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アラフォー摂食障害患者が叶えたいたった一つのこと。

ざっくりと自己紹介。私は20代の頃に摂食障害になり、過食嘔吐による困りごとはほとんど経験したであろう40代主婦。子持ち。
今でこそ「摂食障害」という病気を知っている人が増えてきたが、その実態を理解している人は少ないと思う。この話は長くなりそうだから今回は傍に置いておく。

早速本題に入るのだが、私が叶えたい一つのこととは、ズバリ直腸脱の手術をすること。

私は、かつてない危機に直面している。

直腸脱。重みのある単語だ。

その名のとうり、直腸が肛門から脱出してしまう病気。私はこの疾患を治したいのだ。

高齢の女性に多い病気で、まれだが若い人や中年、男性でもなる。

デリケートゾーンにおける疾患は人の尊厳にも関わるから、はっきり言って知られたくないが、この病気になって困っている人がこの世のどこかにいるかも知れない。
この病気じゃなくても、人に知られたくない病気を抱えて受診を悩んでいる人がいるかもしれない。

そんな人に少しでも勇気を分け、自分も受診したいと思ってもらえたらいいな、と思ってここに記す。

摂食障害の合併症に直腸脱があるのかは分からないが、主治医の話によると、若くして直腸脱になる人は短期間で急激に痩せた人が多いと言っていた。

私以外にも、摂食障害と直腸脱の両方を患って困っている人がいるのかも知れない。

かくして私は手術ができるか確認する為に、胃と大腸内視鏡検査をする事になった。

大腸内視鏡検査前日 準備編


病院から事前に検査用の食事を購入してあるから、まずは3食これを食べる。
私が通常の健康な若者だとしたら、極めて少ない量だと思う。たぶん。
摂食障害の人(過食も拒食も)は食物にこだわりがあるから、すでにハードルが高い。
しかし1歩先へ進むと決めたのだ。
そして夜9時に下剤(錠剤)を服用。

大腸内視鏡検査当日の朝 準備編


朝起きたらすぐにコップ1杯の水を飲む。
そしてモビプレップ(経口腸管洗浄剤)服用を開始。
うっすい梅味のアクエリアスみたいな味。決して美味しくないが、飲めないわけではない。
説明書どうり、ゆっくり時間をかけて飲み始める。
ちなみにコレは、もしも全部飲んだ場合、3時間半くらい時間がかかる。
とにかく大量だ。

過食嘔吐により、胃が伸びきっている私でもキツい。

そして物事はスケジュール通りに進まないのが世の習い。

途中から便意が起こりトイレに行く為、説明書の通り、15分おきに飲めない。

トイレにコップを持っていき、飲みながら便座に座りたいが、夫や子供達が不審に思うだろう。
私にもプライドがある。
相手が家族とはいえ、さすがにできなかった。

もっと早くから飲み始めればよかったと後悔するも、時すでに遅し。
このぐらいになるまで頑張ってね!という見本の写真があるのだか、まだそこまで到達していない。しかしもう出発時間がきてしまった。
背に腹はかえられぬ。予約時間を過ぎるわけにはいかないので、出発するしかない。
私はモビプレップとの戦いに負けた。

移動編


内視鏡検査を行う場合、鎮痛剤のせいでフラフラするから車の運転は禁止だ。
夫に運転を頼み、送迎してもらった。突然便意が起こったらどうしようと焦る。焦ると便意が起こるのではないかとさらに焦る。焦りは頂点に達した。

検査編


なんとか無事到着し、すぐにトイレ直行。
いいんだか悪いんだか、自分では判断がつかない。
受付の方に便の状態を告げる。つぶつぶが残っているとダメだから、再度トイレに行って、看護師に見せて欲しいと言われる。「あ、ハイ。」とすんなり言えちゃう私。どうだ。すごいだろう。羞恥心は自宅に置いてきた。

看護師さんに「あ、大丈夫。とてもキレイね。」と言われる。
頬を赤らめるアラフォー。
仕事ができて、申し分のない配慮ができて、便まで褒めてくれて、なんて素敵な看護師だろう。

検査前に鎮痛剤の注射を打つのだか、体重40キロないから量を半分にしましょうと言われた。意識朦朧として、気がついたら終わっている、というのを期待していたがどうやら無理そうだ。

検査開始。胃カメラがぐんぐん体の中に入っていく。何も言わず黙々と仕事をこなす医師。頼む、何か言ってくれ。私の胃は大丈夫なのか。

看護師さんが事前に「唾がでてきたら飲み込まないでネ。そのままエプロンにダラダラと流してくださいネ。」と言っていたのを思い出す。
鎮痛剤のせいか、唾がでているのかどうかも分からない。

あっという間に胃カメラは終わっていた。熟練の技だ。全然痛くなしい恐怖心もなかった。

そして次は下部内視鏡検査。ようやくドクターXは話しかけてきた。「よく食べる人ですか?」
一瞬凍りつく。
待ちに待った言葉が「よく食べる人ですか?」だったから、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしたと思う。
ドクターXは「あ、あの、変な事聞いちゃって失礼しました。」と言った。
微妙な空気感が漂う。
ドクターごめんよ。
下からカメラを突っ込まれて、すみません私、摂食障害で‥胃が‥多分‥伸びきっているし、下垂しているかも‥とか説明を始めるのもどうかと思って面食らっただけだよ。
全然失礼じゃないよ。
と言いたいが言える状況じゃない。

結果編


過食嘔吐を何年も繰り返していると、食道、胃、腸の状態がどうなっているか心配になる。しかし私の中のそれらはキレイだった。なんならピロリ菌もいないみたいだ。

過食嘔吐のせいで体はボロボロになっているかも知れないと、ずっと不安だった。
検査が終わって「あなたの胃と腸はキレイでした。」とはっきり言われると、もう嬉しくて嬉しくて。
検査なんて終わってみれば大した事はない。相手(医者&看護師)はプロだし、安心して身を任せればよかったのだ。
何年間も不安に思っていた事から解放され、ひとときの幸せを味わう事ができた。
(まだ手術が残ってるけど)

感想


体調に不安があると、ネットで検索する事が多い。でも結局、自分自身が病院に行って検査をしないと本当の事は分からない。
だから思い切って検査をして良かった。
摂食障害を診てくれる病院にも通い始めたし、少しずつ物事が動き始めている。
1歩でも前進は前進だ。

もし私の願いどうりに直腸脱の手術ができて、完治することができたなら。

きっと生活の質は上がるだろうし、これまで以上に外に出て、人と関わってみたいのだ。

今からでも遅くはないはず。

そして最後に。

医療従事者の仕事ぶりには感謝しかない。
押し寄せる患者は数知れず。体の中にカメラを入れるなど、よくよく考えたらすごくトリッキーな事なのに、患者に配慮し、質問に答えて、心に寄り添ってくれる。
この人達に支えられていると感じるから、手術をしたいと思えるのだ。
心から感謝申し上げる。どうもありがとう。

#もしも叶うなら

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