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普通になるための異常

普通になりたい

ここでは普通なんてないよ とか 普通って何? とかそんな言葉はナンセンスなのでしまっていただきたい

とにかく普通になりたい

そう思っていた
今もそう思っている

とはいえ私は正直、普通の子だと思う

運動は出来ないけど勉強はそこそこ上位

誰とでも仲良くにこにこ話して毎日一緒に過ごす友達もいる

両親もいて関係も良好

体育だるみたいな愚痴を言いつつも笑って

スタバの新作に目を輝かせて

なんだかんだ毎日をそれなりに過ごしてる量産型高校生

きっと普通の子

何の問題もない子だ
何度もそう言われてきた

でもそれは見かけ上の話だってだれがしってる?


未だに忘れられない記憶で足が竦む
似た人を見たり似た状況を見ただけで体がこわばって心は吹き荒れる

学校は毎日通えるほど好きではなく
そんな元気も持っていない

どうしたら死ねるんだろう
そんなことばかり考える授業中

あと1歩踏み出せば死ねるのかな
ホームに入り込んでくる電車を見つめながらそう考えてる自分にゾッとする


不安なのか恐怖なのかはたまた寂しさなのかよくわからない感情たちを持て余している

ただただしにたいきえたいいなくなりたい



それでも私はそんな私をひた隠しにする

普通になりたかったから

普通は死にたいとか思わないらしいから

貼り付けた笑顔でみんなを笑わせようとしたり、泣いてる子の傍にいたりした

試験も3週間前には手を付けた

毎日笑顔で家を出た

死なんて考えたことないんだろうなって思わせられていることを勝ちだと思った。成功と呼んだ。

そんな私は私の思う理想の“普通”の姿だった


理想のままで生きることはそう長く続かないもんだ

簡単に理想を現実にできるのなら世の中から理想なんて言葉はとっくになくなっているはずで
理想は理想でしかないから理想なのである

傍から見れば普通なのに、ようやく手に入れた普通なのに、どれだけ普通の真似事をしても本当のとこは普通じゃない

「水和ちゃんは強いね」
「水和ちゃん凄い!」
「楽しそうだね」

あの虚像を信じさせることに成功している証拠達が何故か苦しい

だんだん訳が分からなくなった私は自傷に手を染めた

切って作った傷だけが理想の私と現実の私をなんとか繋ぎ止めていた

そうやって安心した
どちらも自分なのだと目に見えてわかるから


誰かを守った
私によって傷つく誰かを守った
そうして日々が守られた

こんな細い傷で今まで積み上げてきたものが守られるのなら、自分の攻撃性も性悪さも隠せるなら、安いもんだと思った


異常だと言われるその行為は
私にとって普通になる為の行為だった


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