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20歳で死んだ数学者【エヴァリスト・ガロア】のミニ・バイオグラフィー 『世界の偉人は名探偵』より
推理クイズ本『世界の偉人は名探偵』〈1987年版〉の[P.175-176]より引用。ミニ・バイオグラフィーは著者が各種の伝記本を読み込み簡略化したもの。「生没年」の漢数字の部分だけ、実感しやすい?アラビア数字に変更済み。
《〈若き数学の天才〉 ガロア(フランス 1811-1832)
_中学生のときすでに、難解な数学書をまるで小説を読むように、すらすら読破したが、通信簿には、「気まぐれで偏屈。教室では不勉強。つまらない質問で教師を困らせる」と採点された。_かたよった勉強をしたために、高等理工科学校の入試に落ちてしまい、やむなく師範学校に入った。_一八歳で、循環連分数の論文を書いて、フランス学士院に送ったが、黙殺されたばかりか、その原稿はくずかごに捨てられた。_立腹と失望に加えて、町長だった父が自殺したショックで、ガロアは過激な共和主義者になって、革命デモを扇動したため、放校になり、二度も投獄された。_入獄中は、おとなしく数学に熱中して、ふたたび論文を学士院に送ったが、「貴下の論文がなにを意図しているのか、審査員は理解に苦しむ」という付箋(ふせん)がついて返送された。「石頭の学士院め!」憤然と、彼はその付箋を監房の便器に破りすてた。「現在のフランスに、大数学者は一人しかいない。それが誰かは、おれ自身が知っている」_出獄後、つまらない恋愛事件がもとで、与太者から決闘を申しこまれた。死を予感したガロアは、その前夜、大いそぎで新しい数学の論文を一気に書きあげた。「ああ、時間がない! ぼくの頭のなかには、無限に問題が展開していくのに……」_彼は夜明けを迎えて、ノートの余白に、こう書き残した。_そして、一睡もしないまま、決闘場におもむいて、凶弾を腹にうけ、二一歳の短い生命をとじた。_神に選ばれた稀有(けう)の天才も、いささか軽率な熱血漢だったがゆえに、あたら犬死にしてしまったのである。_没になった論文と遺稿は、死後四〇年たって、やっと陽の目をみた。その『ガロア群理論』は、純粋数学の芸術的作品と称賛されている。_あまりに独創的な天才だった彼は、凡人どもに理解できるように、くわしい説明を書き残さなかったので、後世の数学者たちは彼の定理を証明するのに、たいへんな苦労をした。_フランスには、若死にする天才少年がときどきあらわれる。『肉体の悪魔』『ドルジェル伯の舞踏会』を書いた小説家のラディゲも、その一人だ。》
大昔のヤンジャンで連載の『栄光なき天才たち』にガロアは登場している。
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「決闘前の手紙」では、「手紙を書く」ではなく「手紙を読む」方ですが、↓『忘れじの面影』(1948/米)という「苦く切ないメロドラマ」を思い出す。
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