ふたをしたままの気持ち
美雪はスマホの画面をOFFにした。
今日も「いいね」が二桁しかない。
アラサーの美雪が子供の成長を残したいと、SNSを始めたのが3ヶ月前。
最初はただ、子供の写真が上がっているだけで満足だった。
「いいね」が初めてついた時は、とてもうれしくて、感謝の気持ちでいっぱいだった。
自分の投稿が誰かの目にとまって、そして反応してくれる。
見えな光の線でつながっている感じ。
子供と二人きりの時間にうんざりしていた美雪にとって「いいね」は誰かにほめてもらっている、そんな感じだった。
感じではなく、ほめてくれているのだ。きっと。
育児ノイローゼの美雪を救ってくれたSNS。
SNSを始めて3か月たった。
休まず投稿もしているし、子供も日に日に成長している。
なのに、なのに、なぜか、「いいね」の数が二桁どまり。
最初は、一つの「いいね」に感動して、感謝の気持ちでいっぱいだったのに。
今はもっと、もっと、要求している。
だって私より「いいね」をたくさんもらってる人がいる。私だってもっともらいたい。
嫉妬。
承認欲求。
これは、昔、感じた気持ちと同じ。
美雪には2歳下の妹がいた。
妹は小さいころ、体が弱くてよく入院していた。妹が入院しているとき、美雪は祖母と父と過ごしていた。
「お母さんは妹の方がスキなんだ」
5歳の子供の思考は単純。
その一言に嫉妬や、認めてほしい気持ちが入り混じっていることは気づかなかった。
友達との関係、仕事場での人間関係、夫との関係。今までも何度もなくこんな気持ちが出てきたけれど、またまた出てきた。
いつになったら出てこなくなるのだろう。
蓋をして、見ないふりをするのはもうやめよう。
蓋をするから、腐っていくのだ。
蓋を開けて、換気をして、認めちゃおう。
私は嫉妬している。 私は認めてほしい。
誰に?
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