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【ひと言】8月の実質賃金は▲0.5%の下落!

10/8(火)に厚生労働省から毎月勤労統計調査(8月)が発表され、その中に「実質賃金」のデータがありますので、それについて少し書いてみたいと思います。

実質賃金の増減は個人消費に大きな影響を与えますので、現状とトレンドを把握しておくことがとても大切だと思います。

結論を書いておくと、「残念ながら、8月は実質賃金の伸び率がマイナス圏内」でした。物価の上昇が想定よりも大きいため、実質賃金がなかなかプラス圏に浮上してこないという状況です。よって、個人消費にはとても厳しい環境が続いています。

厚生労働省 毎月勤労統計調査(8月)から数字を抜粋
ボーナス込みの「現金給与総額」

少し説明を加えておきますと、6月と7月は伸び率がプラスになっていますが、それは「ボーナスが増えた」影響です。「現金給与総額(ボーナス込みの金額)」で見ると、6月・7月は実質賃金がプラスになっていました。

しかし、ボーナスを除いた「決まって支給する給与(基本給+残業代)」については、6月・7月ともにマイナス圏内であり、(ボーナス支給企業が少ない)8月はそのままマイナス圏内となりました。

厚生労働省 毎月勤労統計調査(8月)から数字を抜粋
ボーナスを除いた「決まって支給する給与」

ボーナスはその都度、金額を増やしたり・減らしたりしやすいので、賃上げの手段として使われやすくなります。

一方、基本給は一旦、上げるとなかなか下げることができないため、なかなか上がってこないのが現実です。それが、よく現れています。

なので、引き続き「”全体”として、日本の賃金は上がりづらい」というのが現状だと思います。

そして、実質賃金が上がらないので個人消費も弱い状態が続く、と。

あわせて、「決まって支給する給与(基本給+残業代)」について「名目」と「実質」を比較しておきます。

「上」のグラフは、2020年=100とした名目と実質の賃金指数です。「下」のグラフは、名目と実質の「前年同月比の伸び率」になります。

厚生労働省 毎月勤労統計調査(8月)から数字を抜粋
2020年=100とした賃金指数
厚生労働省 毎月勤労統計調査(8月)から数字を抜粋
名目と実質の前年同月比の伸び率

「上」のグラフのポイントは、名目賃金は上昇してきたが、直近3ヶ月は横ばいになっているという点です。これは「季節要因」なのか、それとも「賃上げの傾向が止まったためなのか」が気になるところです。

一方、実質賃金は凸凹しながら推移しています。季節要因なら来月以降、下落が続くことになりそうです。

「下」のグラフのポイントは、8月は名目賃金の伸びが+3.0%もあったのに、実質賃金だとマイナスになってしまっているという点です。

物価上昇が大きいためですが、仮に9月以降も「名目賃金の伸びは大きいのに、実質賃金はマイナスになってしまう」という状態が続いた場合、「日銀はどうするのか?」が気になるところです。

物価上昇を抑えるために利上げを急ぐのか? それとも、景気を優先して利上げを先延ばしするのか?

日本の物価上昇は「エネルギーを中心とする輸入物価の上昇」ですので、日銀が利上げをした場合、国内景気に与えるネガティブな影響は結構、大きいように思います。

今のところ、「12月か1月に0.25%の利上げ」が想定されていますが、どうなるのでしょうか?

こんな感じです。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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