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テクニカルライターという仕事はなくなるのか?

テクニカルライターという言葉をググると、こんな検索候補ワードがあがってきます。

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“なくなる”
マニュアル界隈にいる身としてはドキドキするワードです。この記事では、テクニカルライターがなくなると言われる背景、本当になくなるのかについて、私の考えを書いてみたいと思います。

テクニカルライターに将来はない?

新卒入社した会社でテクニカルライターとして働いていた頃、「テクニカルライターは将来なくなるぞ」という話が耳に入ってきました。

2014年6月18日のエコノミストの記事『襲いくる波(The onrushing wave)』によれば、将来、消えてしまう可能性が高い職業はテレマーケティング、会計士・監査人、小売販売員、テクニカルライター、不動産業者だと言う。
出典:HRテクノロジーPRO 2030年に有望な職業とは?

上記は少し古い記事ですが、AIに仕事を取られる!と話題になったので、記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。

当時の私は仕事にもだいぶ慣れ、任される仕事の範囲も増えて、仕事が楽しくなってきていた頃で、この話はなかなかの衝撃でした。

本当にテクニカルライターはなくなる? 

個人的には、テクニカルライターが完全になくなるというよりも、求められることが変わってきたという意識を持っています。

ここ数年、iPhoneのようにマニュアルのない製品やサービスもあり、説明ありきではなく、手にすればすぐに使えるものが少なくありません。
マニュアルがなくても、ユーザーが安心して使える製品やサービスにより価値がある、それが当たり前、という傾向が強くなっていると感じています。

最近のテクニカルライターの求人を見てみても、数年前に比べ、UIやエラーメッセージといった、ユーザーが目にする言葉に責任を持つ、いわゆるマニュアル制作に閉じない役割を求めているものを多く見かけるようになりました。

さらに、”なくなる”といわれる背景として、コスト削減となった場合、マニュアルの制作費は削減対象になりやすいことがあげられると思います。

いくらマニュアルが製品の一部といっても、製品やサービスそのものの提供より優先度は落ちますし、最近では、Swaggerなど、コードからドキュメントを自動生成するツールも登場しています。

こういった流れから、従来の”マニュアル”を作っていたようなテクニカルライターはなくなると言われているのだと思います。もし、“マニュアル”が今後残ったとしても、私たちが今見ているようなものとは、まったく別の形かもしれません。

テクニカルライターに今後求められること

“マニュアル”を作る人からの脱却
マニュアルは、あくまで、ユーザーに安心して快適に製品やサービスを使ってもらうための手段です。時代と共に求められるものが変わってきたら、従来の形にとらわれず、“マニュアル”以外の新しい形を提案して実現できる力が必要だと思います。

ユーザビリティ/UXの知識
製品やサービス全体の品質を向上させるような知識と実践、設計者に改善点をフィードバックできるレベルが求められていると感じます。製品/サービスを作る一員として、誰もが見逃しているような盲点を指摘できると、プロジェクトに欠かせない存在として信頼されると感じています。

言葉のプロとして境界線を決めない
人が使用する製品やサービスには、UIやエラーメッセージなどの言葉が存在します。当たり前のように表示されている言葉がユーザーにとって本当に最適解なのか、言葉のプロとしてよく吟味し、「マニュアルじゃないから担当外」ではなく、境界線を決めないことがテクニカルライターの価値につながると考えています。

まとめ

- 従来の”マニュアル”を作っていたようなテクニカルライターは求められなくなってきている。
- 今後は、言葉のプロとして製品やサービスの品質向上に貢献できる可能性がある。
- 現在のテクニカルライターが生き残る戦略として、マニュアル制作に仕事の範囲を限定しない。

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