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下北半島を巡る旅 〜佐井村・仏ヶ浦〜

こちらの記事の続きです。

恐山から佐井村までは車で1時間。
マグロで有名な本州最北端の町、大間町を経由するルートもあるが、距離と時間を考えて山道を突っ切るルートを選んだ。

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ひと山もふた山も越える、蛇が這うように曲がりくねった道を1時間ひたすら走る。ようやく海岸線に出ると、すぐに集落に到着した。
民宿の場所がわからず村の中を行ったり来たりしていると、夫婦が民宿の前まで出迎えてくれて、「こっちだよ」と手を振っているのを見つけた。よほど車が通らないところなのだろうか。

民宿の夫婦に導かれ、車を停めて中に入るやいなや、晩ご飯の時間を聞かれた。そして、「1組しかいないから晩ごはんの時間までにお風呂に入ればいいよ」とも伝えられた。

民宿に泊まるのは初めてだった。
これまで民宿に泊まったことがなかったので、本当に失礼だけど「民宿=汚い」というイメージを持っていた。だけど、古さは感じるもののイメージしていた汚さは全く感じなかった。風呂場はきれいすぎて、一人で入るにはもったいないほどの広さの浴室だった。

風呂から上がると、魚を焼いたようないいにおいが民宿中に漂っていた。部屋に戻り、妻に「焼き魚のにおいがしてたぞ」と興奮気味に髪を乾かしていると、ちょうど夕食の時間になった。夕食は1階に用意された部屋で食べる。
その部屋に行くと、テーブルに乗り切らないほどの料理が用意されていた。

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品数がありすぎて、写真に収まりきっていない。
このほかに、刺身や汁物、焼き魚と焼いた海老、おひつに入った白米、さらにうに丼と、どんぶりいっぱいのうにがあった。

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どんぶりいっぱいのうに。
うに丼があるのに、さらに白米とどんぶりいっぱいのうに。うに丼を食べたどんぶりに白米をよそい、生うにを乗せて3杯くらいうに丼を平らげた。噂に聞いていたとおり食べきれないほどの夕食だった。

部屋に戻ってもおなかがいっぱいで動けず、21時前から布団に潜り、だらだらとnoteを書いていると案の定眠気に襲われ22時前には眠りについた。民宿は国道沿いにあったのだけど、夜は車の音が一切しなかった。どうやら本当に滅多に車が通らないらしい。

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翌朝、8時に起床し、いよいよ仏ヶ浦に向かう。

仏ヶ浦は、巨大な奇岩が立ち並ぶ景勝地。もろく崩れやすい凝灰岩が長い年月をかけて海に侵食され、現在の姿になったと言われている。写真で見たことはあったが、どうしても一度自分の目で見てみたかった場所のひとつだった。

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仏ヶ浦までは、佐井村の民宿から車で30分ほど海岸沿いを南下する。
しばらく走っていると、アップダウンの激しい山道にさしかかった。どうやら、海を見ながら気持ちよく海岸沿いをずっと行けるわけではないらしい。どんどん標高が高くなっていくのを、時折木々の間から見える海の遠さから感じた。

山道を走っていると突然、「仏ヶ浦展望台」と書かれた看板と駐車帯があった。迷わず車を停めて木で組まれた階段を上ると、眼下には幻想的な風景が広がっていた。

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木々の間から、仏ヶ浦が一望できた。ほどよく霧がかかっていて、嘘みたいな光景だった。写真を撮りながら、今からあの巨岩のもとに行くと思うと、胸が高鳴った。

そこからさらに南下し、「仏ヶ浦駐車場」を目指す。山を下るため、右に左に折れ曲がる道を走る。仏ヶ浦駐車場につくと、小雨が降っていた。ここから仏ヶ浦まで、高低差100メートルもの遊歩道を、20分かけて下る。

雨に濡れはするが、ここまで来て引き返すという選択肢はなかった。遊歩道はきれいに整備されていて、軽装でも全く問題ない。両側から遊歩道に覆い被さった木々が雨よけになり、雨にもあたらずにすんだ。雨に濡れた草木を見ながら歩くのはとても気持ちがよかった。後半は、岩肌に取り付けられた木の階段をひたすら下りる。息が上がってきた頃、とうとう仏ヶ浦に到着した。

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海岸に下り立つとさすが景勝地、絶景が広がっていた。

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桟橋から夢中で写真を撮っていると、いつの間にか雨雲がなくなり、青空が広がっていた。
来た道のはるか先の方に、岩のあいだに木の板と鉄パイプで組まれた足場のようなものを見つけた。どうやらさらに南の方へ行けるらしい。

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砂浜を行き、岩の間を抜ける。

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岩の間を抜けるとすぐに「如来の首」と名づけられている奇岩が現れた。
たしかに、言われてみると鼻と目のくぼみのようなものがあって、右を向いた人の顔のように見えなくもない。

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すぐ後ろには、「帆掛岩」と呼ばれる岩があった。
かなり大きい。写真ではわかりづらいが、下の方がえぐられてそり立っていて、今にもこちらに倒れてくるような気がしてゾクゾクした。

一通り行けそうなところまで行き写真を撮ったあと、遊歩道を下りてきた時間の倍の時間をかけて車に戻った。

他にも「五百羅漢」や「香爐岩」「双鶏門」などの名前のついた奇岩がいくつもあるのだそう。全く下調べせずに行ったので、岩それぞれに名前がついていることを帰りの車の中で知った。

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帰りは脇野沢、むつ市を経由した。
脇野沢には、「北限のサル」と呼ばれる野生のニホンザルが生息している。ヒト以外の霊長類で世界で最も北に生息していることから、脇野沢に棲むサルは「北限のサル」として国の天然記念物に指定されているという。

脇野沢に入ったことを知らせる看板を見つけ、「サル、まさかいないよね」と話しながら運転していると、いた。普通に。おそらく親子であろうサルが何匹かまとまって、道路に座ってなにかを口に運んでいた。

その後も、ガードレールに座ってこちらを見ていたり、集団で道路を横切る場面に出くわした。野生なのにあまり警戒心がないのか、車が通っても一定の距離を保ち、逃げる様子はなかった。

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木の上に野生のニホンザル。

2日間で往復400キロ、それも山道を車で走った。ほぼ車で移動の旅行だったけど、くだらない話に花を咲かせたり、好きな音楽や映画を流しながら過ごせるので、全く苦ではなかった。

挙式の日も含めた3日間、本当に現実離れした日々だった。コロナでなければ、どこか県外、ふわっとだけど海外に行く計画もあった。だけど、こんな状況でなければ行かなかったような観光地に行けたのも、なにかの巡り合わせだったのかなと思う。

県内も探せばまだまだすてきな観光地があるのだろうが、今のこの状況が落ち着いたら改めて、もっとどこか遠くへ行ってみたい。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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