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7つの習慣【読書まとめ】

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概要

著者:スティーブン・R. コヴィー(Stephen R. Covey)
翻訳:ジェームス スキナー、川西 茂

国際的に高い評価を受けるリーダーシップ研究の第一人者。真に成功を果たすには「個人としての有効性」と「職業としての有効性」をバランス良く備えることが重要であり、この2つの領域でより効果的に行動するための手引書を執筆。

本書は1990年に初版が出版されたときにセンセーションを巻き起こしており、以来1,000万部以上を売り上げ、ビジネス書として今でもベストセラーを続けている。ここで引用される具体例では、ビジネス上の課題を題材にしたものと同じくらい家庭内における状況を数多く取り上げている。

7つの習慣 ‐ 概念図

まとめ

個人の成長と成功を促進するための実践的な原則を提案しており、読者に深い影響を与える内容。パラダイムシフトの必要性と、効果的な行動パターンを身につけるための手順を解説している。ビジネスと家庭の両方で適用可能な、具体的な例と共に、人生を豊かにするための知恵を学ぶことができる。単なる一読で終わるものではなく、日々の生活に積極的に取り入れることで、その真価を発揮することが強調され、明日から実践できることを謳い文句にしたヒント集ではなく、人生に近道はないことを前提とした教えであり、じっくりと腰を据えて学び取り取る必要がある。読むだけで終わるのではなく、書いたり記録したりなどのアウトプットも同時に進めることができる内容。「人生という大きすぎる題材を一冊の本にまとめることはできない」と思ってはいたものの、ビジネスにも私生活にも活かすことができる教えであった。

想定読者

  1. リーダーシップスキルを向上させたいビジネスプロフェッショナル

  2. 自己啓発に興味がある人

  3. 効率的な時間管理や生産性向上を目指す人

  4. 家庭や職場での人間関係を改善したいと考えている人

  5. チームビルディングや組織運営に関わるマネージャーやリーダー

  6. 教育者やコーチ、カウンセラーなど、他者の成長を支援する立場の人

  7. 人生の目的や方向性を見つけたいと考えている学生や若者

内容

パラダイムシフト

7つの習慣を身につける前に、コヴィーが「パラダイムシフト」と呼ぶところの、世の中の仕組みに対する認識と解釈の転換をまず実現する必要がある。著者はこの転換の実現を支援し、生産性、時間管理、前向きな思考、「予防的に働く筋肉」(何かに反応するのではなく自発的に行動すること)の開発など、他にも多くのことに関する認識と行動に影響を与えている。

二人の人間が同じ事実を見ながらも違う意見を持ち、しかも、その両方ともが正しいことがあり得るという事実

人はそれぞれ異なったレンズで世界を見て、異なったパラダイムを持っている。そして、学生とともに行ったこの絵を用いた演習では「パラダイムが行動や態度、他人への接し方の源になっている」ことを示した。

したがって、「パラダイム転換」は大きな改善を実現することができる。

ある日曜日の朝、ニューヨークの 地下鉄で 体験した小さなパラダイム転換 を私は忘れることができない。乗客は皆、静かに座っていた。ある人は新聞を読み、ある人は思索にふけり、またある人は目を閉じて休んでいた。すべては落ち着いて平和な雰囲気であった。
そこに、一人の男性が子供たちを連れて車両に乗り込んできた。すぐに子供たちがうるさく騒ぎ出し、それまでの静かな雰囲気は一瞬にして壊されてしまった。しかし、その男性は私の隣に座って、目を閉じたまま、周りの状況に全く気がつかない様子だった。子供たちはといえば、大声を出したり、物を投げたり、人の新聞まで奪い取ったりするありさまで、なんとも騒々しく気に触さわるものだった。ところが隣に座っている男性は、それに対して何もしようとはしなかった。私はいらだちを覚えずにはいられなかった。子供たちに、そういう行動をさせておきながら注意もせず、何の責任もとろうとはしない彼の態度が信じられなかった。周りの人たちもイライラしているように見えた。私は堪えられなくなり、彼に対して控え目に、「あなたのお子さんたちが皆さんの迷惑になっているようですよ。もう少しおとなしくさせることはできないでしょうか」と言ってみた。彼は目をあけると、まるで初めてそのことに気がついたかのような表情になり、柔らかい、もの静かな声でこう返事した。

