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『鬼滅の刃』を教育視点で超分析!鱗滝さんの「優しすぎる竈門炭治郎」の育て方②(入門試験編)


どうも、まあくうです。
突然ですが、朝詐欺にひっかかりまして。
普段見ないんですけど、何か話題ないかなと気まぐれにYahooニュースの記事を見ていたんですよ。
その時にすごく興味深いニュースがあったんです。『あの人気アニメがついにゲーム化!』っていう。二次元ヲタとしては「どんなゲームだろう?」って気になるじゃないですか笑 と思ってクリックしたのですがね、まさかね、別のページに飛びましてですね、「あれっ?」と思ったらですね、いきなりゲームが始まったんですよ!
僕は単純に何のアニメか、その情報を知りたかっただけなので、前のページに戻るボタンをクリックしたんですが、改めて見て気付きました。僕がクリックしたの記事じゃなくて「広告」だったんですよね。あれ、記事のなかに入っていて紛らわしくないですか? 絶対わざとですよね。はーっ詐欺ですよ詐欺!


…ふぅ、すっきりしました(成仏)


すみません、成仏の儀式に強制的に参加させてしまいました。

ということで! 今回は前回書いた『鬼滅の刃』の記事の後編になります(↓こいつの続き)


『流行したマンガ』ってやはり何かしらヒットした要因が複数あって、僕たちにいろんなことを教えてくれるものだと思います。『鬼滅の刃』なんて、ストーリーが考え練られすぎて、展開に必然性しか感じない、もう大好きですよ。キャラが勝手に動き出してるんだろうなーと思いつつ、でも物語の展開も破綻せずにきっちり一つ一つ意味がある。そう思わせるだけの漫画です。

ということでいきます! 「あの少年誌の主人公は、どうやって強くなったのか。主人公を育てた師匠のヒーロー育成テクニック!!」
今日は鱗滝さんの「剣士の入門試験」を中心に話を進めていきます。鱗滝さんの入門試験は「必要な資質を見極めるために極めて合理的な方法」を取っています。テストを作る立場の人や、人の面接や評価をする立場の人は、ぜひ鱗滝さんのテクニックを学んでいただだだだきたい! と思います!

【鱗滝さん流育て方の極意 その肆】 考え抜かれた入門試験で「知りたい能力」を正確に測る


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(吾峠呼世晴『鬼滅の刃1(ジャンプコミックスデジタル)』p98より引用

炭治郎に「覚悟の甘さ」を指摘した鱗滝さんは、「ついてこい」とだけ言って走り出します。
老人とは思えない、若い炭治郎が驚くほどのスピードです。そして、ゴールは不明、どれぐらい走るのかも不明。体力的にも精神的にもきつい。
ここで炭治郎は限界まで追い込まれます。それでも必死こいてなんとか喰らい付いていくー。

そして、ようやく鱗滝さんが立ち止まったとある山の麓。
やった、なんとかついてこれた。やったぞ、俺! 根性見せた! そう思ったであろう炭治郎は、こう尋ねます。

これで俺は認めてもらえましたか?

これだけ大変な思いをしたのだから「鱗滝さんに付いていく=試験」って思ったんですね。もしくは「同じ少年ジャンプの『Hunter&Hunter』の一次試験もこれだったし!」と考えたのかもしれません(笑)
(小ネタ:少年ジャンプの『Hunter&Hunter』の主人公ゴンのハンター試験一次審査は審査員についていくことでした)

呼吸も荒く、目が血走っていて「俺、がんばりました」アピール状態の炭治郎。
さて、そんな褒められ状態の教え子を見て、どんな言葉をかけてあげましょうか。

「よくがんばったな、ほらこれで汗を拭きなさい」
「ふむ、合格するとはなかなか見所のあるやつじゃ」
「まさかワシに付いてこれるとは、これは今までの弟子とは一味違うのう、ホッホホッホ」


正解はこちらです。

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(吾峠呼世晴『鬼滅の刃1(ジャンプコミックスデジタル)』p89より引用


いやあ、炭治郎、嬉しそうですねー(笑) 嬉しすぎて作画崩壊レベルの表情をしております。
というのは冗談で、鱗滝さん、非情…(笑)

