与那国町長の発言について
2024年4月28日、沖縄県与那国町の比川自治公民館で糸数健一町長が、比川地区の新港湾建設計画について住民説明会を行った。
琉球新報の報道では、糸数町長は「国が整備してあげましょうと言っている時にやらないと。今が千載一遇のチャンス。ワンチャンス、今しかない」と新港湾の整備を推し進める旨を述べており、また、国の予算配分に対しては、防衛費43兆円の奪い合いが沖縄県内でも行われており、おいしいところをもってかれているとの見解を示していることが報じられた。
また、沖縄タイムスの報道によると、糸数町長は説明会終了後、記者の質問に答える形で、 「(報道陣がいると)萎縮して話さなくなる人が大多数。発言者は一部に偏っている。キャンキャンわめいている。これが現実ですから」と述べたという。
地方自治と国防との綱引き
私は高江・辺野古アクションに参加し、その時に自衛隊行軍について批判したと過去に書いたがが、その際、石垣市長が自衛隊ありがとうの横断幕を持って歓迎したことも批判していた。
石垣島、与那国島これらの島々は八重山列島と呼ばれ、対中国の地政学の観点で見れば要衝とされ、海洋戦略上、最前線になる島々である。
ゆえに、沖縄戦の経験からなる軍備反対論だけではなく、そこには沖縄本島との軋轢や軍備を国に要求してでも守ってほしいという切実な思いもあるようである。
そう思うと、私が安易に地方自治の観点から見て、自衛隊を歓迎することは国家の戦争を肯定する暴挙でいかがなものか、としてしまったとのは少し違って見えてくる。
しかしながら、日本国はそれらの島々に対して、日本国憲法に基づく外交でもって安心感を与えるべきではないか、との思いがあることも認めねばならない。
対中国戦争を軍備なしで拒否できるのか、それは中国の要求を市民一人ひとりの非暴力・不服従による行動で跳ね除ける意志と実践を必要とする。
反対派住民に対し、「キャンキャンわめいている」とした発言は権力の横暴以外の何者でもなく、公人の取るべき態度として問題である。
しかし、国防による安全を突破する平和運動が日本において形成されていないことについては謙虚に受け止めるべきだ。
実効性に乏しい平和運動を場当たり的に展開していても、国民その他の人々に対して不安を与えかねないのは無理からぬところである。
単に軍事化、戦争体制構築に反対するだけでなく、平和を現実のものとする平和運動が求められているのだ。