「あぁ、ああ、本当にそうですね。たった今病院から出てきたところなんです。一時間ほど前に妻が…あの子たちの母親が亡くなったものですから、
いったいどうすればいいのか…子供たちも混乱しているみたいで…」

その瞬間の、私の気持ちが想像できるだろうか?
私のパラダイムは、一瞬にして転換してしまった。
突然、その状況を全く違う目で見ることができた。

違って見えたから違って考え、違って感じ、そして違って行動した。今までのイライラした気持ちは一瞬にして消え去った。自分にとっていた行動や態度を、無理に抑える必要はなくなった。私の心にその男性の痛みがいっぱいに広がり、同情や哀れみの感情が自然にあふれ出たのである。

「奥さんが亡くなったのですか。それは本当にお気の毒に。
何か私にできることはないでしょうか」

一瞬にして、すべてが変わった。

ビジネスにおける「パラダイムシフト」

靴の商社に勤める2人の営業マンに、新規市場開拓としてアフリカ赴任人事が伝えられます。赴任地はアフリカでもかなりの奥地。住む人は皆、裸足。靴を履く習慣などない土地柄。そして赴任早々、2人の営業マンからそれぞれ、本部に報告が入ります。A 「誰も靴を履いてません。こんな所で靴なんて売れるとは思えません!」B 「誰も靴を履いてません。すごい市場です。ここなら全員に売れる可能性があります!」

朝礼ネタ・スピーチネタのコンビニ

インサイド・アウト

主観的な自分のパラダイムが客観的な「原則や自然の法則」に一致すればするほど機能的になる。
人格主義:人生を支配する原則が存在するという教え
個性主義:原則に沿ったプロセスを踏まなくても質の高い生活や周囲と有意義な関係を築けるという手法や教え
「原則」は深い基礎的な真理であり、状況によって変化する「手法」とは異なる。また、「原則」は永続的な価値を持っており、個々による「価値観」とも異なる。
人間の成長も然るべきプロセス、原則がある。今のレベルが2であれば5になるために3のレベルになる必要がある

自分の知識をひけらかしてばかりいたら、成長にとって必要な自らの無知を自覚することなど、どうしてできるだろうか。

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(作家・詩人・思想家、1817~1862)

力を借りること:外的な力に依存し、弱くなる
強要:自主的な判断力や自制の力が育たない

インサイド・アウト:7つの習慣のベース。自分自身の内面を変えることから始めるということであり、自分自身の根本的なパラダイム、人格、動機などを変えることから始めるということ。“影響を受けるより、影響を与える”という考え方であり、人生の扉は中からしか開くことが出来ない。

私的成功が公的成功に先立ち、他人との約束の前に自分自身との約束を守らなければならない。

アウトサイド・イン:うまくいかない状況を回りや他人のせいにしてしまう、他人に変化を強要する考え

習慣は太い縄のようなものだ。毎日一本ずつ糸を撚り続けると、やがてそれは断ち切れないほどのものになる。

ホーレス・マン(アメリカの教育改革者)

習慣は以下の3つの要素から成り立つ

依存>自立>相互依存 = あなた>私>私達
*自立していても、相互依存に考えたり行動したりするまで成熟していない人は、独立した生産者として好業績を上げることは合っても、チームの良いメンバーやリーダーになることはできない。

