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クスノキ

アルバイト先の前には大きなクスノキが数本あって大きな木陰を作っている

職場はクスノキがある方に大きく天井まで窓が取ってあり、この窓いっぱいにクスノキの緑が広がっている

面接のとき、面接官の後ろの窓いっぱいに広がる春の緑を見て、「どうかどうかこの景色と過ごせるよう採用されますように」と願ったのを懐かしく思う


昼休み、このクスノキの写真を撮っていると社員の方が「なに撮ってるの?」と出てきた

わたしのアルバイト先は山や森林に関連する仕事だからみさなん、樹木にとても詳しい

「クスノキってね、とっても大きくなるんだよ、枝打ちしてもね、そこから次々と枝が出てくるし、、、強い木なんだよ」と説明してくれた


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数年前、わたしは仕事と住むところを同時に失って、途方に暮れていた

途方に暮れるだけだったらのんびりしたものだけど、親戚も友達もいない土地に繋がりがないところでの独り暮らし

ただただ不安だった、気持ちが不安定で毎日泣いてばかりいた


被爆クスノキは2本ある

そのとき、ふと思い出したことがあった

福山雅治さんの「クスノキ」という歌

長崎の被爆したクスノキを歌ったものだ


福山雅治 クスノキ

長崎原爆のとき、被爆したクスノキ

けど、枯れることなくただただ淡々と生き続けている

木のうろには爆風で飛んできたたくさんの石が詰まっている

そのクスノキを見に行った

ものすごく立派
しめ縄がしてある


そのクスノキは住宅地の中をちょっと登ったところにあって、「片足鳥居」は爆風で片方の柱だけ残った鳥居(鳥居はあまりにも周りの住宅がたくさんで写真を撮ってないです)


平和記念公園にも行った

涼風も 爆風も 五月雨も 黒い雨も
ただ浴びて ただ受けて
ただ空を目指し

植物はなにも語らずただただ空を目指して伸びてゆく

うろいっぱいに石が詰まっているのにあの被爆クスノキは77年経った今日も淡々と空を目指しているんだろうな、


翌年、広島にも行きました


はなをいけて飾る暮らしが当たり前のようにできる

けど、それは当たり前じゃなくなる日が来るかもしれない



だからこそ、職場の窓いっぱいに広がる緑を眺めながら、しみじみと平和をかみしめる日があってもいいと思うんだ




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