マンガ「エレナの炬火」感想文:異世界猫耳娘の介護伝記譚
https://note.com/aokishi/n/n4cda81de4bac
この作品は、
銃後の世界で、傷ついた人たちと向き合い誠実に手を差し伸べ続ける主人公の伝記譚…というところでしょうか。
この作家…絶対業界で働いたことある…
それが、第一話を読んで虜になった理由の一つでした。
さて、青騎士の紹介にある通り確かに綺麗な線画も魅力ですが、それ以上に、その美しさから描き出される介護の理想と現実に思わずうなってしまいました。
というのも、エッセイ漫画では描けないし、介護をテーマにしたマンガでも表現できない、そんな現実に適応する葛藤を見事に映し出しているからです。
また、所々に散りばめられた現実の介護でも起こり得る、ささやかな小ネタが、この作家が現場で働いていたことがあったのでは、というリアリティを生み出しています。もし、介護現場にいた事がないとしたら、かなり詳しく調べているか、身近に関係者がいるのではないかと思わずにはいられません。
とはいえ、内容に関しては青騎士で紹介されていたあらすじがそのままであります。しかし、「一国家の福祉のあり方を変えた」と仰々しく紹介されているのとは裏腹に、主人公エレナは日々の介護で誠実に被介護者と向き合っているのにすぎません。
主人公は、決して国を変えてやろうとか、そういう思いを秘めているわけではなく、それがまたこの作品の憎いところでもあります。
2023年2月現在、4話までが発表されています。1〜3話まではエレナと仲間たちが施設の中で働きながら見出した疑問や希望が繊細に描かれていますが、4話目ではそれまでの優しい雰囲気から一変し、それまでぼんやりとしていた戦中の描写が具体化され、エレナたちの通ってきた道の険しさが浮き彫りになりました。
今後をどのように展開させていくのか、ターニングポイントにもなるエピソードだったのではないでしょうか。
今月に5話目の発表と1巻の発売を控えている、ぜひ一読してほしい作品です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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