ガチョウと黄金の卵の教訓

ある日農夫は飼っているガチョウが黄金の卵を産んでいるのを見つけて驚く。それからもガチョウは1日に1個ずつ黄金の卵を産み、卵を売った農夫は金持ちになった。しかし農夫は1日1個しか卵を産まないガチョウに物足りなさを感じ、きっとガチョウの腹の中には金塊が詰まっているに違いないと考えるようになる。そして欲を出した農夫はガチョウの腹を切り裂いた。ところが腹の中に金塊などなく、その上ガチョウまで死なせてしまった。

教訓
ほとんどの人は、効果性あるいは成功について考えるとき、黄金の卵のことだけを考えがちである。生産を上げ、目標を達成しさえすれば、それが「効果的」だと思い込む。しかし、真の効果性というものには二つの側面がある。それは、目標を達成することまたは結果を手に入れること(黄金の卵)と、その結果を手に入れるために使う資源あるいは目標を達成する能力(ガチョウ)、の二つである。つまり、ガチョウを疎かにし、黄金の卵ばかりを追い求める生活様式を取り人れれば、やがては黄金の卵を生み出してくれる資源を失くしてしまうことになる。逆に、カチョウの世話ばかりして昔釜の卵のことを全く考えなければ、自分自身もガチョウも食べさせる資力を失りてしまうだろう。効果性は、この二つの側面のバランス、P(Performance:目標達成)/PC (Performance Capability:資源)バランスにある。

7つの習慣は以下の3つに分けられる。
▼私的成功
第一の習慣:主体的である
第二の習慣:終わりを思い描くことから始める
第三の習慣:最優先事項を優先する

▼公的成功
第四の習慣:Win-Winを考える
第五の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
第六の習慣:シナジーを創り出す

▼再新再生
第七の習慣:刃を砥ぐ

第1の習慣:主体的である

自分自身のパラダイムや社会の鏡によって人間の可能性を萎縮させないために、刺激と反応の間にある”自分がその後にする反応を選ぶ自由”が存在することを意識する(ビクター・フランクルの体験談)。これは動物の中でも人間にしかできない。

責任感がある人と、それがない人の違いは”主体的か、反応的か”である。反応的な人は周りの影響を受けやすい(人が親切にしてくれると気分が良かったり…)のに対し、主体的な人は自分の価値観に基づいて行動する。

自分の身に何が起こるかではなく、それにどう反応するかが重要

良い仕事に就くためには、

  1. 進みたい分野の勉強をする

  2. 能力テストを受ける

  3. 就職したい企業が直面している具体的な問題を研究する

  4. 自分の能力がどのように貢献できるかを示すための効果的なプレゼンテーションを行う

「やり方がわからない」などと言い訳せず、頭と率先力を使うことが必要である。

新しい提案を聞くと「それ、本当にできるの?」と批判しがちであるが、立場として作用するか作用されるかの違いであり、環境に左右されることのない率先力を発揮すべきである。

主体性に対する自覚を高める方法は2つ

  1. 自己達成予言となる言葉(意思)を使うこと

  2. エネルギーを集中させているところを観察する


自己達成予言となる言葉


どこにエネルギーを集中させるべきか
どこにエネルギーを集中させるべきか

主体的な人は影響の輪に集中している。つまり、関心があるだけでは主体的とは言えない。どちらに集中しているかを考える方法としては「持つ」か「なる」かを区別すること。関心の輪は「家を持っていれば」「良い上司を持っていたら」という所有の分類で、影響の輪は「もっと賢くなる」「もっと忍耐強くなる」といった人格主義の考え。

生活の主導権を取り戻す方法は「約束をし、それを守ること」と「目標を設定し、それを達成するために働くこと」である。

”問題が自分の外にあると考えることこそが問題である”という自己責任の原則に基づいた第一の習慣が「主体的であること」である。

主体性を発揮する - 応用の提案

  1. 自分白身と周りの人々の言葉を二日間聞いてみてほしい。「○○でさえあったら」「できない」「しなくてはならない」といった反応的な言葉をどれくらい聞きとれるだろうか。

