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暗黙知の力

スタッフが長く組織に留まると、ある種の安定感が感じられます。
これは単なる仕組み化やマニュアル化の成果ではありません。
「暗黙知」が大きく寄与しています。
暗黙知とは、個人の経験や勘に基づく、言葉にしづらい知識です。
このブログでは、暗黙知の重要性や形成方法、効果的な使い方に焦点を当ててみます。

[プロフィール]
河合晃司

福祉系の大学を卒業後、介護職員として老人保健施設に入社。その後、半年で転職し、デイサービスの生活相談員、管理者を経験し、現在は75名のスタッフをまとめる統括マネージャー。
本業の経験を活かし、副業人材として歯科医院の社外CHRO

暗黙知のメリット

  1. 革新的な解決策の創出 暗黙知は創造性と直感に根ざしており、従来の手法では解決できない問題に対して独自のアプローチを提供します。これは、新たなビジネス機会の発見や製品開発プロセスの加速に直接的に寄与することができます。

  2. 迅速な意思決定 経験に基づく知識は、状況判断を迅速化し、すぐに行動に移す手助けとなります。特に情報過多な状況では非常に役立ちます。この迅速な判断能力は、危機的状況や急を要する問題に対して特に価値があります。

  3. チームワークの強化 チームメンバー間の暗黙知の共有は、連携を強化し、信頼と理解を深めるのに効果的です。これにより、チームはより一層協力的で効率的な作業が可能となり、プロジェクトの成功率が高まります。

  4. 組織文化の形成 組織特有の暗黙知は、文化やアイデンティティを形成し、共通の価値観や行動様式の内面化を促します。これは従業員のモチベーションの向上と組織への帰属意識の強化に寄与します。

暗黙知のデメリット

  1. 伝達の困難さ 暗黙知は形式化や言語化が難しく、組織内での共有が困難です。これが原因で知識のギャップが生じ、特定の情報が限られた人々にしか伝わらない場合があります。

  2. 誤解のリスク 暗黙知に依存すると、誤解が生じやすく、それが原因で問題が発生することもあります。これは特に、文化的背景や経験の異なるチームメンバー間で顕著になり得ます。

  3. 適応の遅れ 環境が変わる中で、過去の経験に固執しすぎると、新しい要求への適応が遅れがちです。これは技術の進化や市場の変動に対応する能力の低下を招きます。

  4. 評価の難しさ 暗黙知の価値や効果を具体的に測定することが難しいため、その重要性を正確に評価するのが困難です。これにより、適切なリソースの割り当てや投資判断が難しくなることがあります。

対策

  1. コミュニケーションの促進 定期的な交流を通じて、経験を共有し、暗黙知の言語化を試みます。これには、クロスファンクショナルなミーティングや社内プレゼンテーションが有効です。

  2. メンターシッププログラムの強化 経験者が後進を指導し、その過程で暗黙知を伝えるよう努めます。これは新入社員だけでなく、異なる部署やチームへの異動があった際にも役立ちます。

  3. 実地学習の機会を提供 新人が先輩の作業を直接観察し、学ぶ「シャドーイング」を積極的に取り入れます。これにより、非公式ながら極めて重要なスキルや知識が伝わります。

  4. 知識管理システムの整備 暗黙知を形式知に変換し、アクセスしやすい形で保存します。これには、動画やマニュアルの作成が含まれます。

  5. 非公式な学びの場の創設 リラックスした環境でのカジュアルな会話も、知識の共有には非常に効果的です。これにより、従業員間のコミュニケーションが促進され、新しいアイデアや暗黙知の共有が自然と行われるようになります。

暗黙知から形式知へ

暗黙知を形式知へと変換することは、組織の強化に直結します。
この変換に成功すると、知識が組織全体で共有しやすくなり、新人の教育やスキルアップが容易になります。
また、暗黙知の具体的な価値を測定しやすくなり、戦略的な意思決定を支援します。
組織がこのプロセスをマスターすることで、変化に強く、革新的で、競争力のある組織へと進化します。

暗黙知を活用し、その力を最大限に引き出すことで、組繗は新たな成長と成功を実現することができるでしょう。

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