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映画を観る生活2022【2】

まえがき

昨年掲げていた【1年で映画を100本観る】という目標は、結局未達成で終了……。12月に入った時点で10本以上観ないといけないという状況の中、思った以上に稼働が高まり映画を観るどころではなかった、という言い訳をして更に落ち込んだ。
気づいたら2022年も終わるらしい、という感覚のまま新年を迎えたので、今回も前記事に引き続き、「2022年に更新しようと思っていたが出来なかった」内容として書いています。2022年に観た映画をいくつかピックアップし、大きなネタバレはしない程度に当時の感想・思い出を書いていく。

※前回10本挙げたので、今回は11作品目からというかたちでまとめていく。
※新作〜旧作を問わず記載していくので、公開時期についてはバラバラ。

▼前回はこちら

11. Jojo Rabbit

鑑賞日:2022.08.10(Disney+にて)

  • MCU作品を追い始めたことによって、タイカ・ワイティティが作る映画の雰囲気が結構好きだなあということを周りに話していたらオススメしていただいた同監督作品。公開時期は2020年ということだったが、作品の存在自体を知らなかったのは勉強不足だろう。

  • 10歳の男の子・ジョジョと彼が作り出す妄想上のヒトラーが……というあらすじ上の文言を見ると、コメディ調の作品なのだろうという先入観が生まれた。本作で監督、そしてこのヒトラー役もこなしているタイカ・ワイティティという人物から作られた作品としては、前述のとおりMCU関連作しか鑑賞したことがなく、具体的にはThor: Ragnarok』『Thor: Love&Thunderのみだったので、コメディとヒューマンドラマの割合としてはどちらかというと前者が多いのだろうと思っていた。が、これが全然そんなことなく、むしろ逆であった。勝手な先入観のおかげでとんでもないギャップを味わえ、そして心温まる気持ちにさせてもらった一作。

  • 特に予備知識なく鑑賞していたが、出演俳優陣にちらほら見覚えのある顔があった。スカーレット・ヨハンソンは言うまでもないが、サム・ロックウェルやトーマシン・マッケンジーなどを「観たことある」とすぐにピンと来たのは、人間の顔と名前が一致させるのが極めて苦手な自分にとってはとても良い体験であった。鑑賞数が増えてきた証拠かもしれない。


12. ベイビーわるきゅーれ

鑑賞日:2022.06.12(U-NEXTにて)

  • 映画の鑑賞数が上がっていくなかで、ふと「他の人はどんなふうに映画を楽しんでいるのだろう」と気になりYouTubeを漁っていた時期があった。特に正解・不正解はないのでそれぞれ自由に愉しめばいいとは思いつつ、やはり気になるものである。

  • いろいろ漁っていた結果、「出演者の映画知識・熟練度のバランスが良い」と勝手に好感をもっているチャンネルにシネマンションがある。出演者は3名おり、好みも観方も楽しみ方もバラバラで、時に特定の作品の感想さえもときに真逆であったりするところが個人的にはグッドという感じで、今も定期的に追っているチャンネルである。 このチャンネルで紹介・絶賛されていたのが阪元裕吾監督の『ベイビーわるきゅーれ』。

  • 内容は「2人の女子高生殺し屋の日常」と言ってしまっていいのかもしれないが、この殺し屋というキャラクターとそれに関する「仕事」以外、ほとんどが超がつくほどリアル。あ〜そういうつまんないこと言う大人いるわ〜〜とか、すぐ流行りモノの話で気を引こうとする人間を演出したりと、皮肉たっぷりの演出もクセになる。続編も決まっており、公開は今年3月とのこと。
    https://www.youtube.com/watch?v=CsOVi-T4RZk

  • 余談だが、前述のシネマンションにて、主演の一人であるスタントパフォーマー・伊澤彩織さんがゲストで出演されている回もおもしろかった。
    https://www.youtube.com/watch?v=awp_OUOlFIg


