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日記

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2019年4月の記事一覧

日記

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おともだちからお便りがきた。彼女が書きたいときに送られてくる葉書の文字はいつもこにょこにょしていて、画数の多いうちの住所が奇跡のように器用に記されている。平成が終わっちゃうね、さびしいね。令和は薄紅の色のまま初夏をつれてくる。会いたいって言ってもらうまで会いたいよって言えないのは、彼女に近づきすぎることがゆるされるのかどうかわからないからなのだろう。すきなものが・興味をもつものが・やりたいことが・

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大島真寿美さんの『あなたの本当の人生は』を読み終えた。十四冊め(ちょっとした目標があって年内に読んだ本の冊数を数えているのだけれど、目標を明らかにするとできなくなる癖があるのでなにをしているかは秘密。進捗はかなり駄目)。ぱっとしない新人小説家の國崎真実が担当編集者の勧めで憧れの作家・森和木ホリーの弟子に、正式になったのかなっていないのか、そこのところははっきりとしないしさせなくていいのだれど、なん

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二人称は詩のことばではないと気がつく瞬間があって、なんでそうおもっていたのかもわからないままに、けれども二人称の違和感を忘れないようにしようとむかしから決めていたことを再認識したのだった。詩のように美しい二人称小説のこと。リチャード・ブローティガンの『西瓜糖の日々』。あの小説を読んだのは大学一回生のときで、西瓜糖で世界ができていることと、ポーリーンという名前のひとがいることと、なんだか虎が出てきた

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後輩が平成最後に納車したバイクの名前を募集していたときに出た「31」について囚人番号みたいでありやなと答えていて、じゃあわたしのあたらしい名前も囚人番号なのかもしれないなと、なにか重要なことに気づいたきもちになった。漢字の筆名も、7235という数列の読みかたも、考えてはあって、けれど、なんと読むかはひとに委ねてしまおうとふっとおもったのだった。呼びづらいだろうか。不親切かもしれないとおもいつつ、ひ

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おもうことが贅沢な時間、なのではなく、おもったことをこころにとめておく行為が贅沢な時間なのではないか、といったことを考える。やはり池田澄子さんの『思ってます』のことを考えていて、仕事から帰宅して買いもの袋をおろす瞬間に、(おもってません)、(ていうかおもえません)、というきもちになることが多々あって、別になにも考えずに生きているわけではないのだけれど、ふっとおもってきたことばが飛んでいってしまうタ

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