初夏と氷できらめいて
ある放課後、友達と地元の観光地を訪れた
ついこの前まで桜が見頃だったというのに暑くてたまらない
いつも気にする前髪をピンで留めて
真っ青な快晴の下で彼女の笑顔はよく映える
たくさん喋って笑って歩いて暑さと日差しに負けた私たち
「アイス食べたい!」
私がそう言い出すのは必然だった
友達が「私も食べたい!!」と返してきた
「よし、食べよう!!」
さっきとは打って変わって意気揚々と歩き出す
そしてすぐ氷旗を見つけた
私たちは「かき氷!」と歓声を上げながらすぐさまその甘味処に飛び込んだ
かき氷を注文して羽を伸ばしつつわくわくして待つ
友達はいちごミルク、私は黒糖ミルク
「お待たせしました」
店員さんの落ち着いた声とともに到着したいちごミルクのかき氷
少し遅れて黒糖ミルクも登場
彼女の目は氷に負けないぐらいキラッキラに輝いていた
黄色い歓声を上げながらスプーンを入れる
流行りのふわふわ氷ではなくサクサクした古き良きかき氷
これぞ“和”だ
「んー!」
幸せに溢れた彼女の声に心が緩む
彼女はなんでもとても美味しそうに食べる
そんな彼女の笑顔はとってもかわいい。前髪なんていらない。彼女のこの幸せオーラの面積が前髪に遮られて減ってしまうなんて残念だ
冷たさにはわはわ言いながら嬉しそうな彼女
なるほど
“愛おしい”という言葉はこういう時に使うのだ
17の初夏
いつの間にかかき氷を溶かさず食べられるようになってしまっていた
かき氷を飽きただのおなかいっぱいだの言って投げ出すことはなくなってしまった
それぐらい大人になってしまった
それでも、まだ
あの子の笑顔、どうか、守られていて
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