ARTを食べるグルメ鑑賞
「ひえ〜!」
「食べたくない〜!!」
そう言わしめたのは、こちらの作品
エドヴァルド・ムンクによる「叫び」です。
この「叫び」を食べるワークは、オンラインでの鑑賞の実験として行いました。
インプロアカデミー(スポーリンクラス)の即興演劇を学ばれている皆さんと共に実験!
今年から、オンラインでのARTワークショップを行う機会が増え、いかにオンライン上で創造的な時間を作れるかを探求しています。
その中の一つに、「虚体験」という「現実に体験しているわけではないけれど、それを実際に身を以て経験すること」をオンラインワークショップの手法の一つとして使用することが多いです。(興味ある方は下記のURLにて)
今回のグルメ鑑賞ワークショップもその一つで、けして現実に食べているわけではありませんが、夢でご飯を食べるように、想像の世界でARTを口に含んで味わってみることに挑戦しました。
例えば、梅干しを想像してみてください。
すっぱい、すっぱい、すっぱーい!!梅干しを口に含むことをイメージすると…!
(梅干しをじ〜と見てみてね)
…どうでしょう
唾液が出てきませんか?
これがイメージの面白いところで、現実には食べていないけれど、身体的にその影響をもたらすことができる。
その身体的な影響に関しては、現実に起きたことといえます。
果たして、現実なのか非現実なのか…?
今回は、そんな味覚に注目して、鑑賞ワークを行なってみました。
まずは、準備運動としてみんなで梅干しを食べて、身体感覚を共有したのち、トーストにバターを塗って、香りを楽しみながら口に含み、味や舌触りを楽しみます。
(もちろん想像ですが、案外夢のように本当に香りがするときもあるようです)
味わう準備ができたら、用意したARTメニューの登場です。
本日は、こちらのメニューを用意してみました。
〜本日のメニュー〜
1.フィンセント・ファン・ゴッホ作「ひまわり」(1888年)
食べ方は、ペースト状にして、こんがり焼いたトーストにまんべんなく「ひまわり」を塗り、いただきます。
・食レポ
「ひなたのような味。水分が持ってかれる」
「ペースト状だけど、ジャリジャリした舌触りが取れない」
「後味で、ミントの香りがスーと鼻を通って行った…」などなど
〜本日のメニュー〜
2.エドヴァルド・ムンク作「叫び」(1893年)
冒頭でご紹介した絵画。
「次のメニューはこちらです」と、出た瞬間
「ええええ、、!?」
「ひえぇ‥」
と、お客様は混乱しているご様子。
ペースト状にすると、よりなんともいえませんね……。
恐る恐る食べてみると…!
・食レポ
「トリップしそうになった…」
「人間が食べていいものじゃない…これは危険物だ…」
「口の中でバチバチした!!」
「腐ってました……」
こちらのメニューは、口には含んだけれど、飲み込見込めず困っている方が多かったので、ナプキンに「ぺっ」と出しても大丈夫にしました。
「うえ〜」となっている方が多いので、
最後に、口直しとして、こちらのミルクをいただきました。
こちらは、ヨハネス・フェルメール作「牛乳を注ぐ女」(1657年-1658年)によるミルク。
「口が大変なことになっていたので助かった…!」というお声をいただきました。
・食後トーク
「『ひまわり』は食べやすかったが、『叫び』は食べたくなかった、何がそれを拒否させているのか…絵の背景を知ればわかるかも‥!『だからまずかったのか!』って!」
「視覚的な鑑賞は、客観的な距離があるけれど、今回みたいな体に取り入れる鑑賞は全く違くて、非常に距離が近かった。」
「目で見て感想を言うと、頭が働くけれど、食べちゃうと頭が動かない。俺の味覚がそう言ってるんだ!って発言も視覚的鑑賞より、もっと自由にできる感じがした」
ARTを食べるグルメ鑑賞。
目で見るだけではない、味覚で味わう鑑賞も、新たな鑑賞の形として可能であることがわかりました。
感じている味や香りが一人一人違うことから、私たちはどうしたって独創的にならざる負えないことがわかります。
視覚的に絵画を鑑賞した際に「どう感じているか?」と聞かれると、
「変なこと言っちゃってないかな‥」
「いいこと言わなきゃ!」
「〇〇さんと同じなんですけど…」
と不安に感じたり、自分を大きく見せたり、誰かと同じように感じていると思ってしまう時もあるかも知れません。
では、口に含んでみると?
もしかしたら、味覚を通して、今までにない、あなたの感性を呼び覚ましてくれるかも知れません。
いかがでしたか? 最後まで読んでいただきありがとうございます。 またいつでも遊びに来てくださいね。