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【ギャヴィン・ミラー(1938-2022)】の〈監督作〉3本の極私的ランキング 

スコットランド出身で、映画批評家から監督になった「ギャヴィン・ミラー(1938-2022)」の監督作を3本だけ観ています。↓が私の極私的ランキング。

--------------------------------------------------------------------------------------△『ドリームチャイルド』(1985/英) ※DVDは廃盤でプレミア化
△『高貴なる殺人』(1991/英/TV映画) ■未DVD化
▼『サイコ2001』(2000/英) 〈劇場未公開〉
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ギャヴィン・ミラー監督は、彼と同じ批評家出身の映画監督カレル・ライス(1926-2002)の著書『映画編集の理論と実際』(原著は1953年)の1968年の改訂版から執筆し共著者になってるようだ。機械翻訳で正確さは保証しない。
原題「The Technique of Film Editing」の邦訳は1971年・岩崎放送出版社。


ドリームチャイルド』は動画配信サービス「U-NEXT」で配信中らしい。


映画のリンク集と『映画編集の理論と実際』




◆『ドリームチャイルド』(1985/英)


一度も読んだことのない『不思議の国のアリス』の作者であるルイス・キャロル(1832-1898)と、同作のモデルであるアリス・リデル(1852-1934)の二人が主役の、フィクションを交えた伝記ドラマ。大恐慌のさなかでありナチスが台頭し始めている1932年、ルイス・キャロル生誕100年を記念し、米コロンビア大学から名誉文学博士号がアリス(結婚後の姓はハーグリーヴス)に
贈呈されることになり、80歳の彼女がイギリスから大型客船に乗り渡米する場面から始まる。本作はアリスの現在(1932年)、少女時代(1862年?)、『不思議の国のアリス』のキャラクターが出てくる「空想世界」の三つが混ざり合って構成。無知なので、空想を除き、どこまでが史実なのか観ている間はわかりませんでしたが、大枠では史実に基づいているようです。地味だが余韻の深い良作で、私の評価は◯寄りの△。淀川長治(1909-1998)さんが大好きな『ベニスに死す』(1971/伊+仏)は、【オッサンと美少年】の話を「オッサン側」に立って描いていますが、本作は【オッサンと少女】の話を「(年老いた)少女側」に立って描いている。少女達(=リデル3姉妹)にとっては、「たまにオモロい話をする吃音症のキモい数学教師のオッサン」が「ルイス・キャロル=本名チャールズ・ドジソン」であり、過去の封印した記憶との「和解」がテーマか? 彼は大林宣彦(1938-2020)監督や、宮崎駿(1941-)監督のパイセンか。映像が美しく、空想世界に出てくる、ジム・ヘンソン工房?の手による「キモくて愛嬌のある」キャラクターの造形・動作に心が躍る。



オリジナル予告篇


海外の評価


大昔に買った中古VHSビデオの↓ジャケ裏に書かれてる「解説」(冨谷 洋)。
《1862年7月4日はイギリス文学史、いや世界の文学史に残る記念すべき日である。この日、オックスフォード大学の数学講師チャールズ・ドジソンは友人のキャノン・ダックワースおよびクライスト・チャーチ学寮長リデル博士の3人の娘――ロリーナ、アリス、イーデス――とともにボートでテムズ川をたどる遠足に出かけた。川遊びの途上、ドジソンが子供たちに即興で聞かせたのが、ウサギを追って地下世界を旅するアリスの不思議な冒険物語。チャールズ・ドジソンこそ後にルイス・キャロルの筆名で世界中に知られるようになる人であり、ファンタジー文学の傑作『不思議の国のアリス』はこうして誕生した。このときドジソン=ルイス・キャロル30歳、アリス・リデル10歳。~~キャロルの“少女愛”は広く知られ、彼の手による“少女友達”の写真(ヌードも含まれる。キャロルはすぐれた写真家でもあった)も多数残されている。そのキャロルの熱愛したのがアリス・リデルであり、彼女への“あぶない”愛(もちろんビクトリア時代であるし、敬虔なクリスチャンであったキャロルの愛はプラトニックなものであった)が『不思議の国のアリス』を生み出したのだ。「ドリームチャイルド」ではこのへんの事情がたくみに描かれている。~~~


VHSビデオのジャケット写真

https://www.buyuru.com/item_984752_1.html


LDのジャケット写真

https://aucfree.com/items/g253886516
https://aucfree.com/items/g253886516



◇『高貴なる殺人』(1991/英/TV映画) ■未DVD化■


本作はジョン・ル・カレの同名小説が原作。子供の頃にテレビでよく放送されてた市川崑監督の映画「金田一耕助」シリーズの1作品みたいな味わいの「ジョージ・スマイリー」もの。当時17歳のクリスチャン・ベールが出演。
原作は未読ですが、本作はスパイものではなく、「殺人ミステリー」もの。


原作小説のカスタマーレビュー


クリスチャン・ベール(1974-)の出演部分を集めた動画。わりと重要な役。


海外の評価

米国Amazonのカスタマーレビュー

英国Amazonのカスタマーレビュー


VHSビデオのジャケット写真

https://www.buyuru.com/item_1006695_1.html



◆『サイコ2001』(2000/英) 〈劇場未公開〉


蜂工場』が代表作?のスコットランド出身の作家イアン・バンクス(1954-2013)。彼の小説で唯一映画化されているのが本作。原作の邦題は『共鳴(※原題はComplicity=共犯)』。スコットランドの新聞社に勤める若い一匹狼タイプのはみ出し記者(性的にも放埓)が紙上で攻撃した権力者、資本家たちが何者かによって惨殺されていく連続殺人事件の話。映画はチープで、個人的にもっと「ジャーロ」っぽい、ド派手な殺しが見たいという不満はあるが、この手の話の定番で「過去の因縁」が絡んでくる所は、なかなか良かった。



オリジナル予告篇


海外の評価


VHSビデオのジャケット写真   
※↓のような猟奇的な描写は、ほぼ無い

https://www.buyuru.com/item_750253_1.html



■『映画編集の理論と実際』(1971年) 上・下巻


↓《Reisz, Karel (1953). The Technique of Film Editing. London: Focal Press.》


未読。カレル・ライス(Karel Reisz)の名前が「カレル・ライ」という表記。

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/u346298515
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https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/p1005454655
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