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新しい花〜フェミニズムと差別

「あなたの肌緑色でキモいね」とか言われても緑じゃないから全く傷つかない。
「はあ?何言ってんの?」としか思わない。
「子供を産まないと女は価値がない」みたいな政治家の女性蔑視発言とか聞いても
そんなこと全く思ってないから、自分のことを言われたと思わないし
自分が女であることコンプレックスがないから、1ミリも傷つかない。
やっぱり「はあ?何言ってんの?」としか思わない。
そこで傷つくのは、むしろ女であることに、囚われやコンプレックスを持っている人だと思う。
もしかして自分はこれじゃダメなんじゃないのかと心のどこかで思っているから傷つく。

差別というのは「女はみんなこう」「男はみんなこう」「あの国の人間はみんなこう」と十把一絡げにして思考停止することを言う。
(「あの国の人はみんな美人」とか肯定的な表現だとあまり怒る人はいないけど、それだって偏見には違いない)
ひとりひとりを知っているわけでもないのに、大きな主語で「あの種のひとたちはみんなこういう人間」と一括りする思考は脳の怠慢によって起こる。
一説によればIQが低い人程差別的な思想を持ちやすく、歳を取るほど脳も衰えるのでその思想を修正しにくくなるという。
中立的な視点で情報を集めたり、たくさんの人と触れ合って自分自身で考えるより、一律にこうだと決めつけてしまう方が楽だから流されてしまう。

「女ってやつは」「黒人はみんな」「ゲイってのは」みたいな十把一絡げの差別発言は「私はこれ以上視野を広げず、思考停止して生きていきます」というただの宣言だ。
そんなものに傷つく必要は一切ない。

それなのに傷ついた人たちは「私たちの権利を認めろ」と声を上げる。
なぜ自分の権利を他人に認めてもらわなければならないのだろう?
女性蔑視発言に傷ついた人は
「女性の権利を認めて下さい」と男性に乞い願う。
男に認めてもらおうとする時点で、自分で自分を男より下に見てないか?
男に認められないと自分の権利を行使して自由に生きられないのか?
認められなければ自分に権利がないと思い込んでいる時点で、女性を蔑視する男の見解に流され続けてき生きて来たんではないのか?

私は女という性別で生きていて、自分が男より劣っていると思ったことは一度もないから、自分の権利をわざわざ男性に認めさせようとは思わない。
そんな主張に加わりたいとは思わないし、フェミニストが使う「女」というでかい主語で勝手に私まで被害者側に振り分けられるのは迷惑だ。
「私たち女はずっと虐げられてきた」と彼女らは言う。
「女ってやつはみんな話が長い」と昭和の男は言う。
どちらも十把一絡げの偏見だ。
私は被害者じゃない。
私は「女」と言う主語に絡め取られたくない。
私の肌は緑じゃないから。

人権なんてものは、私の脈打つ心臓、生きている体、考える脳と自意識そのものだ。
それを他人に乞うて承認してもらわねば権利が得られないと考えている時点で、その人は自分で自分の人権を放棄していると思う。
必要なのは被害者であるという主張ではなく、「私はここにいて当然」というように生きることだ。
永遠にレイシストが存在していても、黒人に権利があるのなんか当たり前だし、LGBTを蔑む人間がいても、それは差別する人間の世界が狭くなるだけで、誰かの権利が失われるわけでは絶対にない。
だからその人たちに「差別をやめてくれないと、私たちの権利がなくなる」なんてしつこく抗議する必要はない。
権利は絶対に無くならない。それは命と一体だから。
当然と言う顔をして生きればいい。

損をするのは差別する人間だ。
何かを差別して自分の世界から切り離せば、それだけ自分の世界が狭くなる。
切り離したものの中にある美しさ、多様さ、新しさをその人たちは永遠に見ることがなく、やがては自分たちの方が世界から切り離され置いて行かれる。
それが時代が変わるということ。

でも差別する自由もこの世にはある。
私も差別をする。
差別なんかしたことないと言い張る人も無意識に毎日している。
命や財産を守るため、自分の属している集団外のものや、異質で見慣れないものを警戒し、時に攻撃するのは人間の本能だ。
標準装備の安全装置だ。
だから差別する人間はいなくならない。
変わることを拒む人たちに、必死で承認を求めて短い人生を費やすなんて馬鹿馬鹿しい。
その人たちは変化が怖いだけなのだ。
そんな人たちに生きていていいと認めてもらわないと生きられないわけじゃない。
身を守るためとはいえ、異質で見慣れぬものをすべて拒絶していては、世界は四畳半のまま広がらない。
だからやがては人は新しい価値観を受け入れるし、時代はどんどん変わる。

世界に最初に生まれた新種の花は初めはひとりぼっちだ。
新しいものについて考えるのは面倒だから、慣れ親しんだものを無条件に選ぶ人は多い。
でも誰かがその花を美しいと思えば、世界にその花が増えていく。
差別されるものに生まれたとしたら、おそらくあなたは「新しい」んだ。

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