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ぬか床で纏うバリア

前回の初投稿にスキを押していただき、ありがとうございます。

嬉しい気持ちで、続けて書きます。

ぬか床を続ける動機が、味や体調の変化である様に、こうした皆さんの声が続ける動機になるんですね。


前回、少し書きましたが、今回は私たちが纏っている常在菌について書こうと思います。

私たちの肉体の外に触れる部分(口内・喉・胃・腸なども含め)には、様々な微生物が共生しています。

表皮ブドウ球菌やカンジタ菌etc…人間と共生するそれらを総じて常在菌と呼ばれており、この後の文でも常在菌と一括りで書きます。

常在菌の種類や数などは、環境や生活習慣などで変わる為、人によって違い、その違いがぬか床の風味にも影響を与えます。

中目黒店では20組のぬか床を管理させていただいていましたが、皆さんそれぞれに香りと味が違いました。

様々なオーナーのぬか床を並べて管理・観察したのは、もしかすると世界初の試みだったかもしれません。


常在菌は、ぬか床に影響を与えるだけでは無く、私たちの健康にも影響を及ぼします。

昨今、キーワードとしてよく聞く"腸内環境"などは、その最たるで、先に述べた部位の中でも腸は、人と共生する常在菌の数も影響も一番大きなところです。

そして最大の臓器といわれる皮膚も影響は大きく、皮膚に存在する常在菌では、アクネ桿菌がニキビの原因になったりと、あまり良い印象は無いかもしれません。

アクネ桿菌に限らず、バランスが崩れると人に悪影響を及ぼす事があります。

菌は、自らが存在し得る環境整備をした時に、その状態が人にとって都合良いか悪いかといっただけで、菌が人の為に頑張ってくれてる訳では無いので仕方ないのです(笑

その表皮ブドウ球菌やアクネ桿菌は、人の皮膚や毛穴に存在し、汗や皮脂を餌にしてグリセリンや脂肪酸を作り、抗菌ペプチドを作ります。

それらが、外から悪影響を及ぼす存在から、私たちを守るバリアとなっています。

常在菌は手洗いやお風呂で洗い流されて減少し、そこからまた時間をかけて増殖をして…といった事を日々繰り返していますが、石鹸などを使用すると、より多くの常在菌を失ってしまいます。

ですから、あまり洗い過ぎない、といった事が大事です。

手を洗った後やお風呂に入った後の常在菌が減った時に、ぬか床の手入れをすると、新たにぬか床の菌を纏う事が出来るので良いと、以前ぬか床のお師匠さんから聞きました。

なるほど、確かにぬか床の菌は腸内でも良い作用が有るので、皮膚にもきっと良いだろう!

乳酸菌や酪酸菌といったぬか床の菌が、環境の違う皮膚の上で生存できるのか分からないが、何百種もいる菌の事だ、きっと何かしらの方法で仲良く共生していくのだろうと信じているよ、と僕のぬか床手入れのタイミングは、もっぱら入浴後です。


また、最近の懸念としては、行く先々で行う事になる除菌液による手指の消毒です。

これらは洗い流すどころの話ではありません…

しかも薬剤は残留すると言います。

もし効果が持続するとなると、常在菌が元に戻る機会も失われてしまいます。

そうなると僕らは、鎧を脱いでコロナという脅威に立ち向かわなければならない…

とはいえ、公共の場での消毒は感染拡大を防ぐ上で致し方無い事。

それならば外で脱いだ鎧を再び纏うべく、帰宅後にぬか床の手入れを習慣としたら如何でしょう?

そうすれば、日々の手入れが面倒といったハードルを越えられる一つの動機にもなります。

やはり一家に一つ、ぬか床があると良いですね。


余談ですが、「もやしもん」という漫画に、菌が視える主人公が居ました。

先日テレビで、ある芸人の方がオーラが視えて、その時の体調によってオーラの色が違うと話していたのを聞き、もやしもんの主人公を思い出しました。

人のオーラとは、すなわち常在菌の数だったり、纏う脂肪酸というバリアだったりなんかして…



※ ここに書かせていただいた内容は、専門家から聞いたり、調べたりした事ですが、もし事実と相違があれば教えて下さい。