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【私と本】麻布十番でフランス料理

 佐々木倫子さんの作品はどれも好きだ。動物のお医者さんとか、おたんこナースなど、いま読み返しても楽しめる。
 この『Heaven?』ももう何度読んだかわからない。

 オーナーの黒須仮名子の独特な性格、主人公の伊賀くんはあらゆる理不尽を一手に引き受けるあたりが気の毒だし、他のキャラクターの良さもそれぞれ色んな場面で光ってくる。こういうところは佐々木倫子さんのどの作品にも共通していてそこが好きだ。

 昨年だったか、Amazon Prime Videoにこのタイトルのドラマを見つけ、みたところ石原さとみの主演でドラマ化したものだった(日本のドラマに疎い)。興味を惹かれてまずネットで検索すると、予測変換に『石原さとみ ドラマ キムタク化』みたいなワードが出てくる。なんだろうと思いつつ、ドラマをひと通り観たところ、なんとなくその感じがわかった。
 つまり、キムタク化というのはどの作品においても演じているキャラクターになりきれず、木村拓哉感(この場合石原さとみ感)が全開みたいなことらしい。
 石原さとみの他のドラマなどは観たことがないけれど、海外ロケに行っている番組をちらっと観たことがあって、そこで案内役をしている彼女はなんというか、あまりいい印象は受けなかった(個人的な意見です)。
 それまでは、きれいなタレントさんだと思っていたけれど、その番組で買い物やコメントをする姿に首をひねりたくなるような場面がいくつかあった。

 まあそれはいい。

 コミックスになったのが、2000年だそうだからもう20年以上になるとは驚きだけれど、初めて読んだ当初からしばらくはフランス料理に縁などなかった(今頻繁にあるというのでもないが)。
 とにかくフランス料理というものに対しては”レストランで食べる料理”、あるいは”レストランでしか食べられない料理”という認識が長い間私の中にあった。

 最近で言えばときどきはビストロといったお店で食事をすることもたまにあるけれど、やはり身近ではないし、コース料理となるとぜんぜん縁がない。
 という私が初めてコース料理を体験したのは、従兄がオーナー・シェフである麻布十番のお店でだった。

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 数年前に母と姉がコンサートに行くので旅行を計画していた。この2人の目当てはコンサートなので、私はその旅行に関しては部外者であったのだけれど、2人がこの従兄のお兄ちゃんの店に行くんだと話していたことから興味が出てきた。姉は2、3度訪ねたことがあり、その料理の素晴らしさを行くたびに教えてくれた。母は初めてで、楽しみにしている様子を見ていたら俄然行きたくなり、私もついていくことにした。

 私の誕生日が近く、姉がご馳走してくれた。東京に住んでいるSUお姉ちゃんにも声をかけ、4人でランチをしたのは思い出深い。お兄ちゃんとは実に20年ぶりくらいになるので、再会というのもうれしかった。
 そして、料理はどれも全部おいしかった。野菜がイキイキとして、メイン(魚にした)はしっかりと味わい深く、サービスが隅々まで行き届いていた。デザートはスペシャリテの黒トリュフ入りのクレープと贅沢をさせてもらい、これがもう忘れられないおいしさだった。

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黒トリュフ入りマスカルポーネのクレープ(名前が入っていますね)

 現在も色んな制限の中、お店を維持していて、この夏はカフェ営業の試みなんかもやっているということ。こちらもなかなか再訪ができないけれど、またいつかおいしい料理とお兄ちゃんの笑顔に会いに行きたい。

Heaven?~ご苦楽レストラン


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