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【日本経済】企業物価指数から見えてきたものは?

本日、日本銀行から「企業物価指数」が発表されましたので、そこから見えてくるものを整理したいと思います。

最初に、結論を書いておきますと、

一つは、落ち着いていた「輸入物価」が、年初からの円安によって再び上昇に転じている → そう遠くない将来、国内の消費者物価に反映されていくはず。よって、今年も輸入インフレは継続しそう → なので、国内のインフレ基調は継続し、株や不動産などの資産価格を引き続き押し上げる可能性大。

もう一つは、直近3ヶ月、「輸出物価」は(前年比)10%超の水準で上昇している → 今期の輸出企業の業績はかなり好調になりそう。

という2点です。

少し説明を加えます。

まず一つめから。

「輸入物価」は、足元の円安を受けて再び上昇しています。その影響から、(落ち着いていた)国内の企業物価も上昇に転じています。

日銀発表の企業物価指数より数字を抜粋
日銀発表の企業物価指数より数字を抜粋

この値上りはそう遠くない将来、消費者物価に反映されると思いますので、今年も「インフレ基調」は継続しそうです。

それから輸入物価の上昇は特長的で、2023年4月~2024年1月の期間は沈静化していたのですが、今年の2月以降、(円安の影響から)再び上昇に転じています。

日銀発表の企業物価指数より数字を抜粋

仮に、1ドル170円といった「更なる円安」になると、輸入物価の上昇はさらに進んでいくと思われます。

この「インフレ基調」が国内に存在する一方で、国内経済は弱い状態です。そのため、金利の引き上げは「限定的」になる可能性が高いと思います。

よって、(実質金利のマイナス状態が続くため)株や不動産などの資産価格は引き続き上がりやすい環境が継続すると思いますので、このあたりのセクターは狙い目のように思います。

もう一つの点。

企業物価指数の中に「輸出物価指数」というのがあります。名前の通り、輸出品の価格を継続的に調査しているのですが、この指数は輸出企業の製品の「価格設定」を推計できます。

この輸出物価指数も(円安によって)急上昇しているのですが(=輸出企業の輸出価格が円ベースで急上昇している)、今年に入ってからその上昇は再加速しており、特に足元の3ヶ月は10%超の上昇率になっています。

そのため、このペースが続けば、今期の輸出企業の売上げはかなり好調な結果になりそうです - 銘柄選びの重要ポイントになると思います。

以下は、昨年5月以降の輸出物価指数です - 今年に入ってから急上昇しています。

日銀発表の企業物価指数より数字を抜粋

以下は、輸出物価指数の「伸び率(前年比)」です - 直近3ヶ月は、10%超の伸びになっています。

日銀発表の企業物価指数より数字を抜粋

最後に、やや「余談」的な話題になるのですが、ご参考までに「輸入物価指数」の主要項目の上昇率をご紹介しておきます。

最初のグラフは、「2020年の平均=100」とした2024年6月の指数です。

日銀発表の企業物価指数より数字を抜粋

最も値上がりしているのは、「石油・石炭・天然ガス」で262.4になっています - 3年半で2.6倍ですね!

全体(総平均)としても172.3になっており、改めて輸入物価の上昇の大きさに驚きます。

石油・石炭・天然ガスに続いて値上りが大きいのは「金属・金属製品」で190.7です。

そして、以下は2024年6月の各項目の上昇率(前年比)です。

日銀発表の企業物価指数より数字を抜粋

金属・金属製品が17.8%で最大の上昇になっています。ビルやマンションなどの建設コストが上昇している原因にもなっているのですが、この上昇は引き続き継続しそうですね。そして、不動産デベロッパーのコスト構造を押し上げることになりそうです - しっかり販売価格に転嫁できるブランド力や営業力を持っていないデベロッパーは利益を大きく削られそうですね。

ですので、「不動産」ならブランド力の弱い企業は要注意だと思います。また、(デベロッパーよりも)保有している不動産を使って事業をしている「大家さん」的な企業の方が良さそうですね。

こんな感じです。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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