「教えなさい、教わることの方が多いから」
この言葉を掛けられるようになったのはいつの頃からだろう
今日は対面稽古とオンライン稽古があった
対面稽古は初めての『自由花』
いけばなには流派というものがあって、わたしが所属している『草月流』は自由であるということを大切にしている
自由を大切にしているといっても最初は基本を習う
『花型図』という設計図のようなものをみながら構成を組み立てていけていく
これによって植物で空間を作る、ということを学びながら、並行して植物の扱い方から、花ばさみの持ち方、剣山の挿し方、器の扱いなんかも習う
いけばな稽古ってやること満載なのだ
で、話を戻して『初めての自由花』
今までの稽古は花型図に頼っていけていたのでカタチ(構成)が決まっている
お習字で見本を見ながら丸写ししていくような感じ
それが急に『さぁ、自分のお好きなようにいけなはれ』となるから言われた方にしてみれば手作りいかだで大海に急に漕ぎ出せって言われたような不安に襲われる
とても時間がかかったけれどしっかり植物の表情を捉えて、基本を打ち破って『自分だけのはな』をいけてくれた
そして帰り際「自由って大変なんですね」って言葉を残してくれた
そう、自由って実はとても大変なこと
好き勝手とか、やりたい放題、我儘とは全く違う
それを実感できるよい経験になるのだ
久しぶりに改めて『自由の大変さ』を実感した
対面稽古の最中にオンライン稽古の方から連絡が来ていた
『先生、(花屋に)花材がぜんぜんありません、2軒回りましたがダメでした』
オンライン稽古の場合、細かく花材の指示を毎回出して、それに添う花材を準備してもらっている
その指示に見合う花材がなかったとのことだ
『では、ご自分のいけてみたい花材でいいですよ』と返信しておいた
時間になってPC画面に現れたお弟子団は満面の笑み
そしてこう言い放った
「家の目の前の土手にいい枝があったので切ってきました!!!!」
それはそれは立派な枝だった
思わずまず確認しなくちゃと
「そこは自由に切っていいところなの?」と聞くと
「ハイっ!!!!ここは大丈夫なところなんです」とのこと
そして
「今日はコレで基本花型をいけたいと思いますっ」
稽古後、PC画面越しにお弟子さんは熱く語ってくれた
「花材がなくてどうしようって思ったときに、はっ!って思ったんです。なければあるもので工夫しなさい、そこらへんに生えてる雑草だって植物ですよ、こういう考えが草月のいいところョって、いつもいつも秋峰先生は言ってるなって、だから家の目の前の土手に生えてる木が閃いたんです!」
これをよしとしないお流儀もある
けれど我が草月流はこういった考え方をする
わたしが草月流を愛してやまない理由の1つ
そして我が弟子はシッカリと教えを身に着けてくれてるじゃないの
シッカリとわたしの背中を見てついてきてくれてるじゃないの
土手でステキな花材を見つけて切ってきたことを大絶賛したけど、それって自分の中では当たり前のこととそれ以上は考えていなかった
けれどお弟子さんの
「草月流でよかった!って思ったんです」との言葉にハッとさせられた
やっぱす草月流ブラボー!
久しぶりにこの言葉を思い出した
亡くなった親先生にも、お世話になった多くの大先生方にも掛けられ続けた言葉
わたしはよい弟子を持って幸せ者だ
※本日は17年前、2005年の今日8月23日にいけた作品と共にお伝えしました
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