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【日本株】スズキ(7269)の1Q決算は絶好調!

スズキ(7269)が今期1Qの決算を発表していますので、それについて書いてみたいと思います。

ポイントは、

① 1Qの決算は絶好調だった。

② 1Qの増益額を考慮すると、2Q以降が「会社予想と同じ」でも、通期の営業利益・当期利益は+11.8%ほどの(会社予想に対して)上振れになるのではないか?

③ 現在、スズキのPERは10.8倍ですが、その「上振れ」分を考慮すると、9.7倍ほどになる - 割安では?

④ 注意点は、インドでの競争と円高 - 常にアンテナを高くしておく必要がありそうです。

と、いった感じです。

では、早速。


1.絶好調の1Q決算でした!

1Qは、予想を遥かに超える好決算でした。

対前年同期比で、売上げは+21.0%増、営業利益は+60.8%増、当期利益は+57.9%増と凄まじい伸び率でした。

同社の決算短信です

スズキは通期の会社予想を据え置きましたが、仮に「2Q以降の業績が会社予想の通り」となった場合、(1Qの貯金があるので)通期の業績は(会社予想に対して)売上げで+3.5%、営業利益と当期利益で+11.8%ほどの上振れになるのではないかと試算します。

ご参考までに通期の会社予想を貼っておきます。

同社の決算短信です

「上振れ」した数字を前提にすると、現在のPERは(10.8倍から)9.7倍になります。業績が安定している同社の場合、「魅力的な水準(=割安)」になるように思います(※ 私の個人的な考えですので、外れる場合が多々あります。ご注意ください)。

2.好業績の要因は円安とプロダクト・ミックスの改善

昨年1Qに比べて今期1Qの営業利益は+596億円(+60.8%)の増益になっているのですが、その主因は①円安と、②プロダクト・ミックスの改善(=より高額な車種がより多く売れた)です。

同社の会社説明会資料より数字を抜粋

具体的な数字にすると、円安効果は375億円、プロダクト・ミックス効果は404億円です - 人件費など固定費の増加や研究開発費の増加など減益要因もありますので、差っ引きの営業利益の増加額は596億円となっています。

また、営業利益への寄与度としての具体的な数字は示されていないのですが、③日本と欧州において想定以上に販売台数が増えたことも大きいようです - それが「プロダクト・ミックスの改善」というカタチで現れているのかもしれませんが・・・

同社の会社説明会資料より数字を抜粋

上のグラフは、昨年1Qと今期1Qの同社の国別・地域別の自動車販売台数です。(グラフだと、やや見にくくなるのですが)日本は(対前年同期比で)+14.8%増、欧州は+22.1%増と非常に好調な結果でした。

ちなみに、スズキの世界における販売台数の内訳は以下のグラフのようになっています - 今期1Qの実績。

同社の会社説明会資料より数字を抜粋

売上げ比率が圧倒的に大きいのはインド。次に日本。そして、欧州。その日本と欧州で好調でした - 2Q以降も継続してくれることを切に願います。

一方、インドは+1.2%増でした - ちょっと低いので、ここが心配です。

尚、スズキは「インドの市場成長率は+2.0%であり、通期はそれを上回る予定」と言っているのですが、インドの市場成長率が+2.0%というのは「あれ?」という印象です。インドはGDP成長率が約7%あるので、2.0%という数字は少し小さいようにも思いますが、どうなんでしょうか・・・。

3.注意点もあります。

主に、2点 - インドと円高です。

(上記のように)同社のインドにおける業況は「悪い」という状況ではないのですが、「やや停滞感がある」という印象です。やはり、これまでのような「独り勝ち」状態ではないのだろうと推測します。

今期1Qの販売台数の伸びが+1.2%ということは(多分)市場シェアを落としていることになると思います。同社は(少しずつですが)年々、シェアを落としていますので、ここが心配なところです - 2021年3月期、同社のインドにおけるシェアは47.7%でしたが、昨年度には41.6%まで低下しています。

インドは有望な市場ですので、ライバルとなるドイツ・メーカーや韓国メーカーが力を入れていますし、現地メーカーもかなり力を付けていると思われますので、競争がますます激しくなっているのだろうと推測します。

よって、同社のインドでの事業がどんどん落ち込んでいくようだと、株価にもネガティブな影響が出るのだろうと心配をしています。

これが、ひとつめの注意点です。

もうひとつは円安です。スズキの今期の想定為替レートと為替が営業利益に与える影響度(=感応度)は以下になります - 各通貨が1%変動した場合の感応度。円高に振れた場合には、いずれも「減益」要因となります。

同社の会社説明会資料より数字を抜粋

各通貨が1%ずつ円高に振れた場合、トータルで29億円の営業減益になる感応度です - 通期の営業利益予想が4,800億円ですので、0.6%の減益です。それほど高い値ではないのですが・・・。

仮に、想定為替レートよりも10%の円高に振れた場合(ドル円で言うと、130円レベルになった場合)、290億円、▲6.0%の減益要因となります。

「ないことはないシナリオ」ですので、「注意点」として頭に置いておいた方がいいかなと感じます - 多分、為替市場が円高に振れだすと、(実際に業績に響く前に)株価が大きく下がると思います。ですので、現状の「”円安になりやすい環境”に変化がないか?」については、常にアンテナを高くしておくのがいいのかなと思います。

4.現状のバリュエーションは「割安」では?

最後にバリュエーションです。

8/16終値で株価は1,741.5円。PERは10.8倍、PBRは1.16倍です。

最初に書いたように、1Qの増益分を考慮すると、現在のPERは9.7倍くらいに下がります。比較的安定した業績の同社ですので、10倍前後のPERは「安い」ように思います。

日銀が再び利上げをしたり、Fedが利下げを実行したりすると、またまた株価が大きく動くかもしれません。あるいは、想定よりも厳しい経済指標が出たりすると、それで株価が動いたりするかもしれません - 多分、今後も株価は上下すると思います。そして、スズキの株価も例外ではないです。

その上で、同社の業績は比較的安定しているので、期待できる会社なのではないかと思っています。

と、スズキの1Q決算を見ながら、こんな感じのことを考えていました。

最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。

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