13. すずめの戸締まり

鑑賞日:2022.11.11(映画館にて)

  • 新海誠監督による長編映画にして最新作。宣伝物を見ると集大成的であり最高傑作とのことで、さあ自ら上げまくったハードルをどれくらいの高さで、どんな姿勢で飛び越えてきてくれるのだろうと期待と不安が半々くらいの気持ちで、公開初日に映画館に向かった。

  • 実際に現実で起きた自然災害を明確に取り込んでいるという点から、鑑賞者の経験によって感想が大きく変わってくる難しい作品なのは間違いない。あの日、直接被災をしていない自分がこの作品を「とてもおもしろかった」と胸を張って言う資格があるのか、ということすら考えさせられた。

  • 「新海誠監督作品といえばなにか」という問いに対するいくつかの回答の中に、ファンとしてはやはり「美しい情景の描写」と答える自分がいる。空、雲、街並み……そのすべてが現実の映像かというくらいにリアルで、しかしその中に明確なファンタジーが混ざっているという緻密なバランスによって完成された「綺麗な画」である。 しかしそれを今作は、某キャラクターのセリフとして明確に「綺麗ではない」と否定するシーンがある。作り手自身がどういう気持ちでこのような演出を入れたのかは分からないが(文献を漁れば回答があるのかもしれないが未チェック)、作品側にそう否定されてしまうとこちらの見方も変わってくる。作品をどう評価していいのか迷うという理由のひとつにもなった、個人的には超重要シーンだ。

  • 作品とは直接関係のない話だが、これだけの大作・そして大ヒットを飛ばしている監督による作品なのだから、公開初日の鑑賞を逃すとインターネット上にばらまかれるネタバレが怖い。自衛できる範囲で対策するしかないという面もあるので自分にも責任があるのだが、ふと立ち上げたInstagramの「ストーリーズ」機能で、公開日当日に長文ヘイト感想を書いていた人間を発見したときは怒りとやるせなさでとても落ち込んだ。観ると決めている映画の批判的ななにかを鑑賞前に目撃してしまうことは本当に苦手であり極力避けていきたい


14. かもめ食堂

鑑賞日:2022.09.20(U-NEXTにて)

  • 友人が名作として挙げていた作品。「友達がそこまで好きな作品なら観てみたい」と素直に思ったので、これも特に予備知識を入れずに鑑賞。原作は未読。

  • 脚本を振り返ってみれば、メインストーリーに影響を及ぼしかねない大きな事件・イベント的なものはほぼ起こらず(ちらほらは起こるが)、フィンランドで過ごす人間たちの日常をただただ映していき、それを感じさせてもらえる。主演が小林聡美さん・片桐はいりさん・もたいまさこさんという日本人には馴染みあるキャスト陣なのも、個人的にはポイントが高い。

  • よく友達と「休む」という言葉を「『何もしない』をする」というフレーズに置き換えることがある。文字通りの意味では決してない(登場人物たちは労働している)が、ただただその場の空気に身体を預けて生活をするということがとても羨ましく思える映画だった。真似をするにはとても勇気がいる行為であり、偉大だ。


15. Happy Death Day

鑑賞日:2022.08.14(Amazon Prime Videoにて)

  • 女子大生である主人公が、正体不明の殺人鬼によって殺されてしまう日を繰り返すタイムループもの。映画ポスターにあるマスクをつけた謎の人物が、常に自分を殺そうと襲いかかってくるのでそういう意味ではホラー作品といえるが、徐々にこれが「殺される大喜利」になってくる展開になり、段々と恐怖感は薄れ、やがて「私を(文字通り)死ぬほど殺してくるあいつは一体誰なんだ?」という推理モノへと移行していく過程は大変見応えがあるし「あ、もうホラーじゃないんだ」と気づく瞬間は気持ちがよい。

  • この作品、「自分はもしかしたらホラー作品が苦手ではないかもしれない」と感じ始めていた頃に鑑賞した。ジャンプスケアが多いとどうしてもビクっと反応してしまうが、ゴア描写がそこまで強くなければ大丈夫だろうとおそるおそる鑑賞していた記憶がある。結果、全然楽しめた

