恐怖のチクリ(ネット)社会

通りすがりの、いちいちの行動。
一寸した言葉やしぐさを、ブログに残す人がいる。
本人からすれば「こんな人がいた」程度の認識であろう。
「面白かった」から、時に「ヘンだね」「分からない」等々、個人的感覚も添えられていたりする。
が、知らない間に書かれた本人、ターゲットにされた身としてみれば、大迷惑だ。未だ写真が掲載されないだけいい。

(書かれるかも)
果実、半ば本気で思った。

業務スーパー。略して「業スー」に行った。
欲するモノを買い、レジで並んでお会計。七百ナンボだったと思う。いつもニコニコ現金主義、カードの1枚持っていないので、全て現金で支払う。
小銭を使う。沢山ある。
百円玉を七枚に、十円玉を数枚。五円玉はパスをして、残りはオール1円玉。多少の時間は、どうしても掛かる。
ジャラジャラ財布の中を探る姿が気に入らないのか、「チッ!」。
2,3人後ろに並んでいたオヤジが、大きな舌打ちである。手にはスマホの今風オヤジ。チラと見た。公務員風であったが、品がない。だらしないサンダル履きだ。
「チッ!」「ケッ!」
モロにわたしを狙っている。無視するに限る。ピッタリに会計を済ませ、レシートを受け取り、サッカー台へ荷物を置く。
目が合った。と、オヤジは近くにいた若い人に、話し掛けたのだ。
「あの人さぁ~っ。未だスマホを持っていないのかねぇ。時代遅れで困るよね。現金で支払うなんて。ネットに投稿しちゃおうかな?<昭和の人>ってタイトルで、特徴を書いて」
若い人の反応は、忘れたが。

大丈夫だとは思うけど、何となく引っ掛かる。

何で支払おうが、わたしの自由だ。余計なお世話。
他人にとやかく言われたくない。
ああいうオヤジは、財布を持つ人すらも「異邦人」に見えるのだろう。
わたしからすれば、お買物にサンダル履きが、余程「異邦人」である。
ある種のチクリ。
チクリ社会(!?)、ネットをはけ口とするチクリ社会の恐怖感だ。

<了>



#創作大賞2023

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