  2. 近い将来、直面するであろう状況で、過去の経験からして反応的になる可能性が高いものをひとつ選んでみる。影響の輪を考慮に入れて、その状況を考え直してみる。主体的な反応を示すためには何かできるだろうか。頭の中でその状況を想像してみてほしい。そして、主体的に反応している自分の姿と行動をイメージしてみる。刺激と反応の間のスペースを思い起こし、その中に存在する選択の自由を活用する約束を自分自身にする。

  3. 仕事や私生活の中で抱えている問題をひとつ選択する。それが直接的、間接的、あるいは全くコントロールできない問題のいずれに当たるのかを考える。その問題を解決するために自分の影響の輪の中でとれる具体的な行動を打ち出して、それを実行する。

  4. 主体性の三十日間テストを実行する。影響の輪の変化を意識してみる。

第2の習慣:目的を持って始める

人間独自の特性である「想像力」と「良心」を使って人生の最後の姿を描き、それを念頭に置いて今日という一日を始めること。自分の葬式のとき、息子として、夫として、父として、兄として、友人として、同僚として、皆に自分の人格のどういうところを見てほしかったのか、どういう貢献や業績を覚えていてほしいのかを考える。(=頼りになる、唯一無二のかけがえのない存在)
すべてのものは二度つくられるという原則があり、第一に目的を持つプロセスやイメージトレーニングである知的創造、第二に物的創造がある。
また、リーダーシップとマネジメントには違いがあり、

マネジメントは物事を正しく行う事で、リーダーシップとは正しい事をすることである。

P・ドラッカー

知的創造はリーダーシップ、物的創造はマネジメントが必要とされる。これは自己リーダーシップの原則を理解するために必要な考えである。

活動の罠 :日々の生活の忙しさに追われ、忙しいことがさも価値あることかのように錯覚しているありさま。
もし、はしごをかけ違えていれば、一段ずつ昇るごとに間違った場所により早く近づくだけである。

スティーブン・R・コヴィー(米国の経営コンサルタント、1932~)

子育て中の親はコントロールや能率、ルールばかりを考えて家族の方向性他目的意識の共有化、家庭の文化や雰囲気作りが二の次になってしまいがち。個人においても、多くの人は自分自身の価値観や人生の目的を明確にすることなく、能率的な自己管理や目標達成ばかり気にして生活する。
このような状況に陥らない方法として、「ミッションステートメント」と呼ばれる、個人的な憲法または信条を個人、家族、組織用で書く事を勧めている。

ミッション・ステートメント

ミッション・ステートメントの例

自分と自分の周りの人々を信頼する
助け合いの精神に日々努める
全ての人にやさしく礼儀正しく接し、敬意を払う
誰かを変えようとする前に、まず自分が変わることを肝に銘じる
到達できる目標を定める
言葉ではなく、態度で語りかける
小さなことでも当たり前だと思わない
自分より不幸な人や、つらい日々を過ごしている人を助ける時間を作る
他人が自分と違うことを認め、その多様性を受け入れ、大きな利点と見る

私は何があっても家族の幸せを第一優先とする。幸せに過ごすための経済的基盤を築き、家族全員が自分自身の目標を実現するために手助けをする。何か問題が起これば、全員で話し合い、全員が納得する案を決める。
個人の意思は常に尊重し、自ら意見を述べることができるようにする。家族の存在意識を感じるために社会に貢献できることを全員で行う。

Franklin Planner

作成を助けるいくつか質問

  1. あなたの人生に良い影響を与えた人を思い浮かべてください。その人のどんなところを見習いたいですか?

  2. 大切な人々に囲まれている20年後のあなたの姿を想像してください。周りにいる人たちは誰でしょう? そのときあなたは何をしていますか?