まあドSな先生に一見、見えますよね。見えますよ。僕でも思います、ただですね、思うにこの「最初にめっちゃ走らせる」を、鱗滝さんは何の目的もなしにやったんじゃないと思います。とある目的があって、こんなことをしたんだと。


その目的とは「炭治郎の体力を限界にまで追い込むこと」です。


じゃあ、なぜそんなことをしたかというと、これって「視力検査」なんですよ。


視力検査ってだいたい「片目の視力」を測るじゃないですか。右目と左目交互に。両目での「トータルの視力」を調べても分からない、それぞれの目の症状異常を明らかにするために。
では片方ずつ調べるためにどうするかというと、これは当然ですが「調べない片方の目を封じる」というやり方をします。

この「見たい(視)力を見るために、他の(視)力を隠す」。
鱗滝さんの入門試験もこれをしていました。

鱗滝さんはこの後、炭治郎を山の奥地に連れていき、「夜明けまでに山を降りろ」という課題を出します。
その課題を出したのは、炭治郎の「ある一つの能力」を見極めるためでした。ですが、この課題では体力に任せれば、強引にクリアできる可能性があった。「ある一つの能力」を使わず、体力を含めた「トータルの能力」で課題をクリアされたら、「試す」ことができないわけです。
だから鱗滝さんは試練の前に、炭治郎の「片目を塞いだ」。つまり、体力を奪ったのだと考えられます。

「試験で試したい能力を測る方法を作り、実施する」

言葉にすればこれだけのことですが、でもこれだけが物凄いことです!
だってですね、「試験」っていうものをどういうものか思い返してみてください。高校の試験とか、資格の試験とか、何でもいいですが、こう思った経験ないですか?

「こんなテストじゃ、実際の力は測れないけれどね」
「合格したけど、テストの時に覚えた内容ほぼ使ってないんだよなあ」

全てとは言いませんが、試験内容って「その後の実用性が薄い」ものになりがちです。
僕の仕事だった「勉強」を例に見ても、国語のテストの点数で「読解力」が測れているとは思えませんし、社会の点数が悪いからって記憶力が悪いとは限らない。
勉強でさえそうなのに、「剣士」のような肉体的な業界における「試験」なんてもっと難しいですよ。だって「能力を数値化で測れない世界」ですから。
ですから、そんな世界で「試験」というものを正しく活用できているだけですごい。

これは半分余談になりますが、例えば、他のバトル系マンガを想像してみてください。こういう「試験」の場面って必ずと言っていいほどあります。で、そのときの課題って何ですか? 多いのは「◯◯と戦って、倒したら合格だ」です。
そりゃあ、ほぼ本番に模擬戦は実力を測るにはいいとは思いますが、でもそれだと「まだ実力だとダメダメな主人公」は測れない。勝負には負けるけれどその中でキラリと光る才能が発揮されるというのが王道ですが、それはマンガだからで本当なら発揮される前に負けてしまうのが普通でしょう。

そんなバトル系少年漫画の師匠たちの中で(笑)「鱗滝さん」は非常に論理的に「試験」を組み立てている。文字通り「験を試す(=能力がある証を確認する)ための試験」をしている。

いや〜すごいよ、鱗滝さん! 鱗滝さーーーん!!!(笑)


…おほん。
ではでは、こうなってくると気になってくるのは、そういう「試験」を組み立てて鱗滝さんが確かめようとした「炭治郎のある能力」とは一体何かということです。

それは炭治郎が元々、持っていた「ある長所」でした。

【鱗滝さん流育て方の極意 その伍】 「知りたい能力」を確かめる試験で、「◯◯」になるかどうかを見る

炭治郎に生来備わっていた「一つの能力」とば何か、それを話す前に、「出会ったばかりの鱗滝さんがなぜ炭治郎の長所を知っていたのか」をお話ししましょう。

まあ答えは単純で「元弟子の富岡義勇からの手紙で聞いていたから」です。

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(吾峠呼世晴『鬼滅の刃1(ジャンプコミックスデジタル)』p89より引用

