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仕込み準備って何するの?

令和4酒造年度が始まる。

洗米初日、蒸しあがる蒸気が上がる蔵の外観

 令和3酒造年度(R3BYとも書く)から令和4酒造年度(R4BY)は2022年7月1日より変わりましたが、酒造りとしてはその年度で始めて洗米する日から酒造年度が「始まる」という認識があります。ちょうどこの記事を書き始めた今日、蔵では今シーズン初の蒸米が麹室へと引き込まれました。

 蔵の在る釧路は北海道の東側ですが、この時期はまだ温かいです。とはいっても・・・朝の気温は4℃、昼間が12℃くらいでしょうか。東京の今日の最高気温が16℃、大阪20℃、那覇が25℃(Yahoo!の天気予報より)全国と比較すると涼しいのは間違いない!(笑)
 今日の麹は「活性清酒 純生」という12月上旬発売予定に濁り酒の仕込みです。こちらの商品はほぼ地元消費で、同じ北海道内の札幌にも少ししか出回っておりません。数年前からいろいろと研究を重ね改良し、現在の酒質になりました。こだわりとしてはにごり酒特有の飲みにくさの少ない、グイグイ飲んでしまうにごり酒です。(12月上旬に数量限定で発売を予定) 

福司 活性清酒 純生 720ml

仕込みが始まるまで

 今回は仕込みが始まるまでの仕事について紹介しようと思います。仕込み中の仕事は知られていますが、仕込みが始まる1か月前からいろいろな準備をしているのはあまり書かれない部分。今回はそこを紹介したいと思います。
 

井戸の掃除

酒造りにとって水は蔵の味わいを決める重要な要素です。その多くは井戸水で賄われており、弊社も自社の井戸から水をくみ上げ仕込み水や米を洗う時などに使用します。冬の間は毎日使う井戸水ですが、弊社のように冬しか仕込まない蔵では夏の間に使用頻度は下がります。水の循環が少なくなれば汚れやすくなるため、夏を越して秋口に井戸の中の清掃をするのが一般的です。
 井戸の掃除と聞いてもピンとこないでしょうが、井戸の側面の擦り洗いと流し、そして井戸の底に敷き詰められている石を取り出し、その石を擦り洗いした後、天日干しして殺菌。再度石を敷き直して終了です。

井戸の底の石を擦り洗いする社員

蔵の大掃除

 仕込み終わりに大掃除はするのですが、仕込み前にも大掃除をします。天井のすす払いから始まり、梁や柱、天井も脚立を使って拭き掃除していきます。弊社も100年以上の蔵なのでいくら掃除しても汚れは落ちません。ここ5年間くらいは徐々に掃除の範囲を広げ綺麗になってきましたがまだまだ補修が必要なところも沢山あります。
 天井の掃除が終わると床掃除です。2階から徐々に掃除をしていき、タンク1本1本の下も入り込んで掃除をしていきます。最後にデッキブラシで蔵全体を擦り洗いをして、洗浄機を使って流していきます。最後はしっかりと乾燥させます。


梁も天井も手が届く部分は全部拭き掃除します。
デッキブラシで洗浄。

お清めとお祓い

毎年仕込み初めの大安はその年の安全と良いお酒を祈願し、神主さんをお迎えしてお清めとお祓いをしていただきます。お酒の神様である『松尾様』が祀られている神棚の前に社員が集まり一人ひとり玉串をお供えします。その後、蔵を回りながらお清めとお祓いをし安全と良いお酒の祈願をしてもらいます。

松尾様に安全祈願する蔵人
蔵の隅々を清めてもらい安全祈願を行う

 こうやって仕込みが始まっていきます。まずは洗米から。今年のお米の性質を読み取り吸水の量を少しずつコントロールしながら、その年の原料にとって良い形を探っていきます。様々なところで数値化はしていますが、良いか悪いかを判断するのは結局人間です。自分たちの経験をいかに積むかも大切な仕事。仕込み前の蔵はみんなワクワクしています。それは前年の経験を活かしさらなるステップアップを目指しているからにほかなりません。
 今シーズンの仕込みもいよいよ始まりました!今年の米は?今年の気温は?どうなるのでしょうか?今後もお楽しみに。


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