  3. 2つの超高層ビルの間に、幅15センチの鉄の橋が渡されているとします。何のためならそこを渡ってもよいと思いますか? お金? 名声? 兄弟? 家族?

  4. あなたが心から勇気づけられたときのことを書いてください。

  5. もし1年が366日だったら、その増えた1日には何をしますか?

  6. 一日中、大きな図書館であなたの好きなことを勉強して過ごせるとしたら、何を勉強しますか?

  7. あなたを何に例えたらよいか考えてください。花、歌、動物など何でも結構です。なぜそれを選択しましたか?

  8. あなたにとってのヒーロー、またはヒロインを挙げてください。なぜその人を選んだのですか?

  • 自分は何が得意なのか、自分が本来持っている才能は何かについて

    1. あなたがこれまでに行った中で、最も評価された仕事や出来事を考えてみましょう。幼い頃のことから考えるとよいでしょう。もちろん1つである必要はありません。書き出せるだけいくつも書き出しましょう。

    2. あなたのこれまでの人生において、最も満足感を得られた仕事や出来事を考えてみましょう。これももちろん1つである必要はありません。書き出せるだけいくつも書き出しましょう。

    3. あなたがいつも周りから依頼されることはなんでしょう。きっとそれは、あなたが周りからその才能を認められているからでしょう。書き出せるだけいくつも書き出しましょう。

  • 周りの友人や家族に尋ねてみる

    1. あなたの仕事関係や友人、家族から3人選びましょう。

    2. 選んだ3人にあなたの才能とは何かをインタビューして、答えてもらいましょう。

影響の輪を拡大するためにも、ミッションステートメントを書くときは影響の輪の中心から始める必要がある。そこには自分の基本的なパラダイムが入っており、それが正しい原則に合っているかどうかを確認することが大切。

中心には配偶者、家族、お金、仕事、所有物、遊び、友達や敵などが考えられるが、いずれにしても安定性、方向性、知恵、力において外的環境に依存してしまうため、正確なパラダイムを持ち、生活に生み出される上記4項目において不変性を高く保つことができる「原則中心」の生活を勧めている。

※原則とは
時間を超えて不変であり異論を挟む余地のない、普遍的で絶対的な法則や自然界に存在する引力の法則などの物理法則。逆らったり変えることができず理解して自分に活かした方が良い。「誠実と正直があれば協力関係や人間関係が長続きし、信頼の土台になる」にも大数法則が働く。

目的を持って始める - 応用の提案

  1. この章のはじめで葬式のイメージ化を行なったが、そこで経験した思いを記録してほしい。その思いを整理するために、下の表(X方向に人格・貢献・達成したこと、Y方向に家族・友達・仕事・地域社会/奉仕活動のマトリックス表)が役立つだろう。

  2. 自分の今の生活における役割を書いてみる。それぞれの役割とそのバランスに満足しているだろうか。

  3. 日常の生活を離れて、個人的なミッション・ステートメントを書き始める時間をスケジュールに入れる。

  4. (本の最後にある)付録を読んで、自分に当てはまる「中心」に丸をつけてみる。それは生活のひとつのパターンを示唆しているだろうか。そのパターンは自分にとって望ましいものだろうか。

