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宝塚花組『アルカンシェル』観劇_新人公演

宝塚歌劇花組公演 ミュージカル『アルカンシェル』~パリに架かる虹~
(作・演出/小池 修一郎)
(新人公演担当/平松結有)

マルセル・ドーラン:天城れいん
カトリーヌ・ルノー:七彩はづき

5月2日に実施された、東京新人公演を拝見してきました。
時間が空いてしまいましたが、感想などを色々と。

当て書き脚本の新公

主演のお二人は、二人とも新公主演経験者(天城さんは鴛鴦歌合戦、七彩さんはうたかたの恋)ですが、お二人とも(前半など特に)少々緊張が表に出ているかな~という印象でした。
今回は当て書き作品で、柚香さんの為、星風さんの為、といったシーン・演出多めだと思うので、なかなか苦戦されたのではないでしょうか。
(マルセルの冒頭ピエロ役ダンスシーンや、カトリーヌのスター歌手としての歌唱などで特にそう感じました)

今回、大劇場での新人公演が取りやめになり、東京公演一度限りの新人公演だった上、公演中止などの影響で日程変更も。
大変な状況な中、新人公演を作り上げた新公メンバーの皆さん、本当にお疲れ様でした。

花組では久々の一本物

久々の一本物新公。シーンカットは勿論、演出も色々と変更になっており、興味深く拝見しました。

後半のストーリー改変は(そう来る?!!)と思いましたが、無理やり詰め込んで進めるよりも確かにあの改変はアリかも。
※慰問先で、マルセルがカトリーヌを救い出そうとするシーン、
本公演:マルセル「一緒に来るか?」⇒(アルカンシェルを迫害から守るため、カトリーヌは契約が切れるまで残る)
新人公演:マルセル「一緒に帰ろう」⇒(カトリーヌ、一緒に帰る)
(カトリーヌ、本公演では自身の意志・使命感を持つ芯のある女性といった印象だったのに対し、これによって少々ふわっとしてしまった気はする)

シーンや台詞の改変があった箇所を中心に、本公演に比べ、マルセルの台詞も柔らかめになった印象。
本役さんとの台詞回しの違い等も含めてだと思いますが、主演の雰囲気に合わせたお役になっていました。
ストーリーテラーである現代の「イヴ」も、『ペペのひ孫(イヴの孫)』という本公演設定から、『大人になったイヴ本人』に。
全編通して、本公演とは別の世界線の「アルカンシェル」という感じで新鮮でした。

虹の上を二人で歩む

ラストの、(新公)第2幕第12場「パリに架かる虹」も大分演出変更が。
本公演ですと、舞台上に斜めに並んだ市民たちが「たゆたえども沈まず」を歌う中、投降するドイツ兵たちが上手後方から下手前方に歩いてくる演出。
(本公演、市民もドイツ兵も、一人ひとりが自身のお役に合わせた表情や仕草をされていて、見どころがたくさんあります)
新公ではこのシーンにはドイツ兵の出演がなく、市民が銀橋に並び、真っすぐ正面に向かって、「たゆたえども沈まず」を。
本公演ではなかなか銀橋で歌う機会のない下級生も含めて銀橋歌唱があるのは、新公ならではで良いですね。

そして一番好みだなと思ったのは、マルセルとカトリーヌが「ヌーヴェル・アルカンシェル」を歌うラストシーンの演出。
本公演ですと、二人が銀橋を渡り、そのバックに背景的立ち位置の虹(舞台上にスモークが広がり、照明により虹色に)
新公では、お二人が銀橋に出るのではなく、舞台センターで、後ろを向いて二人で歩んでいく演出でした。
アルカンシェル、本公演自体も全体的に照明遣いが大変好みで、美しい虹の上を歩んでいくようで、素敵なラストシーンでした。
(詳細記憶に残し損ねてしまいましたが、歌詞も新公用に変わってたような)

「主な配役」内で気になった方

◆コンラート・バルツァー:夏希真斗
本公演では輝月ゆうまさんが演じられているコンラート。
対カトリーヌでとても気持ち悪いオジサンかつ、ヒトラーへの忠誠・酔心具合のお芝居が流石だなと思っているのですが、夏希さんのお芝居も良かったです。
台詞回しや息遣いなど、「コンラート」のねっとりとした雰囲気や執念深さ、ヒトラーへの傾倒をうまく表現されているなと感じました。
(サ・セ・ジャズのシーンも良かったです!)

◆イヴ・ゴーシェ:美空真瑠
毎度ながら発声が良いですね。台詞も歌詞も大変聞き取りやすく、ストーリーテラーとして活躍されていました。
本公演との設定変更もあり、アコーディオンを弾いていたイヴ本人のお役に。試行錯誤されたであろうことが伺える役作りでした。

脚本上のアレコレ

本作品、正直なところ(少々時代錯誤では?)(脚本としてやはり男性的な印象だな)(何故ここでこの台詞?)と思うような箇所もあるのですが、
新人公演では割とそれらを回避していたように思います。
一本物を時間内に収めなければならないということで、どうしても若干流れとして引っかかる部分はあるものの、良い編集・演出でした。

本公演も残すところ2週間。
千秋楽まで無事に幕が上がり続けることを祈ります。

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