ほとんどのプロダクトの最大ポテンシャルは放置されている
〜顧客起点マーケティング Part 15〜
今回は、前回に引き続き「認知形成の重要性」に関して、より掘り下げて説明したいと思います。
まず、皆さんの担当されているプロダクトが100%シェア取った場合の顧客数は何人か、答えられるでしょうか?これが、ご担当されるプロダクトのターゲット顧客全体=マーケット全体ですね。
これを、9segsの文脈では「顧客ベースのTAM」と呼んでいます。
BtoBであってもマーケット全体の総数が何社なのか、幾つの事業機会を対象としているのか、などで数値化できるはずです。実は、ここが明確でない場合が多いのではないでしょうか?
ここが明確であれば、担当されているプロダクトの現在の顧客の人数は何人で、ターゲット顧客全体の何%シェアに相当しますでしょうか?そしてそもそもターゲット顧客全体の中で、担当されているプロダクトを知っている割合=認知率は何%でしょうか?
この質問に即答できる方は、実はあまりいらっしゃいません。ぜひ、大雑把な推測で良いので数字を出してみてください。すると、担当プロダクトのマーケットシェアは、まだ数%、認知率も50%以下であることに気づかれるかもしれません。
これまで様々な業種を調査してきましたが、年間に継続して何万G R P(数十億円)をT V C Mで投下するようなプロダクトでない限り、世の中の商品やサービスのほとんどが、そのターゲット顧客全体で50%の認知も獲得できておらず、大きな成長機会を放置している状態です。
この未認知層は成長機会とも言えますが、自社プロダクトが如何に優れていても、追随競合が先に認知を獲得したら、競合に一気に流れるというリスクがある層です。優れた自社商品をお持ちの会社は、競合商品が登場すると、それを単なる模倣で「新しくない」から脅威ではない、と軽視しがちです。しかし、未認知顧客層にとっては、その競合商品は「初めての新商品」として受け入れられるのです。ターゲットとすべきマーケット全体を俯瞰し、顧客起点でマーケティングを組み立てるべき理由がここにもあります。
ポジティブに考えると、マーケットのターゲット顧客全体で50%の認知すら取っていない商品は、今実現している顧客数や売上の倍以上の成長ポテンシャルを有しており、またネガティブに捉えると、追随する競合の参入で大きくビジネスを失うリスクを抱えています。
まだ実現できていない成長のポテンシャルが存在する理由と典型的な課題を簡単に3つに整理してみます。
【1】そもそも知らない(未認知)
→マーケティング投資対象のターゲット顧客層と訴求内容の見直し
→メディア戦略(選択や投資量)の見直し(特にマスメディアや大きな販売網を使用しない場合の認知形成は限定的になりがち)
【2】知っているが買う理由や動機がない(認知かつ未購買)
→ターゲット顧客層と訴求内容の見直し(「プロダクトアイデア」の問題か、「コミュニケーションアイデア」の問題かを見極めて「アイデア」を強化する)
→便益に対して価格が適切かどうか見直し(許容される価格を見極めて改定)
→そもそものプロダクトアイデアの改良(独自性がないのか、便益がないのか、四象限で精査し強化する)
【3】知っていて買いたいが販路がない/わからない(認知かつ未購買)
→販路自体の拡大強化、もしくは、どこで買えるのかという販路自体の認知形成の強化
このような未実現の機会をどのように実現するかは、丁寧に顧客一人を対象とする「N1分析」を起点にした顧客起点の思考が重要になります。次回以降で説明します。
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