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喫茶店アルバム-久留米市-

 父と話していて久留米に行ってみたくなった。大学時代にアルバイトをした喫茶店がまだ現役だというし、その店で一緒にアルバイトしていた同級生の店も近いという。

 梅雨が明けきらない2014年の7月、雨こそ降っていないけど蒸し暑い日だった。父とふたりでJRに乗って、久留米に向かった。
 どうでもいいことだけど、姉から「お父さんはJRに乗る時はいつもビールとかまぼこと新潮を買う」と聞いていて、黙ってみていたら見事にそのセットを買った。うちの父はこういうことをする人である。

 まずはアルバイト先の「那珈乃」に向かう。マスターはその時すでに70歳を超えていた。父と私をとても歓迎してくれた。いっぱいあるメニューの中から、飲みたいものを選んでオーダーして待つ。動きはゆっくりだが、年月に磨かれた手さばきで注文を受けたものをつくる。父が言うには昔この店の床はピーナッツの殻でいっぱいで、床板なんか見えなかったほどだという。喫茶店の店主などはわりと変わり者が多い。

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 丁寧に淹れてくれたコーヒーはおいしかった。豆を変えて2杯ずつ飲んだ。私はだいたいぼんやりと生きているので、どんなことを話したか忘れてしまったが、行っておいてよかったなと思っている。この店は2017年に閉店してしまった。自家焙煎のコーヒー豆はその後も販売を続けているとのことだったが、お元気だろうか。

 那珈乃のマスターにご挨拶をし、次のお店に向かう。歩いて3分もかからなかった。こんなにすぐ近くで…この店は「むた珈琲館」という屋号で、家族で経営している。ちなみに、那珈乃で共にアルバイトをしていたが、今は特にお互い寄りつかないんだそうだ。こんなにすぐ近くにいるのに…やはりすこし変わっている。

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 ここでも歓迎してもらった。熟練の手つきでコーヒーを淹れてくれ、手づくりのプリンまでいただいてしまった。那珈乃で2杯飲んでるし、もうお腹の中はコーヒーでいっぱいである。「時代が変わってしまって、家族でやっていくのも精いっぱい」などと仰るが、とても忙しそうだった。

 こちらも行っておいてよかった。次の年に移転している。すぐ近くだが、以前の店をみておくことができたのがうれしい。個室もある、いい店だった。

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 2018年に、仕事で福岡県大刀洗の今村教会を訪ねた際に、地図と時間を見たら寄れそうだったので新しい店に行ってみた。お昼時で込み合っている時間帯に突然の訪問で申し訳なかったが、歓迎してくれた。コーヒーを飲み、父の近況などを話して過ごした。

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 活気があった。

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