カオス、ここに極まれり
ずっとこの世界を薄ら寒いと感じていた。
現実味も感動も色もなく、ただ我に返れば笑いがこみ上げてくるような、拙い世界。上辺だけの馴れ合い、傷の舐め合い、互いを慮る美しき日本人精神!
………いや、よそう。
そんなものは必要ないだろう?
俺も、お前も――
始まりは刺々しい言葉の嵐。寄ってくる奴らを蹴散らすくせに孤独を理解されたがって、凡人に理解されない己を高みにいると錯覚した。
なるほど彼は凡人ではなかった。だが優れた人間とも言い難い。
異様に、異妖に、個に固執する狂気を心の内