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【感想、時々書評】「習慣化」という売れる仕組みづくり

今回は「仕組みのつくり方」という文言に惹かれて、ついポチっちゃった一冊。博報堂の中川悠さんらの「カイタイ新書」を読んでみる。

時代にあったマーケティング(売れる仕組みづくり)の一つが「習慣化」させること

いきなり余談だが、冒頭に著者の考えるマーケティングの定義「持続的に売れ続ける仕組みをつくること」が出てくる。ここが自分の中のマーケティングの定義と一致していたのが何より読み進めやすかった。マーケティングの定義は人によって結構バラバラなので、記されているのはありがたい。たまに「この人のマーケティングの定義ってなんなんだろう?」って感じる本に出会うが、読んでてすごくモヤモヤするので。

話を戻すと、この本では時代背景を踏まえた「売れる仕組みづくリ」の一つとして、「習慣化」を提唱している。「習慣化」することのメリットは、中長期的に半自動的に買ってもらえる状態になること。例でも挙げられていた

1回の売り上げをつくるためのマーケティングに追われ、それが終わればまた次の売上をつくるための活動に追われる…

みたいな状況は、とにかく数打てば当たる精神になってきて、徐々に手段が目的化されていく。施策の中身も値引きとかおまけをつけるとかになりがちで、中長期的な売上が毀損されているのではないかと思ってしまう。

一般消費者側に立ってみても、似たような広告があらゆるチャネルで出てくるみたいな数の暴力になりがちで、正直相当鬱陶しい。

「習慣化」を目指すことは、上のような状況を抜け出し、顧客と企業がWin-Winな関係を築き得るマーケティングなのではないかと思う。「スタバで毎日コーヒーを買う」とか「毎週ジムでトレーニングする」とか、「毎週Jリーグの試合を観に行く」とか。こうした習慣は消費者が能動的にやっていることで、企業に買わされた感がない。そう考えると最近、CRMとかDTCとかLTV最大化みたいな文脈で語られるところも、本質的には「習慣化」を目指すことがゴールな気もしてくる。

丁度今日(5/19)からスタバの営業が再開されたが、コメント欄からも待ち望まれていた様子が伺える

この本では、そんな習慣化の方法論がまでかなり具体的に書かれている。ワークショップのやり方まで書いてあり、その内容も「会議室には音楽やお菓子を用意する」みたいな細かさなので実践出来そう。点の話だが、個人的に参考になったのが、商品やサービスの広げ方の部分で、1→10と10→100のフェーズにおける手法が分けられていること。この2つのステップに分けて考えるのは、習慣化に限らずとも色々と応用が効きそうと感じた。

マーケティングに総合力が必要な時代

習慣化の手法論を読んでいて感じたことだが、やはり相当全方位的な知見やスキルが必要な時代になってきている。1→10にするフェーズでは、SNSをうまく使う必要があると書かれている。一方で、10→100のフェーズでは、どのようにすれば雑誌やテレビなどでブームとして扱われるかのデザイン設計が必要と書かれている。この本の内容を実践するだけでも広い領域の知見が必要なことが分かる。

また組織全体の視点でも、マーケティングというとつい「今ある商品をどう広めていくか」みたいな発想になりがちだが、商品開発やサプライチェーン含めてマーケティング視点で見ていく必要がある、っていうのが最近のどの本でも書いてある。

森岡さんの『マーケティングとは組織革命である』でも、マーケティングが全体統括すべきと書かれていたし、大学時代に受けた水野学さんの授業では経営の近いところにクリエイティブディレクターを置くべきという話があったのも近しい感覚なのだろう。

生活者側の視点にたてば当然といえば当然で、どこか一つだけの領域だけで生きている人はいない訳で、情報が溢れていて1つ1つの情報が届きにくい今の時代は、やはり全体設計が大切なのだと思った次第。

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