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クイズ!CDみたいな金属板、これ何に使うのでしょうか?

86400"(はちろくよん)の山本です。
私たちは、東京の下町、荒川区を拠点に、まちの職人と一緒にものづくりを行うプロダクトデザインスタジオです。

86400"がつくるものはその単純な形ゆえか、はたまたニッチなシーンを想定した商品のためか、「パッと見て何のためにつくられたものかわからない」とよく言われてしまいます。
これは販売する上ではちょっと不利だなと思いつつ、ならばいっそ開き直ってクイズにしてみようという試みです。


今回は中心に孔の開いた丸い金属板。
これ、何に使うのでしょうか?

すっ飛ばして答えを知りたい方は下記目次の「答え」を押してください。


ヒント ①:形

形は丸
当然ですが、丸のいいところは360度どの方向から見ても同じなところですかね。

CDに似ていた形

それと、中央に孔が開いてますね。
シングルCDを並べてみましたが、似てますね。(シングルCD、懐かしい。)


ヒント ②:素材・色

マットな仕上げ

素材は真鍮
表面には塗料など塗られておらず、真鍮そのままの黄金色です。
ピカピカというよりはマットな印象。よく見ると、ヘアラインという細かな傷がいろんな方向から付けられています。
ということは、鏡のようなものではなさそうです。

※ TOPカバー写真のピンクのものは銅製


ヒント ③:重さ

重さは62g
持ってみるとやっぱり金属、その見た目以上にずしりときます。
(ちなみにシングルCDは7g。)

重しとして使えそうですが、掴むところがないのでテーブル直置きの文鎮としては使いにくそうですね。


ヒント ④:大きさ

大きさは直径90mmです。
手の平の指を除いた部分くらいでしょうか。

孔の大きさは8mmで、指は入りそうにありません。
シャーペンでもご覧の通り。ペン立てとしては使えそうにありません。
でも孔があるということは、ここに何かを通したくなる…


ヒント ⑤:一緒に使うもの

さて、いよいよ答えにグッと近づいてきました。

この金属板と一緒に使うものがあります。
それは空き瓶です。
空き瓶であればなんでも良いのですが、お酒などの空き瓶よりもジャムなどの口の大きなものの方が効果的です。

そして、もうひとつ一緒に使うアレ。
鉛筆より細いアレを金属板の孔に通して、空き瓶の上に重ねる…
そう、答えは…







答え

そう、答えは一輪挿しです。
孔は花を挿すためのものでした。
商品名はフラワースカーフと言います。

花+フラワースカーフ+空き瓶

フラワースカーフは、金属板の花器です。
口の大きい空き瓶やグラスの上に載せて、一輪挿しに変えることができます。
素材は真鍮だけでなく、銅もあります。


口の大きな空き瓶を一工夫

この商品は、ついつい集めてしまう空き瓶をなんとかしたいというところから出来たものです。
空き瓶に花を挿すとさりげなくて可愛いのですが、ジャムのような口の大きな空き瓶の場合は花が傾いてしまって意外に飾りにくい。
そこで、この金属板を重ねるというアイデアです。


金属の重みで花を支える

形がCDみたいと書きましたが、CDでも役割としてはOKです。
ただここではより花を支えられるように、金属の重みを利用しました。

ヘアラインでマットな表情

また、花を主役にしつつ、程よい存在感とするために、ランダムヘアラインでマットに仕上げました。反射してギラギラだと花を活けるというよりカラス避けみたいに目立っちゃうので。

変色するとまた違った表情に

さらに変色防止加工を施していないため、時間が経つと黒っぽく変色したり、指紋跡や水跡が残ったりします。 これを重ねることで深い味わいが出てくるので、時間をかけてあなただけの1枚に育ててもらう、というのも楽しみの1つです。


摘んできた花をさっと飾る

あと、丸でつくったのは、さっと活けやすいから。
花瓶部分が360度同じ形であれば、花の長さだけ調整すればいいですからね。
摘んできた野花をさっと挿すシーンを想定した商品なので、手軽さは大事です。

左は大丸、右は小丸

それと、これはよくよく見ないとわからないのですが、実は完全な丸ではないんです。
というのも、フラワースカーフは、板を丸く切り出す作業から表面の研磨まで、一枚ずつ手作業で製造しています。そのため機械で抜き出した完全な丸にはならず、“ほぼ丸”くらいの形で柔らかい表情を出しています。
花と合わせるときに、この柔らかさでもって馴染んでくれるといいなと思っています。


フラワースカーフ 四角
フラワースカーフ 三角

現在は丸だけじゃなく、ほんのちょっぴり活けるのに工夫が必要な四角や三角もあります。こちらも手仕事で製造。


ネジ口を隠す役割も

ちなみに、「フラワースカーフ」という名前は、花と瓶の間に置くため、スカーフみたいというところから来ています。
加えて、空き瓶のネジ口部分を金属板が隠す役割もあるのですが、それを首のシワを隠すスカーフに重ねたのも理由の1つ。


と、いうことで、今回のクイズいかがでしたか?

86400"(はちろくよん)がつくるもの。
それは、◯、△、▢といった、単純な図形でできるもの。
傷が付いたり、変色したりしながら日常に溶け込むもの。
長く長く使ってもらうために、僕たちが大切にしていることです。

その結果、パーツを組み合わせたようなものが出来上がってきます。
パーツのようということは、他の方が見たら、もっと別の使い方も思いつくかもしれません。こんなふうに使ったら面白いというアイデアが思いついたら、ぜひ教えてください。お待ちしています。


フラワースカーフについてはこちら

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