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「わたし、の、せかい。」脚本後編公開

〇シーン5 「今」

立ち上がり、一定のリズムでジャンプを繰り返す

俳優「大丈夫、大丈夫、今の私は、私の物。」

着地し、止まる

俳優「身長〇〇センチ、体重〇〇キロ、の、人間。」

腹式呼吸でS音を放出する
少しして箒と塵取りで破いた手紙を集める

俳優「は、幅〇〇メートル、高さ〇〇メートル、縦〇〇メートル(舞台の大きさ)の、世界から、どこまでも、とんでいける、はず。」

箒に跨る

俳優「ひゅるり ひゅるり ひゅるりらら。」
俳優「ひゅるり ひゅるり ひゅるりらら。」

箒を股で挟み両手を広げる

俳優「幅不明、高さ不明、縦不明、の、世界の中の、わたし。」(明るい調子)

俳優「が、吐き出す、音。」

再び箒を掴み、前傾姿勢になる

俳優「びゅーん。」

〇シーン6 「魔法」

箒から降りる
箒をクルクル廻す

俳優「私の部屋、には。」
俳優「青いカーテン。」
俳優「白いバスタオル。」
俳優「緑の靴。」
俳優「茶色の時計。」
俳優「黄色いカバン。」
俳優「が、ある。」

箒を止める

俳優「八畳、ワンルームの世界、から。」

再び箒に跨り、色々な世界を見に行く

俳優「〇億〇〇万人(日本の人口)の、人間、が、暮らす、世界、を、見渡す、身長〇〇センチ、体重〇〇キロ、の、人間。」

軽く笑う

俳優「〇億〇〇万人(日本の人口)の体重を合わせたら、何キロになるんだろう。その、重さ、に、耐えられるだろうか。」

俳優「もし、私、が、総理大臣になったら。」

少し上を見上げ、想像し、軽く笑う

俳優「私の友達の体重を合わせたら、何キロになるんだろう。」

俳優「私は、その重さ、に、耐えられているんだろうか。」

俳優「そんな事を考える、身長〇〇センチ、体重〇〇キロ、の、人間。」

俳優「ひゅるり ひゅるり ひゅるりらら。」

街中の色を集め始める

俳優「青い空。」
俳優「白い雲。」
俳優「緑の木。」
俳優「茶色の大地。」
俳優「黄色の花。」

深呼吸を一つ

俳優「私のカーテンが、空になる。」
俳優「私のバスタオルが、雲になる。」
俳優「私の靴が、木になる。」
俳優「私の時計が、大地になる。」
俳優「私のカバンが、花になる。」

箒をクルクル廻す

俳優「時間、時間だけが有り余ってしまっていて、その余った部分に色を塗る。」(明るい調子)

箒を廻すのを止め、床に置く
少しして、ワンピースの裾を掴みお辞儀をする

〇シーン7 「踊る」

ゆったりと社交ダンスを踊る
相手(過去の自分を想像しながら)

(三年後の未来の俳優を続けている自分)
俳優「拝啓、過去の私。」
俳優「私は、元気です。」
俳優「病気にかかる事もなく、好きな人もたくさん出来ます。」
俳優「だから、安心してください。」
俳優「お金も多くは無いけれど、楽しく過ごしています。」
俳優「世界の色んな音が聞こえます。」
俳優「だから、安心してください。」

社交ダンスを止め、一定のリズムでジャンプする

俳優「私は、演劇を、続けています。」
俳優「光と、音と、「人間」が、交じり合う世界の中で、身長〇〇センチ、体重〇〇キロ、の、人間、は。」

ジャンプをやめ、ほっかむり、ジャケットを帆のように衣装掛けの上部に結び付ける

俳優「幅〇〇メートル、高さ〇〇メートル、縦〇〇メートル(舞台の大きさ)、の、舞台から。」

手で双眼鏡を形作る

俳優「遥か彼方を、目指しています。」

箒を手に取り、柄の部分で塵取りを叩く

俳優「だから、安心してください。」

箒をパドルに見立て、漕ぎ始める

俳優「私は、ここに居ます」

荒波の中、立ち向かっていく

〇シーン8 「私の世界」

引き続き、箒をパドルに見立て漕いでいる
何か希望を見つけた様子

俳優「あ。」

箒を置き、立ち上がる
どこかに辿り着いた様子

俳優「演劇、は、幅〇〇メートル、高さ〇〇メートル、縦〇〇メートル(舞台の大きさ)、の、世界、は、死にはしない。」

一定のリズムでジャンプする

俳優「身長〇〇センチ、体重〇〇キロ、の、人間。」

ジャンプを止める

俳優「が、飛び込む、世界。」

腹式呼吸でS音を放出する

俳優「で、吐き出す、音。」

大きくジャンプし、力強く、地面を踏みつける

俳優「希望の音を、鳴らすんだ。」

ゆっくりと上体を起こし、手で双眼鏡を作る

俳優「わたし、の、せかい。」

おしまい

映像演劇作品「わたし、の、せかい。」

―演劇を映像作品として昇華させ、映像販売を中心とした新しい演劇モデルの確立を目指すー

主演にはNHK連続テレビ小説『半分、青い』への出演や主演映画『Vtuber渚』において第16回山形国際ムービーフェスティバル船越英一郎賞(最優秀俳優賞)を受賞する実力派俳優、佐藤睦(オフィス・ルード)。
音楽制作には、マニマニ『きみはまだマニマニを知らない』にて作詞・作曲・編曲を担っている音楽家、ぱやん。
撮影・編集には映像クリエイターの山本翼を迎えて制作。
自身の経験やクリエイターとしての苦悩を描いてきた中堂大嘉が現在の不安、未来への希望をレンズを通して表現します。

配信期間:2021年3月下旬~2022年3月下旬
視聴形態:vimeoオンデマンド(ストリーミングダウンロードにて配信)
公式HP:watashi-no-sekai.com
公式Twitter:https://twitter.com/6iddWiOuNIEEZ7R

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