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バスの中

いろんな年代の人たちと
同じ大きな乗り物にのって
行き先はそれぞれ違うけれど
今この時同じ空間にいる事は
実際起こっていることで
奇跡に近いのかもしれないと思う晴れた真昼

晴れていても今は冬で
空気は私の喉を傷つけようと
必死に体に入り込む

バスは私を冬の外の空気から守り
その代わり色々な言葉や音や匂いや目線を
私に渡した

窓の外を眺めると
ベビーカーを押したお母さんの優しい表情や
ひとり乗りのマクドナルドの車や
家族連れに
歳を重ねたご老人
たくさんのお店に銀行に中華料理のお店

始発駅から乗ったら出発までの時間は
退屈な時間なのかもしれない
ゆっくり出来ると感じる人もいるかもしれない

その場にたまたま集まった人の数だけ
考えや感じ方があるのだから

まだ出発しないのかとそわそわしているあなた
もう思春期でゆったりイスに腰掛けるあなた
あなた達と家族になってから
こういう時間を
『しあわせ』とも考え感じるのだと
そう呼べるのだと
これは遅い事なのかな
初めて知った

そんな私はバスから降りて
また冬の空気と戦いながら
あなたたちと我が家へ向かう

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