  5. 個人的なミッション・ステートメントの作成に役立ちそうなアイディアや引用文などを集め始める。

  6. 近い将来直面するプロジェクトをひとつ取り上げて、知的創造の原則を活用してみる。望んでいる結果とそれをつくり出すのに必要な行動・手順を書いてみる。

  7. 第二の習慣の原則を家族や職場の同僚と分かち合い、家族もしくは職場のミッション・ステートメントをつくるプロセスを開始する。

第3の習慣:重要事項を優先する

大事を小事の犠牲にしてはならないという自己管理の原則に対する習慣。
時間管理の4つの世代

  • 第一世代

    • 「メモ」や「チェックリスト」。時間やエネルギーに対する私たちの様々な要求を認識し、それを整理する

  • 第二世代

    • 「カレンダー」や「予定を書き入れる手帳」。先を見据えて、将来の様々な出来事や活動をスケジュール化する。

  • 第三世代

    • 前の二つに「優先順位づけ」「価値観の明確化」及び「目標設定」の概念を加えたもの。現在の主流。

  • 第四世代

    • 物や時間に集中するより、「大切な人間関係」や「生活の役割」、「大切な目的の達成」に焦点を合わせている。

第一領域は危機的な状況で、そこに集中している限りその面積は拡大しそれに寄って生活が圧倒される。
第三領域に多くの時間を使う人は反応的であり、終始ほかの人の優先順位や期待に振り回されているだけ。
効果的な人生を営む人は第三第四領域を避ける。なぜなら、それは重要でないからである。第二領域に時間を投資することで第一領域の問題をなくす。

大きな成果を出す人は、予防的に物事を考え、機会に集中することにより、問題の発生自体を抑えるということである。

P・ドラッカー

私生活の質を著しく向上させる活動、仕事の業績を著しく向上させる活動を一つ選ぶとしたら、それは第二領域にあるべき活動である。
第二領域の優先課題に、自分の中で最も熱い「イエス」があれば、大切でない事柄に足して笑顔で「ノー」と言える。そしてそれは喜ばしいことである。以下、第二領域で活動するための時間管理ツール。

  • ミッションステートメントとの一貫性

  • 健康、家族、自己啓発、仕事などのバランス

  • 第二領域に集中するための一週間単位での計画

  • 人間を重視した、「効果性(≠能率)」実行できなかったとしても罪悪感を感じない

  • 自分のやり方に合った柔軟性

  • 携帯性

以下画像の通り、役割の設定>目標の設定>スケジュール化>日々の振り返りを行う。

計画を立てたら、それを実行していくことになるが、手段が2つに別れる。「自分で行う」と「デレゲーション」である。

デレゲーションとは、ほかの人に仕事を任せることである。この時意識すべきことは自分で時間を投入する場合は「能率」を考えるべきだが、人に任せる場合は「効果」を考えるべき、ということ。
生産者とマネージャーの違いは、前者は自分自身で行う人で後者は人やシステムを活用して成果を生み出す人である。「自分でやったほうが早い」という人もいるが、デレゲーションはそれに比べて100倍以上の結果を出すこともできる。

完全なデレゲーションは手段ではなく結果を重視しており、使い走りのデレゲーションにならないようにする。以下の点を明確に打ち出して相互理解を得ると良い。デレゲーション先の熟練度によって各項目の度合いを調整する。

  • 望む結果

  • ガイドライン

  • 使える資源

  • 責任に対する報告

  • 履行不履行の結果

重要事項を優先する - 応用の提案

  1. 自分の私生活、あるいは職場の生活において、これまで疎かにしていた第二領域の活動―いつも行なっていれば、有意義なインパクトを生活に与えるような活動-をひとつ打ち出してほしい。それを書き留めて、実行するように決意する。

  2. 時間管理のマトリックスを書いて、あなたがそれぞれの領域で、何割ほど自分の時間を過ごしているかを考えてみる。それから、三日間にわたり、十五分間隔であなたの実際の時間の使い方を記録する。最初に考えていた時間の使い方の割合は、どれくらい正確だっただろうか。時間の過ごし方に満足しているだろうか。何か変化させるべきものはないだろうか。

  3. 人に任せることができそうな仕事や責任をリスト・アップしてみる。そして、それを任せる相手も書いてみる。デレゲーション、あるいは訓練のプロセスを開始するには、どうすればよいのかを考えておく。

  4. 来週の計画を立てる。まず、その週の役割と目標を書き留めて、それを具体的な行動計画に移す。一週間の終わりに、あなたの計画がどれだけ自分の深い価値観と目的を日常生活に反映したものだったか、あるいは自分の価値観と目的に対してどれだけ誠実だったかを評価する。

