボーカルに自分の声を重ねるような選曲には、その後に続くのは私だと言わんばかりの明確な意思が感じられる。

二年目への決意

北川莉央さんの「結果を出す女」としての強い意志を最も印象的に感じられたのが、彼女の二年目への抱負だ。北川さんは各所で、二年目に対する意気込みに関して、一貫した発言をしてきた。

例えば、「祝!15期加入1周年特別企画」の動画の中では、以下のコメントを残している。

二年目はやっぱり勝負の年というか、15期内でも格差が出てきちゃうっていうのもあると思うので、それに負けずに3人で頑張っていきたいと思います!

両側の岡村さんと山﨑さんの中学生感溢れる抱負の後に聞くと、なんだかいきなり本質を突いている感がある。実際、雰囲気だけではなく、北川さんはとても大切なことに気づいている。

もう少し詳しく見てみたい。『アップトゥボーイ』2020年9月号の写真集先行特集では、春ツアーが中止になったことについて以下のような想いを語っている。

「15期にとって2度目のツアーは重要で。もう新メンバーとしてではなく、先輩メンバーと同様に評価される場所だと思うんです。だからたとえキャリアが違っても、譜久村さんと差があってはいけない。もちろん同期にも負けられない。なのでそれに向けて、3人で気合いを入れてレッスンをしていたし、史上最多公演だったので、中止はショックでした」

https://www.fujisan.co.jp/product/74/b/1999566/

この発言から、彼女の上昇志向の強さと、闘争心が伺えるのは言うまでもない。加入当初、ダンスと芸能経験のある岡村さんと研修生からの昇格である山﨑さんに比べてパフォーマンス面で劣等感を抱いていたこともあったと言う。それでも、自分と向き合って、強みがどう活かせるか、弱点はどうしたらカバーできるか、探求し続けている北川さんが少しずつ手に入れてきた自信が、この強気な発言を生み出しているのだとしたらなんとも感慨深い。(この記事では、北川さんの「気高さ」について語っているが、一方で実はとても自分に自信がないとあう繊細な一面も持ち合わせている。それについては後日、語れたら。)

先程、彼女の結果への意識が「やっとパフォーマンスとして目視できた」と表現したのは、この発言を汲んでのことである。「新人」としてのお膳立てがなくなり、他のメンバーと並んで評価される二年目にグループの顔としての役割を担い始めたということが、重要なのだと思う。

またこうした各所での発言の強さが、先程述べた、北川莉央さんが「結果を出す」ための布石になっていくし、なっていると思う。彼女のこういうところに、アイドルとして生き延びるための戦略と強い意志を感じざるにはいられない。

「アイドルとは何か」という問い

北川莉央さんのブログでは、毎日「今日の質問」というコーナーが設置されている。加入してから毎回行われているこのコーナーは、ファンとのコミュニケーションを誘導することで読者を増やす有効策であり、彼女の歩み寄りの精神と戦略性がよく現れていると思う。

8/6付の「今日の質問」の中では、次のような問いがなされた。

「アイドル」とは何だと思いますか?

そして、翌日の8/7付のブログでは、自身でこのような返答を行っている。以下に引用したい。

(前略)
「夢や元気を与えること」
これはマストだと思っています。
アイドルって不思議な力を持っている職業だと感じていて、
例えばライブ。
作業として考えると「歌って踊っている」っていうだけなんですよね、
でもそこに、表情や気持ちを付け加えることによって
人に元気を届けることができるんですよ。
(中略)
1人に愛を伝えるのではなく、何千何万人に愛を伝えるのってこういう職業でないときっと機会が無いんですよ。
だから大切にしようって思います。

https://ameblo.jp/morningmusume15ki/entry-12616254084.html


私はこの時期、毎日ブログにコメントするぞ!と意気込んでおり、「今日の質問」の答えを考えることで北川さんに想いを馳せる日々を送っていたのだが※、この日の質問を前にして、思考停止してしまった。

この質問、難しすぎないか…?

毎日のように哲学的問いを模索する推し(この時期、数日間真面目な内容の「語り」ブログが続いた)に対して、中途半端な答えは返したくないと思ってしまったが最後、悩みすぎて数日筆を置くこととなってしまった。

しかし、今なら言える。私が考える「アイドル」とは、ぶれない心意気でなりたい自分を実現していく、まさに北川さんのような存在なのだと。そうした生き様を示すことで、北川さんの言うように「夢や元気」そして「愛を」「何千何万人に」与えていくのだと。これを、あの日の答えとして北川さんへと届けたい。届くか定かではないが、もはや届かなくても構わないから、仄かに淡い期待を込めて、インターネットの海に浮かべてみようと思う。そしてこれからも、北川莉央さんの軌跡を、リアルタイムで辿ることができる幸福を、何よりも噛み締めていきたい。

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(最後に、私がこれまでで一番好きだった、かわいい北川莉央さんを。出典は末尾に記載)

北川莉央が紡ぎ出すであろう明白な「エビデンス」に、悩殺され、翻弄されるヲタク生活。そして何よりもモーニング娘。の未来が、今後も楽しみでならない。


※現在、ブログへのコメントが極稀になってしまっていることをここで告白しておく。毎日忙しい中欠かさずブログを更新するアイドル、それに毎日コメントするヲタクたちのことを思うと、本当に頭が上がらない。力不足で申し訳ないと常々反省している。

2020年上半期で最もかわいい北川莉央さん(当社比)は、こちらの動画の23:09〜見られます。


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