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AIによる面接は優れているのか?

人材媒体社で働く面白みの一つは大小や業界問わず様々な企業様とお仕事ができることだと思う。

主に私はアルバイト求人を扱うことが多いため担当のクライアントから話を聞いたことはなかったが、どうやらAIが求職者を評価する時代が到来しているらしい。

興味を持ち調べてみると、AIの活用は大手企業の新卒採用活動を中心に導入が開始しているようだ。


ソフトバンクでは今年の5月からAI動画面接システムを取り入れていたようだが、メリットが以下の表にまとめられている。


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学生側としても採用側としても時間の節約ができることが共通するメリットのようだ。

ソフトバンクほどの知名度の企業であれば応募者が殺到するであろうことを考えるとても効率的で理に叶った取り組みのように思える。

だが、記事を読み込んでいくとAIを活用するのも一筋縄ではいかないようで

評価指標を細分化したり、感覚的に判断していたものを言語化したり様々な取り組みをした上で、人間が判断を行うのと同じ精度でAIが判断できるよう3ヶ月間PoCを続けてきたようだ。


日本ではソフトバンクのAI活用が先陣を切った取り組みになるが、アメリカではもっと積極的に採用分野でのAI活動が進んでいるらしい。

一方でAIがスクリーニングをすることで女性の候補者を不当に低く評価してしまった事が分かり、AmazonではAIの活用を取りやめたというニュースも発表されている。

仮に日本企業が男性や日本人中心、学歴といった旧価値観に基づく採用データを学習させると、性別、国籍など多様性を排除する分析を行う可能性もある。


日本の女性管理職登用が進んでいないという現状を鑑みると、日本は特に多くの企業で女性にとってAIの導入が不利に働く可能性がある。

性別だけでなく、場合によっては特定の人種や出身地域(貧しい人が多く住む場所出身)などがAIによって「不適合な人物」として振り分けされる可能性もある。

記事には離職率が高い人の特徴をAIに分析させた例も載っていたが、面接の時点で仮に離職するリスクが高い人物だとの判定が出ればその人は採用されないかもしれない。


リスクについて学んでいくとAIってやっぱり怖い・・

と思ってしまうがAI=悪 と片付けてしまうことも違うのかなと思う。


というのも、

AIは会社で働く人の考え方や思考パターンを学習しているにすぎない。


選考において気づかないまま面接官が偏見をもって判断しているのであればその内容がAIに反映されるであろうし、

部署や年齢、性別など偏ったデータを入力すればAIの判断も恐らくその層に偏る。

ある意味AIはその会社の採用選考のあり方を写す鏡なのだ、

だからこそソフトバンク社が導入に3ヶ月かけたように細かい評価観点のチューニングや改善を回していく必要がある、ということかと思う。


コロナの影響もあり面接でのAI活用は進んでいるとか、

ゲーム形式でAIが人材の能力を判断するサービス(複数の会社で検証済み)という新しいサービスも出ている。


いろんな産業がAIなどテクノロジー抜きでビジネスを進めることはできない時代になってきているが、

AIは決して全ての課題を解決する魔法の杖ではないし

使い方によっては人を傷つけることもある。


人材業界という人の人生に携わる世界で働いているからこそ、

新しいテクノロジーの取り入れ方について真剣に考えていきたい。






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