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【私と本】さくらももこさん

 20代になったばかりのころ、2度目の移住をした。知らない土地に引越すというのは、しばらくは友人もいないし、仕事もしていないと心細く時間を持て余すことになる。きっかけは忘れたが、さくらももこさんのエッセイ本をひとつ読み、その後立て続けに読んでいた。独特のおもしろい文体は心がなごむし、なんだかお気楽な気分になれるところがいい。さみしさが薄れていく気がした。

 つい最近、意外なところでさくらももこさんの本に再会した。最近のちょっとした楽しみのひとつである「Quiz knock」というサイトのこのコーナー。紹介文を読んで、また読んでみたくなったので図書館で借りてきた。

 ここに紹介されているように、「独特の言語センス」も本当にすばらしいのだけど、この本ではさくらももこさんがどんなふうに日々を過ごし、夢をかなえていったかが綴られていて、胸があつくなる。

 この本の他では「あのころ」「まる子だった」「ももこの話」のどれかを通じて「装丁(装幀)」という言葉を知った。だいたいが本のカバーをじゃまくさがる性格なのだが、作家さんや装丁家の方などが試行錯誤をしてデザインしたり、書体や色を決めているんだと知ったとき、また本に対する興味や愛情が湧いた。思い出深い作家さんなので、亡くなってとてもさみしい。

 中高生でなくとも、手に取りやすくたのしい本。これからもたくさんの人に読んでもらいたい。

ひとりずもう

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