  • ちなみにこれは続編が存在し、それとセットで完結すると言える構成をしていた。1作目を観終わったとき、自分はこんなツイートをしていたが「2」を観てさらに感動が増す素敵な体験となった。「2」はもっとホラー色は薄れ、何なら感涙モノだったので食わず嫌いは良くないのだなと再認識させてもらえた。


16. HiGH&LOW THE WORST X

鑑賞日:2022.09.14(映画館にて)

  • ハイローシリーズと、『クローズ』『WORST』の世界観が混ざりあった『HiGH&LOW THE WORST』の2作目。公式サイドがどういう扱いをしているのかは分からないが、おそらくスピンオフ的な立ち位置になるはず……しかし映画として、メインストーリーに位置づけられるものが制作されるかも若干怪しいところではあるので、この数年はこの『THE WORST』の続きこそを観たいという気持ちで過ごしていた。

  • ハイローシリーズと、『クローズ』『WORST』の世界観が混ざりあった『HiGH&LOW THE WORST』の2作目。公式サイドがどういう扱いをしているのかは分からないが、おそらくスピンオフ的な立ち位置になるはず……しかし映画として、メインストーリーに位置づけられるものが制作されるかも若干怪しいところではあるので、この数年はこの『THE WORST』の続きこそを観たいという気持ちで過ごしていた。

  • 誤解を産まないように書いておくが、これまでの作品も本編も抜群におもしろい。アクションシーンは新作が作られるごとに迫力が増しており、自宅に着いてから「今すぐもう一度観たい」と、YouTube上で予告映像にあるアクションシーンの断片を大量摂取していた。主題歌もとても良かった……鬼リピ……。


17. The Fast and the Furious

鑑賞日:2022.11.24(Amazon Prime Videoにて)

  • ワイルド・スピード、人気シリーズの1作目。自分の周りにもかなりシリーズのファンが多く、車への思い入れ・知識が乏しいのでなんとなく避けていたが、とあるきっかけでシリーズを追うことに。

  • (話が作品とかなり逸れるが)鑑賞のきっかけは、ジェームズ・ワン監督のMalignantを鑑賞したいという願望から。この作品、どうやら監督の集大成的であるという評価をされているらしく、自分が追っている映画評論系の方々も揃って絶賛しており、今すぐにでも観たい作品のひとつである。

  • 監督の集大成だぞ!と言われたとき、これが『すずめの戸締まり』であれば「過去作全部観てます」とドヤってしまうのだが、ジェームズ・ワン作品といえば『SAW』あたりしか観ていなかった。それでは「集大成」を感じられない。 そこでほかの過去作を追うべく監督のフィルモグラフィーを観てみると、Fast & Furious 7があることに気づいた。シリーズの7作目を観るためにはそれまでの6作を観る必要がある……と、どんどん勝手に必須科目を増やしていき、という追い詰められ方をしている真っ最中である。

  • このシリーズがどういうジャンルであるのかといえば、自分はてっきりずっとスパイミッション系のものだと思っていた。【映画館で流れている予告映像】以上の知識がなかったため、当然といえば当然かもしれないし、実際近年公開されたものはそういう雰囲気があるのかもしれない。 しかし、シリーズ1作目にあたる本作を見ると実は全然そんなことがなくて驚いた。以降、スケールが増していくということなのだから、ここからがとても楽しみである。


18. Nobody

鑑賞日:2022.02.22(Amazon Prime Videoにて)

  • 地味で、家族からもそこまで頼りにされていない父親……という主人公が、それまで抑圧していた感情を爆発させて暴れまくるアクション映画。若者集団にナメられ、それをたっぷりの余裕で……ではなく、痛々しいほどに傷を負いながらもぶちのめす展開には大興奮。

