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夜勤の思い出

長年高齢者を相手に仕事をしていると、
毎日いろんなことがおきます。

今回は夜勤中に起こったことを少し綴ります。
嘘のような本当の話。


***

その①廊下でバイオハザード

認知症の方は朝も夜も無くなることがあります。
ふと目が覚めて、知らない天井。
「ここはどこ?知ってる場所に行かなくちゃ。」
なんて思うのかもしれません。
施設によっては、センサーマットはダメ!なんですよね。
そうなると定時に加えてこまめに巡視をします。
が、タイミングを逃すと出てきちゃうんですよ…。
気配がして振り返ると、床を這ってる『何か』
ゾンビのようにごそごそ動く影。
油断してると本当にびっくりします。
そしてすぐに全身チェック。怪我してなければ一安心。
からのベッドへ戻ってもらう為に試行錯誤。
不穏にならなければラッキー。
そのまま詰所で見守り必須な事もしばしば。。

その②かすかに聞こえる般若心経

なんでしょうね、夜にお経唱える人多くないですか?
遠くからボソボソ聞こえるお経は真面目に怖いです。
クレームがくる前に辞めてもらおうと思って訪室すると
皆 寝てたりするんですよね。
え、まさか気のせい?と思って詰所に戻ってる最中で
また聞こえ始めたりして。行くとやめるし。
それを何回か繰り返したりして。
コントなの?って。
だいたい目星は付いてるんですけど、
声かけても知らん顔されちゃったりしてね。
そういえば 夜になったら歌いだす人とかもいますね。
『籠の鳥』って曲を夜中に必ず歌う人がいて、
なかなか暗い歌詞だったのでビビりながら訪室したら
大失禁してて、利用者さんに寒い寒いって怒られながら
全身更衣したっていう悲しい過去を思いだしました。

その③布団をめくると裸


まんまです。布団めくると素っ裸。
春夏秋冬、季節を問わず高確率で素っ裸。
風邪ひかないの凄いなあって感心します。
おむつは綺麗に畳んで枕元に置いてありました。
この方、床におしっこするからシーツや衣類は無事で
それだけが救いだったんですよね。
深夜に床のおしっこ掃除するのも辛かったですけど。。

その④裸のおじいさんが詰所まで来る

「コンコン、失礼します」
深夜2時頃になると詰所に出てくるおじいさん。
半々の確率で服を着ていません。
なのにお気に入りの帽子だけはしっかり被ってたりして。
なかなかおちゃめなおじいさん。
「私はどうしたらいいですか?」
トイレに起きて、部屋が分からなくなるようでした。
服は部屋に脱ぎ捨ててあったり、トイレにあったり。
洗面所で洗ってビシャビシャになってた事もありました。
そうそう、男性用の立ち便器で大便をしていた時。
あれは本当に悲しかった…。
目の前に洋式トイレがあるのに…!どうして…!って。
今では良い思い出ですけど。笑

その⑤ぶちまけられたポリマー

ポリマーっていうのは、オムツやパットの吸収体です。
破れるととポロポロ小さな粒がたくさん出てきます。
ポリマーが水に濡れるとゲル化して膨れ上がります。
そうして尿を吸収してくれるんですが、、
どれだけ悲惨な状況になるのか分かる人は多いはず。
まず、粒が小さいし舞い上がるので回収が難しい。
そして、水に濡れた状態だともうヌルヌルして最悪。
拭いても拭いてもヌルヌル。ヌルヌルとの戦いです。
トイレで発生したら、そこのトイレはしばらく使用不可。
長い掃除が終わるまで立ち入り禁止です。
朝のトイレラッシュまでに何とかしないと大変。

***

今回は全て15年前の勤務先で起きた出来事でした。
当時は若かったので、イライラする事はあれど
有り余る体力で乗り越えてましたね。
今もし目の前で同じ事が繰り広げられたとしたら…
考えたくありませんね〜。特にポリマーは本当に嫌。

そんな今日も夜勤です。
あ、一句出来ちゃいました。

長い夜   やっぱり平和に   過ごしたい


お粗末さまでした。

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