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帰路

幸せに見える人間が本当に幸せだとは限らない。
辛そうに見える人間が本当に辛いとは限らない。

本当に辛い時は笑顔を作るし
本当に幸せな時は謙虚になってしまう

感情の通りに生きたら、世の中がそれを許さないから

この世界は本当に捻くれている

そんな世界にいる僕らもきっとかなり捻くれている

"我慢するのが良いこと
それが成長するということ"

"泣いたら卑怯でださい"
"幸せな奴は羨ましくてうざい"

天秤を与えられて
それを左右均等にするのに僕らは必死で

人は他人の天秤が気になって仕方なくて

均等にならずに重りが傾いたら袋叩き
均等にならずに重りが傾いたら少しずつ色々なことがずれていく

でもいずれその天秤も壊れる

その時が最後。本当に最後。

誰かがいないと人は生きていけないけど、誰かがいるから人は死んでしまう

もしこの世界に僕とあなたしかいなかったら
一つの天秤を二人で支えられるのかな

もしこの世界を持つものと持たざるものに分けなければ
周りを気にして個性なんてものを作る必要はなくなるのかな

笑いたい時に笑えるのかな
泣きたい時に泣けるのかな
叫びたい時に叫べるのかな

あーー
あーーー
あーー
あーーーーー

生きている
僕もあなたも
あなたの隣の人も生きている
生きている
頑張っている
大好きだよ

大丈夫
大丈夫
大丈夫だから
きっと大丈夫だから

明日もきっと生きていけるから
きっと良いことあるよ
きっと認めてくれるから
生きてね、ちゃんと生きてね

生きてね
なんて

嫌いなやつの死を本気で願ってしまうようなダメな僕でも、そんなことをちゃんと言える人間になれるのかな

そんなことを心から思える日々がくるのかな

缶ビール片手に
そんなことを思って、坂道を登って
僕は迷路のような一日から帰宅する

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モデル: さいとう雅子
カメラ: 渡辺岳也
言葉 : ハネイサユ


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