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イスラム教の理論読書感想文
前回、飯山陽氏の『イスラム2.0』の読書感想文にも書いたのですが、2.0を読んで氏のもう一冊の本も気になってしまったので、読みました。
それがこちら、
「イスラム教の論理」です。本書をざっくり、ほぼネタバレなしで感想文を綴ったつもりです。
さて、『イスラム2.0』から引き続き読んだのですが、出版されたのがこちらが先になりますので、『2.0』と重複する内容も多いですが、本書の方がよりイスラム法の解説が詳しいと思いました。というのも、イスラム法・コーラン・ハディースの関係について、読み進めていくほど詳細になっていくからです。
全7章から構成されている本書は、1章でイスラム国とイスラム教徒の反応とその根拠を挙げ、イスラム過激派と穏健派のグラデーションな関係性を紐解いているので、ここだけでもイスラム教徒とイスラム法、イスラム社会についてうっすらと知る事ができました。
続く2、3章は『2.0』で取り扱った内容のコンパクト版になるでしょうか。『2.0』ではSNS時代のイスラム教徒についてより詳細に書かれていますが、そこで起こっているイスラム法の解釈について、本書の4、5章で深掘りされている感じです。『2.0』でモヤモヤしていた事を知る事ができました。
最後の6、7章はまえがきで触れていた、日本を含めた民主主義社会のシステムとイスラム教社会のシステムの違いを、ヨーロッパ社会の反応とイスラム社会、イスラム教徒の反応に対比させて解説しています。
しかるに、ジハードについて解説を読み進めているうちに、ふと子どもの頃に読んだ首狩り族の話を思い出しました。記憶違いでなければ、彼らが首を狩るのは、首塚が高ければ高いほど天国に行ける、またその血でできた川で体を洗えば清められると信じていたからだとか。
ジハードをするほど天国に近づけるという発想はそれに似ているかも知れないと思いました。…こう表現すると絶対激怒されるだろうなと想像できるくらいにはイスラム法解釈の方法を知る事ができます。
他に、ジハードについて、後ろ髪を引かれる思いをさせない説明としてコーラン第41章31節が引用されていました。それによると神は友であり、この友の命令でジハードを行う必要があるという事らしいのですが、友とは…。
さておき、本書で個人的に最も印象的だったのが、預言者ムハンマドと第5章です。ムハンマドは質素な生活をしていて、死んだ時はほぼ何も持っていなかったといいます。今まで目にした学習漫画系統のムハンマドは総じて良い身なりをしていた覚えがあるので、それ自体がイスラム教の理解が複雑である事の表れだったのかなと思いました。また、第5章は本書で1番読み進める事が苦しい章だと感じました。というのも、イスラム社会の性暴力について触れている事もありますが、暴力の被害者のケアがほとんどなされないような環境である様に見えたからです。実際にはケアセンターがあるのかもしれませんが、それはこの章からはよく分からなかった事も一因とは思いますが。
最後に、飯山陽氏の著書2冊を読んで、イスラム教のアレやソレやについて、世界の宗教界はどの様な反応をしているのか気になりはじめました。
以上が感想になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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