  • どうやらこのお父さん、普通のおじさんじゃないという細かい描写が積まれていき、「なんか過去にいろいろありそうだな」と思わせておいた上で最終的に最高の舞台が待っているわけだが、そこで印象的なのがクリストファー・ロイドの存在感。彼を観られるだけでもかなり贅沢な味わいがあるエンタメ映画だった。

  • 脚本がJohn Wickシリーズを手掛けているデレック・コルスタッド氏ということもあり、ノリはほぼ『John Wick』である。

  • どうやら続編があるらしいので、続報に期待。


19. Jurassic World: Dominion

鑑賞日:2022.08.09(映画館にて)

  • 『ジュラシック・パーク』に続く新シリーズ・『ジュラシック・ワールド』の3作目。前作が、恐竜×ゴシックホラー的なジャンルの掛け算による作品だった印象から一転、今回は恐竜×スパイミッション的な描写が多かったように思う。

  • 『パーク』で主要キャラクターを演じていたキャストも勢揃い、ということが強調されていて、結局本編ってどんな感じなんだということが分からないまま映画館に足を運んだが、前作ラストから期待した展開には、良くも悪くもなっていないように感じた。つまり、「人間と恐竜は共存できるのか」という問いかけに、作品からの明確なアンサーは得られなかったということである。自分の理解不足だろうか、もう1度観てみたいと思う。

  • 世間的に多く言われている某昆虫の存在は特に気にならなかった(もっと恐竜を見せてほしい、という声にはうなずけるが)。ただ昆虫の形状そのものが苦手、または「大量の昆虫」が映像として観ることに抵抗がある人からすると、ちょっとキツいと思う。

  • 『ジュラシック・パーク』の頃から「メイキングがすごい」と話題のシリーズ、本作のメイキングもYouTubeで一部を観ることが出来た。やはりアニマトロニクスの技術はすごい。本編とあわせてこういうものを観られるのはとてもありがたい。


20. RRR

鑑賞日:2022.12.24(映画館にて)

  • インド映画というものを観るのはおそらくこの作品が初。知り合いの漫画編集さんが、本作監督であるS・S・ラージャマウリ氏の前作=『バーフバリ』シリーズを猛プッシュしていたこともあって、予告映像だけ観てる段階から「これは観たい」と思っていた(ちなみに『バーフバリ』はまだ観ていない……)。

  • 鑑賞済みの人からは「今年ナンバーワン」「面白すぎる」と絶賛の感想しか聞かず、RHYMESTER・宇多丸氏も映画評の中で「いま(2022年11月時点)上映されている映画の中で一番おもしろい」とラジオでお話しされていた。「そんなに観る人が全員絶賛する映画なんてこの世に存在するのか?」と疑心暗鬼になっていた。が、大げさでもなんでもなく抜群に面白かった。オールタイム・ベスト上位にすら入り込んでくる傑作であった。

  • 映画予告編をほとんど流し見、ポスターにある情報(具体的に言うと「誰がどんな格好をしていて、どんな武器を持っているのか」)をあえてあまり観ずに映画館に足を運んだので、某キャラクターが某武器を見つめるシーンで心のバンザイを決め、エンドアの戦いばりの森林戦闘シーンで大号泣、エンドロールでは心の拍手喝采と最高の映画体験をさせていただいた。

  • 自分が観に行こうと思ったタイミングでは終映していたグランドシネマサンシャイン池袋さんが、バッチリのタイミングで復活上映してくれたのが本当に助かった。

※そしてグランドシネマサンシャイン池袋さん、IMAX上映も期間限定で復活させてくれるらしい。太っ腹すぎる。


おわりに

結局2022年に鑑賞した映画は82本となった。時間にして156.4時間、映画館での鑑賞数は24本
ジャンルとしてはやはりアクションが多く、2位が自分としては意外なホラー作品となった。2021年まで避け続けていたホラーを、2022年は割と多めに鑑賞していたということになる。人間の好みは30歳を過ぎてからも覆るのだと知った。

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