信頼できる優秀な弟子からの手紙です。そんな優秀な弟子に『どうか育てていただきたい』とまで書かせたのが竈門炭治郎

では、その長所とは何かというと、すでに上のマンガ部分で分かる通り「鼻が利く」です。
炭治郎の嗅覚は犬並みで「皿を割ったのが猫」と分かったり普通は分からない「ここに鬼がいた」ということまで嗅ぎ分けます。

この優れた嗅覚が、どう役に立つかというのは一旦置いておいて、鱗滝さんが実施した入門試験の目的をここで整理しておきましょう。

「長所は嗅覚」ですが、単純に「長所があるかどうか」を試そうとしたのではありません。入門試験は炭治郎に備わっていると聞いた優れた嗅覚が【武器になるかどうかを確かめる】ために行われました。

理由は、入門試験を潜り抜ける炭治郎を見ていただければ分かると思います。

まず山を降りろと言われた炭治郎は「この試験は簡単だ」と判断します。だが、その判断は誤っています。なぜ誤った判断を下したかというと、追い詰められた時に出てくる炭治郎の悪い癖のためです。
さて、それは一体何か?(ヒントは前回記事


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答えは炭治郎の欠点である「最悪の想定ができない読みの甘さ」です。それゆえ、鱗滝さんの意図を「霧で迷わせる」と解釈をし、その上「鱗滝さんは自分の長所を知らない」と、どちらも自分に都合のいい解釈をしたんですね。


だからこうなる。

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炭治郎は山を降り始めてすぐに想定外の二つの問題に直面します。

・そこら中に罠が仕掛けられている
・空気が薄く、普通以上に体力を消費する

それまで余裕だった炭治郎の頭に「失敗する想像」がよぎります。

『罠にかかっていたら朝までに山を下れないぞ』
『息が苦しくてぐらぐらする。戻れるだろうか。失神するかも』


だが炭治郎はここで諦める性格ではありません。すぐに発想を逆転させます。

「罠にかかっていたら山を下れない」

「時間内に山を降りるためには罠をかわさなければいけない」


そのための方法はすぐに見つかりました。炭治郎は呼吸を整えます。すると「罠を仕掛けた時の鱗滝さんの匂い」を微かに嗅ぎ取れました。

「長所を最大限使って罠をかわしていけば間に合う可能性がある」

それは確信というほどの根拠はありませんでしたが、しかしながらこの「長所を最大限生かす以上の方法」は思い当たりませんでした。だからそこから炭治郎は考えるのをやめ、行動に徹しました


そして無事、

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課題をクリアしたことで鱗滝さんは「長所が剣士としての武器になりうる」と判断。炭治郎を弟子として認めたわけです。


初見の観察で「剣士としての根本的な欠点」を指摘し
入門試験で「剣士としての武器になりうる長所」を見出す。


この方法を取る鱗滝さんの考え方の根底には、
「欠点が弱点にならないように改善され、
 長所が武器になると分かったのなら
 論理上、その者は剣士になれるはずだ」
という思いがあるのではないかと思います。

この思いは、前回冒頭でお伝えした鱗滝流の哲学、
「その子が剣士にふさわしいかどうかではなく、その子にとってふさわしい剣士とは何かを考える」
と矛盾していません。
バーベキューの串のように「言葉」「態度」「行動」をまっすぐと貫いている「哲学」が彼にはあるのです。



鱗滝さん、この世界に異世界転生してこないかな(笑)




ということで、今日はここまでにします。いかがでしたでしょうか。
いや〜、深い深い深いですよね〜さすがさすがさすが鱗滝さん!笑

次回で『鬼滅の刃』の記事は最後になるかと思います。次回は「正式に弟子となった炭治郎の育て方」を見ていきます。もしよかったら「いいね」や「フォロー」や「サポート」などお願いします。この「主人公の育て方シリーズ」は今後もやっていきたいのでご協力いただけると。
あと「この漫画について分析してほしい」などリクエストがあれば合わせていただけると参考にしますのでコメント欄にください。


それでは今日も良い1日をお過ごしください! 今日は都内は奇跡的に晴れましたね。
ではでは〜。



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