場違いな場

一回は私用で、一回は社用で。
青山に行った事がある。「洋服の青山」じゃなくってよ。東京都港区にある、青山。ブルー・マウンテン(?)ね。

「お洒落」&「最先端」三文字がキンキラキンに輝く場所。
恥のみであった。何がって、服装。何がって、背丈。何がって、目鼻立ち。同じ人種、日本人だなんて思えない。お洒落な国の、お洒落な人種様方が、お洒落の三文字を引き下げ、お歩きになる。
特に社用でいった時は、恥ずかしさの余りに耳まで赤くなった。
安売りがバレバレの服装に、髪はボサボサ。油っ気の全くない、限りなく砂掛け婆。
青山に、なんて夢にも思わない。けど、突然「一寸、行ってくれる?」言われたのである。

サリーちゃんやら、アッコちゃん。或いはメルモちゃんなら、魔法を使って変身する手もあるが、わたしには能力がない。ダサダサでしたぞ。
とはいうものの、20代前半だった女の子は、やはり眩しかった。
(ほ~っ、ここが青山)
お上りさん宜しく、辺りをキョロキョロ見廻した。
が、颯爽と横を歩く、自分と同世代だと思われるお姉様を発見し、彼女ととわたしが、同時に通路にあった大型の鏡に映し出されたのを見た時、瞬時に心の叫びが聞こえた。
(来るんじゃなかった、、、)

人に相応しい職業があるように、相応しい場所があるらしい。
青山・新宿・吉祥寺は、その典型ではなかろうか?相応しい人のみが、ゆくのが宜しい場所なのだ。
                            <了>




#創作大賞2023

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