夫婦で新規就農する時、大切にしたこと
お互い同じ方向を向いてる?
夫婦で就農するとなると、同じ畑にそれぞれ違う考えの人がいるので、そりゃ意見がわれる。
パン屋で修行時代、先輩がパン屋をオープンするとなれば、あちこち『スケ』(助っ人)によく行ったものです。
中には、夫婦でパン屋オープンのお店もありました。
やはり、話題になるのが職人が2人いると喧嘩になる、と言うこと。
しかも、経営に口出しできる職人が2人いることになるのだから、そりゃ意見が食い違うのは無理もない。
なので、夫が厨房、妻が販売と言うパターンか、夫がシェフ、妻がスーシェフな立ち位置で妻がサポートに回るパターンを多く見てきた。
私たちの場合は、相方が生産、私が販売と完全に区切って、役割分担することにした。
しかし、当初は相方の考えでは、全面的に生産も私にしっかりやってほしいと思っていたようだ。(そんなこと、聞いてないけど)
そして私は、生産はやったことないから手伝い程度で、がっつり販売に力を入れるぞ!と思っていた。(言ってないけど)
話し合う中で、お互い『え?!そうなの?!聞いてないよ!』と、考えの食い違いが大きくあることに驚いた。
夫婦だけど、ちゃんと言わないとわかんないよね。(^^;;
どうやって、話をすり合わせるか
夫婦で意見を、言い合うとなれば遠慮はない。
お互い、言いたいことを言って喧嘩して、口を聞かなくなる。
かと言って、妻の私が夫の意見に従うなんて、まっぴらごめんだ。
そんな、一歩も譲れない夫婦だからこそ、重要となったのが『第三者目線で話し合う』ことだ。
元々、自己分析が好きで趣味のようにやっていたので、相方にも自己分析をしてもらった。
どうやってやったのかは、また別の記事に書くことにするので、ここでは割愛。
自己分析をすると、その人の大切な価値観が浮き出てくるのだが、その中に仕事の目的となる価値観が誰しもあるのだ。
その仕事の目的となる価値観を仕事に活用できると、充実感満載で仕事に取り組めるのだ。
そう、会社で言えば、『ミッション(目的)』になる。
その自分の人生のミッションを、お互い抽出するわけだ。
そこで私が行ったのが、お互いが持つ仕事の目的を組み合わせることだ。
それを事業の『ミッション』に設定したのだ。
私の仕事の目的は、『変化と成長し続け、心豊かな人を増やす』
相方の仕事の目的は、『他者の心に寄り添い助ける』
この2つを組み合わせて、花農家ハルグリンのミッションは、
『花を通して、心豊かな人を増やす』
に決定した。
このミッションは、相方も納得して受け入れてくれた。
『自分が』ではなく、事業として考える
この自己分析で行った仕事の目的を、事業の軸として据えたら話は早かった。
『自分が』ではなく、事業としてどうなのか?と言う目線で話し合えるようになったのだ。
意見の食い違いは、大幅になくなった。
自分の意見が出過ぎてしまうと、『はて?』それは、ハルグリンのミッションを達成するのに必要なことなの?と、お互い一歩引いて話し合うことができるのだ。
農家となると、家族で経営することが多く『お父さんがミッション』と言うような印象を受けることが多い。
妻、お母さんは、お父さんのお手伝いと言う位置付けが多いように感じる。
そうではなく、しっかりと事業として農業をやっていきたかったのだ。
パン屋さんにコンサルタントとして、サポートに行っていた時もやはり『自分は、こうがいい』と言ったように、声が大きい人の意見に引っ張られてしまう。
そんな時、ミッションをしっかりと設定していると、個人の意見に引っ張られることなく様々な人が意見を言いやすくなるように感じた。
新規就農すると決めたなら
ひとり新規就農でも、夫婦新規就農でも、1から就農すると決めたなら、ブレることのない軸をしっかりと立てることが、大切になってくる。
新規就農となると、すべて1からのスタートとなるだろう。
そんな時に、何となくで事業を進めていくと、途中道を見失いかねない。
行き当たりばったりでは、長く続けていくには息切れしてしまう。
事業計画を立てる前に、まず自分は、農業を通して何をしたいのかをしっかりと考えることをお勧めする。
これは、農業に関わらず事業を立ち上げる時には、必ず行ったほうがいいことだと経験を持って強く思う。
新規就農3年目で、スタッフにも来て頂くようになり事業の目的を説明するのにも、とても役立っている。
話し合いをする時も、『ハルグリンのミッションから、ズレてない?』と言いながら俯瞰して話をすることができて、しっかりとミッションを設定して良かったと感じている。