  5. 毎週、週単位の計画を立てることを決意し、その計画を立てる時間をスケジュールに入れておく。

  6. 自分の今使っている計画のツールを第四世代のツールに改良するか、またはそうした第四世代のツールを入手する。

以上が7つの習慣の前編「自立」部分のまとめです。

第4の習慣:Win-Winを考える

Win-Win(ウィンウィン)とは「自分も勝ち、相手も勝つ」という考え方です。当事者全員が望ましい結果を得て、満足できる状態を目指すことです。
「最後に笑うのは誰かな?」というWin-Loseの考え方や、「ご主人様の仰せのままに」というLose-Winの考え方を超克した先に存在するものです。
そしてもし万が一、双方のWin-Winを実現できないときには、勇気を持ってNo Deal(取引しない)を選択すべきなのです。

Win-Winを考える - 応用の提案

  1. これから誰かと一緒に、ある合意に至らなければならない状況、あるいは、解決に向けて交渉しなければならない状況をひとつ選ぶ。その状況において、勇気と思いやりのバランスを維持することを決意してほしい。

  2. あなたの生活の中で、Win-Winのパラダイムの応用を妨げている要因や障害になっているものを、リスト・アップする。この障害を取り除くために、あなたは影響の輪の中で何かできるだろうか。

  3. 具体的にWin-Winの合意をつくりたい相手をひとり選ぶ。相手の立場に立って、相手の望んでいる結果を、相手の立場からなるべく明確に書いてみる。次に自分の観点から、自分の望んでいるWinを確保するにはどういう結果が必要なのかを書いてみる。相手と話して、双方が満足する解決策を見つけるまでコミュニケーションを続ける用意があるかどうかを、訊いてみる。

  4. 自分の生活の中で重要な人間関係を三つ選ぶ。今の信頼残高はどのくらいあるだろうか。その残高を増やすにはどういう預け入れができるかを書いてみる。

  5. 自分の今までの脚本づけを考えてみる。それはWin-Loseだろうか。Lose-Winだろうか。その脚本づけが、ほかの人との接し方にどういう影響を与えているか。その脚本のもとになっていることは何なのか。この脚本からつくられたパラダイムが、あなたの今直面している現実に十分に対応できるものであるかどうかを検討してみる。

  6. 難しい状況においても、相互利益を求める模範的な人を考えてみる。どうしたらこの人の模範をもっと身近に観察し、それから学べるかを考えてみる。

第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される

高度な信頼関係を築き、Win-Winの扉を開くには、お互いを理解しあう必要があります。
そして本当の意味で理解しあうために必要な習慣は、自分のことを理解してもらう前に、相手のことを理解しようとする習慣です。
相手を評価したり、探ったり、助言しようとしたり、解釈しようとしたりしようとせず、相手に感情移入し、相手の目を通して人生を見つめるのです。
そのために最も効果的な方法は、相手以上に相手の立場をうまく説明することです。

理解してから理解される - 応用の提案

  1. 信頼残高が赤字になっている関係をひとつ考えてみる。相手の見地からその問題を理解しようとし、それを書き留めてみる。次にその人と接するとき、理解を求めて聴くようにし、書き留めたことと聴いていることを比較してみる。自分の思い込んでいたことがどれくらい当たっていただろうか。本当に相手のパラダイム、立場や気持ちをどれくらい理解していただろうか。

  2. 身近な人に感情移入の概念を紹介する。他人の話を真剣に聴くことを練習したい旨を伝え、一週間後にフィードバックを求める。結果はどうだっただろうか。その人をどういう気持ちにさせていただろうか。

