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日記

後輩が平成最後に納車したバイクの名前を募集していたときに出た「31」について囚人番号みたいでありやなと答えていて、じゃあわたしのあたらしい名前も囚人番号なのかもしれないなと、なにか重要なことに気づいたきもちになった。漢字の筆名も、7235という数列の読みかたも、考えてはあって、けれど、なんと読むかはひとに委ねてしまおうとふっとおもったのだった。呼びづらいだろうか。不親切かもしれないとおもいつつ、ひとのことなんてどうでもいいと言いながらも妙に八方美人なところがあって、すぐにわかりやすく定義づけようとしてしまうサービス精神はもうやめようと決めたから、誰かが呼びたい読みかたを決めてくれればいい。
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8eeさんがそうなのだった。わたしがすきなリズムゲームの難しい譜面を右と左の親指だけでやってのけるとんでもないひとで、あるとき質問箱の「お名前はなんて読めばいいですか?」といった質問に「なんでもいいですよ」と回答されていて驚いた。本名にしても筆名にしても書き間違えられたり読み間違えられたりすることが多くって、名前くらい正しく認識してよ、失礼な者どもめ、とよく怒っていたけれど、だれかにとってどんな名前でもじぶんはじぶんなのだから、どう呼ばれても構わないのかもなとおもえるようになった。わたしだって野良猫だとおもっていた猫にムギという名前をつけて、ほんとうは飼い猫で名前がモヨコだとわかってもそうは呼ばなかったのだから、それとおなじだ。ちなみに8eeさんのことは油ゴリラ先輩と呼んでいる。
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「京都タワー見えてるで」
「お、きょうはちゃんと光ってるやん、」
「「半分」」(マン/だけかもしれへんけど)
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大学を卒業してからやっていたブログと、ここ半年のあいだやっていたブログを非公開にした。いまおもえばこいびとのことばかり書いて恥ずかしかったなとおもうけれど、それだけこいびとがわたしの感情に大きく作用していたということなのだろう。ひとつめのブログは、新卒で就職しなかったのだからせめて書くことをやめてはいけないとおもってはじめて、祖父と伯母が亡くなったころにじぶんのことばがどれだけ書いても嘘くさくおもえてしまって更新を途切れさせてしまった。ふたつめのブログは、こいびととの同棲生活がはじまって一か月が経ったころにやはり書くことをやめてはいけないとおもってはじめて、けれども創作の時間を投稿や賞に出す作品に全振りしたいとおもうようになってやめてしまった(ブログにエッセイを書くにしても写真をつけて散文を書くにしてもそれなりに時間をかけていたのだった)。どちらも週に一度更新するというルールを設けていたのだけれど、なんというか、そうしなくてもわたしは書きつづけるだろうとじぶんのことを信用できるようになったのでやめた。そのうち、気に入っているものだけこちらに連れてきて、あとのものはわたしのがわでデータだけそっと残しておくことにする。
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光の話だけをしようかぬばたまのリンスインシャンプー注ぎ足す夜の
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「愛の力でクリアじゃ」
「愛があるんですか?」
「ないんですか……?」
「ありますよ」

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