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1人の女の子を考える~市川雛菜①

ようやく筆を動かせそうです。

他者を理解することは難しい。いや、この言い方に僕は傲慢さを感じる。もし自分が、誰かに「あなたを理解できた」なんて言われたら嫌だろう。僕のことを考えるのは勝手だが、勝手に理解しないでくれ。だって結局自分だって自分のことを分かっていないのだから。

ゆえに僕は今回、ある女の子のことを必死に考えた。彼女の名は、

市川雛菜

である。

アイドルマスターシャイニーカラーズ

さてさて、アイドルマスター、アイマスの話である。簡単に言えば、プロデューサーとしてアイドルを育成して、トップアイドルを目指すゲームだ。

そのなかで、今回取り上げる市川雛菜が所属するのは283プロダクション。アイドルマスターシャイニーカラーズのユニット「ノクチル」のメンバ―だ。

現代のアニメなどのキャラクターの潮流は大きく2つのパターンがあると私は考えている。一つは、日常アニメなどに多い記号的に消費されるパターンだ。ツンデレ、清楚、メガネっ子など、キャラには複数のタイプが存在する。そのタイプに従い物語は進行し、そのキャラの過去や未来を捨て去り、現在性にだけ着目する、ゆえに「日常」系なのだ。

もう一つは、空白をあえてそのまま残して終わるパターンだ。空白をそのまま残して終わるというパターンで真っ先に思いつくのが新海誠監督の作品群。『君の名は』では最後、大人になったヒロインの宮水三葉と立花瀧が階段で出会って終わる。この後についてはなんの言及もなく、見ている側は好きに想像して物語を構築できる。

だが、アイドルマスターシャイーカラーズ(通称:シャニマス)はこの時代の潮流に逆行しているように思える。シャニマスの一番の特徴は、1人のアイドル、1人の女の子をどこまでも描き切るという点だ。この点を雛菜を考えることでよくわかったし、シャニマスすげえってなってしまいましたね。

前置きが長くなりましたが、雛菜について考えていきたいと思います。

市川雛菜という女の子

正直に言いますと、期待はあまりなかったです。というのも、ノクチルはここまでのメンバ―のコミュでそこそこお腹いっぱいになっていたし、透、円香、小糸を超えるようなシナリオが僕の貧相な脳みそでは想像ができなかったから。

天才肌で、適当。プロデューサーに甘えて、やるときはしっかりやる。

プロデュースを始めて、シーズン1が終わった段階で想像は現実になり、やっぱりこんなものかと思ってしまいました。

ところが、シーズン2から雲行きが一気に変わります。プロデュースイベントbitter×coffeeでのこの一言。

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いや、あなた今まで「あは~♡」とか「ごろ~ん♡」とか言ってた子ですか?声音の変化に、彼女との間の空気感が一気に変化しました。

そこからはバチバチ。円香みたいに目に見えてバチバチではないから怖い。とても怖い。円香は個人的に手のひらに彼女が何だかんだで乗っていたように思うのです。だから、何をしたら彼女が怒り、何に対して怒り、何が嫌なのか。それがよく分かったし、とても分かりやすかった。

だが、雛菜はそれとは全然違う。普段は天真爛漫で無邪気で活発な女の子。「プロデューサーのことすきかも~~~」とも言ってくれる。ただ、何か絶対に入ってはいけない聖域が彼女の中にはある。それが分からない。だから、プロデュースをしていて本当に怖いアイドルだった。

価値観の対立

では、なぜ雛菜とプロデューサーはここまでバチバチになったのか。僕はこの要因を2人の価値観の違いに求めます。

「どんなことでも楽しく、しあわせ~にやるのがいちばんでしょ~」

雛菜は自分の「しあわせ~」をどこまでも追及する女の子。雛菜はどこまでも自己中心的な人間に見えてしまいます。自分が楽しいことだけをする、誰かに褒めてもらえることが大切。正直、ファンのことは二の次、三の次くらいにしか考えていないのではないだろうか、と考えてしまうほどに。少なくともプロデューサーと出会うまでは。

対するプロデューサーはどんな人間なのだろう?

雛菜からすれば変人でしかありません。

僕たちプロデューサーは、アイドルをプロデュースしているとき、何を考えるでしょう?多くののPさんが「アイドル!」と答えるのではないでしょうか。ゲームの性質上、何ていったら簡単ですが、Pというのはアイドルに尽くすもの、アイドルが輝いてこそのPなのです。僕たちPは少なくともPである限り、アイドルがしあわせ(トップアイドル)になることこそが「しあわせ~」であるのです。つまり、他者の「しあわせ~」こそ、自己の「しあわせ~」であるのです。

そんなPを雛菜は分からないのです。そして、不安になる。雛菜のスタンスは僕たちPにも幸せになってほしい。でも、私をプロデュースしている限り幸せにはなれないんじゃないか。だから、あなたも自分の幸せだけを考えて!なんて、雛菜の悲痛な叫びが聞こえてきそうです。

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ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。

この価値観の対立を乗り越えるには。そもそも乗り越えられたのか?また、一つ僕は雛菜のセリフでとても気にかかった一言があります。

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「アイドルには」。

「には」って、何かにはなれなかったのか?そんな些細かもしれないことが気にかかって仕方ないのです。それらについてはまた今度の機会に書きたいと思います。


続き、更新しました!各コミュについて詳しい考察。さらにはそこから導き出せる帰結についても書きました。ちらっと読んでみてください(笑)

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2021/8/12 追記

続き、またまた更新しました!!雛菜の「揺らぎ」に注目したつもりです。ぜひ、ご一読をm(__)m


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