  3. 他人のコミュニケーションを観察する機会があったら、耳をふさいで、目で見てみる。言葉だけでは分からないどのような感情を読みとることができるだろうか。

  4. 次回、不適当な自叙伝(探り・評価・助言・解釈)を挟んでいると気がついたら、その状況を預け入れに取り換えるために、それを認めて謝るようにする。「ごめんなさい。本当に理解しようとしていたのではないことに、今、自分で気がつきました。もう一度最初から始めてもいいでしょうか」というように。

  5. 次にプレゼンテーションをするとき、それを感情移入に基づいて行なってみる。相手の立場を相手以上にうまく説明してみる。それから自分の立場を相手の見地から説明し、理解してもらう。

第6の習慣:シナジーを創り出す

公的成功の最後はシナジー(相乗効果)についてです。シナジーを本書では「全体の合計が各部分の和よりも大きくなること」としています。
1+1を2よりも大きくする創造的な協力体制を目指すのです。相乗効果的な人間関係を目指そうとしても、通常は防衛的な本能が働き、相乗効果を発揮できるのは稀です。
全ての当事者が"私的成功"を備え、勇敢にも第4~第5の習慣を実践し、不愉快さや不安に打ち勝って相手との相違点を尊ぶことができたとき、初めて発揮できる能力だからです。

相乗効果を発揮する - 応用の提案

  1. 自分と違った意見を頻繁に述べる人を考える。その相違点を、第三案を打ち出すための踏み台にする方法を考える。今あなたが直面している問題、またはプロジェクトについて、その人の意見を求める。そしてその意見に価値をおき、それを真剣に受けとめる。

  2. 気に障る人をリスト・アップしてみる。あなたが、より高いレベルの内的安定性を持ち、その相違点を尊ぶようにすることによって、彼らの持つ観点が、相乗効果を生み出す原動力になることはないかを考える。

  3. 高いチームワークと相乗効果が欲しい状況を考えてみる。必要な相乗効果を支えるためには、どういう条件を整える必要があるだろうか。また、そのために、あなたは何かできるだろうか。

  4. 今後、意見の相違やぶつかり合いが発生したとき、その人の立場を裏づける考えを理解しようとする。その人の意識している事柄を考慮に入れて、その問題を、創造的かつ双方の利益になるような方法で解決していく。

第七の習慣:刃を砥ぐ

最後は他の全ての習慣を支える、人生の基本的な4つの側面の維持について説かれます。それは「刃を砥ぐ」ことです。
以下4つの側面についてバランス良く取り組むことで、自分自身という最も大切な資源を維持するのです。

  1. 肉体

  2. 精神

  3. 知性

  4. 社会・情緒

肉体とは、食事と休養と運動に取り組み、主体性を発揮できる高いエネルギーを手に入れることです。
精神とは、揺るぎのない穏やかで明朗な心を持つ事です。
知性とは、読書をはじめとして先人たちの知恵や知識や思考法を学び、適切なアウトプットによって知的側面の刃を砥ぐことです。
そして社会・情緒とは、社会における良好な人間を築くことで、情緒的な安定を得ることです。対外的な安定は情緒的な安定と深く結びついているのです。

刃を研ぐ - 応用の提案

  1. 生活様式に見合った自分の健康状態を維持する活動で、長期にわたって継続できるものをリスト・アップしてみる。

  2. リスト・アップした活動のうちのひとつを選び、今週の目標に取り入れる。一週間が終わったところで自己評価を行なう。目標が達成されていなければ、それは自分の真の価値観から判断して、もっと大切なことがあったからなのか、それとも自分の価値観に忠実でなかったからなのか、考える。

  3. 同じように、精神的または知的再新再生の活動のリストをつくる。それから、今改善したいと思っている人間関係をリスト・アップする、あるいは公的成功が必要とする場面・状況を明確にする。それぞれのリストからひとつの項目を選び、今週の目標に取り入れる。そして、実行し評価をする。

  4. 毎週、四つの側面のそれぞれにおいて、刃を研ぐ活動を書き、実行し、結果と実績を評価することを決意する。

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